1 / 1
第一話 人造熊のプーちん、社会の働き蜂を冷めた目で見つめる。その1
しおりを挟む
熊のプーちんが今まさにいる場所、それは裕福な英国人の邸宅だった。そこには多くの奴隷から成り立った、『富』と『労働』が集約されている。大英帝国の欺瞞と搾取の塊の一つである。
大理石で作られ共産主義国家のような彫刻の階段を、熊のプーちんは降りた。
後頭部を一段、一段、何度も、何度も、執拗に、そして、確実にしこたま打ち付け、ともすれば拷問よりも殺意を帯びた、しかし、無邪気な仕打ちで、クリストファー・ロビン卿と呼ばれる、無邪気に昆虫の四肢を引きちぎる、『冷血』の二つ名に恥じない行為を行う少年に引きずられ、熊のプーちんは階段を降りた。いや降ろされたと言うべきか?
しかしながら、彼がこの白人政策の、または、大英帝国の栄華を濃縮したような、ヒエラルキーの館から抜け出すためにはこうして階段を降りる他はなかった。
彼にもう少しの知恵があったならば、若しくはクリストファー卿に僅かばかりの慈悲があったのならば、或いはもう少しましな手段で階段を降りる事が叶ったであろう。
しかし、そうするには彼には知恵が足りなかったし、クリストファー卿に慈悲を期待することは、エベレストの山頂で捕鯨に成功するような物であった。
結局、プーちんに残された選択肢は諦めと妥協であり、クリストファー卿にしてみればこの拷問の愉悦と享楽を失うことはなかった。なにより、プーちんもまた、この行為に快楽を見いだしていたのだ。
そうこうしている間に彼らは漸くその長い階段を降り立った。
今、新たにここに彼の名を刻もう!
ウィンニー・ザ・プーちん!!
と、言われてただ流すだけではあなた方の知的好奇心は満たされないだろうし、私にも不本意だ。
この名には謎が秘められている。もちろん、当時の、当地での、知識を求められている。
ウィンニーは当時の著名な雌熊、日本的にすればゾウの花子とかその類である。
若い雄熊には不適当な名付けだ。
「だからこそ、プーちんなのさ」
クリストファー卿は呟いた。いや、ナチュラルに語り手に反応するな、お前は神か?
「彼はウィンニーであり、同時に、プーちんということさ」
よく分からんが、とにかく良し!つまり彼は雄熊である前にウィンニーであり、そしてウラジーミルでなくともプーちんであるのだ!
兎にも角にも、プーちんの被虐性は階段を快楽に変換するには飽きたらず、暖炉での火炙りであったり、ほぼ眉間を射抜く、ある意味では百発百中のクリストファー卿によるウィリアムテルでも遺憾なく発揮された。
大理石で作られ共産主義国家のような彫刻の階段を、熊のプーちんは降りた。
後頭部を一段、一段、何度も、何度も、執拗に、そして、確実にしこたま打ち付け、ともすれば拷問よりも殺意を帯びた、しかし、無邪気な仕打ちで、クリストファー・ロビン卿と呼ばれる、無邪気に昆虫の四肢を引きちぎる、『冷血』の二つ名に恥じない行為を行う少年に引きずられ、熊のプーちんは階段を降りた。いや降ろされたと言うべきか?
しかしながら、彼がこの白人政策の、または、大英帝国の栄華を濃縮したような、ヒエラルキーの館から抜け出すためにはこうして階段を降りる他はなかった。
彼にもう少しの知恵があったならば、若しくはクリストファー卿に僅かばかりの慈悲があったのならば、或いはもう少しましな手段で階段を降りる事が叶ったであろう。
しかし、そうするには彼には知恵が足りなかったし、クリストファー卿に慈悲を期待することは、エベレストの山頂で捕鯨に成功するような物であった。
結局、プーちんに残された選択肢は諦めと妥協であり、クリストファー卿にしてみればこの拷問の愉悦と享楽を失うことはなかった。なにより、プーちんもまた、この行為に快楽を見いだしていたのだ。
そうこうしている間に彼らは漸くその長い階段を降り立った。
今、新たにここに彼の名を刻もう!
ウィンニー・ザ・プーちん!!
と、言われてただ流すだけではあなた方の知的好奇心は満たされないだろうし、私にも不本意だ。
この名には謎が秘められている。もちろん、当時の、当地での、知識を求められている。
ウィンニーは当時の著名な雌熊、日本的にすればゾウの花子とかその類である。
若い雄熊には不適当な名付けだ。
「だからこそ、プーちんなのさ」
クリストファー卿は呟いた。いや、ナチュラルに語り手に反応するな、お前は神か?
「彼はウィンニーであり、同時に、プーちんということさ」
よく分からんが、とにかく良し!つまり彼は雄熊である前にウィンニーであり、そしてウラジーミルでなくともプーちんであるのだ!
兎にも角にも、プーちんの被虐性は階段を快楽に変換するには飽きたらず、暖炉での火炙りであったり、ほぼ眉間を射抜く、ある意味では百発百中のクリストファー卿によるウィリアムテルでも遺憾なく発揮された。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
卒業パーティーのその後は
あんど もあ
ファンタジー
乙女ゲームの世界で、ヒロインのサンディに転生してくる人たちをいじめて幸せなエンディングへと導いてきた悪役令嬢のアルテミス。 だが、今回転生してきたサンディには匙を投げた。わがままで身勝手で享楽的、そんな人に私にいじめられる資格は無い。
そんなアルテミスだが、卒業パーティで断罪シーンがやってきて…。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
王家も我が家を馬鹿にしてますわよね
章槻雅希
ファンタジー
よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。
『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる