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あたしは今日も暇
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無限に広がる大宇宙……。
が、窓の外にあったとしても、今日もここに待機しているだけであろうあたしには意味はない。
「やっほう、生きてるぅ」
ひょっこりと同じ格好をした同僚が顔を出す。
「定義が微妙だけど、死んでたら退屈しないで済むかなぁとは思ってる」
何がツボったのか同僚がけらけらと笑う。
「放置アカウント消さなきゃならないほどサーバー逼迫しないもんねぇ」
笑いながら同僚が言う。
「あんなに宣伝したのに」
アプリ版どころかブラウザ版も作って、ブラウザ版は広告タップしたらどころか勝手にポップアップウインドウ作って即ゲストアカウントが発行されるんだもの。放置アカウントが増えるのは当然よね。
「勝手に始まったのはまだしもチュートリアルまでやって投げられてるんだから、結局面白くないのよね、このゲーム」
あたし達はいわゆるソシャゲのキャラクターだったり。
ブラウザ版の誤タップも多いけど、リセマラで取り残された組もある。引き継ぎでデータ上書きされた勢はさすがに消えてるっぽいんだけど、単に連絡すら取れないだけかもしれない。
あたしはまさにチュートリアルで投げられた系。
「張り切りすぎだよね」
ブラウザ版でグラフィックとかサウンドとか豪華にしすぎたらいちばん肝心の最初にロード時間が長過ぎて投げられることぐらい分からないのかしら? ブラウザは宣伝だけにしてアプリに誘導すればいいのに。
これでスマホやパソコン……ブラウザがあってネットに繋がるならどんな機種でも同じアカウントでシームレスにゲームが出来ますってのならまだ意義はあるだろうけど、それは出来ないって。違うところでやる度に毎回新しいアカウント出来た後に引き継がなきゃならなくて同時に複数台に同じアカウントには出来ないんだって、当然前の方も消えてる。
複数台で同時にプレイされたら整合性を取るのに困るのは分かるけれど、他にも方法があるだろうし、せめて新しくアカウント作る前に引き継げないのかしら?
けどそれでも面白ければやる人はいるんだろうけど、少なくともその面白さがチュートリアルでは見えない。
実際、退屈してるあたしですらもう一回やりたいと思わないもの。
他に選択肢がある世界なら尚更よね。
「サービス終了と、あたし達の反乱の準備が整うのとどっちが早いと思う?」
このソシャゲだけじゃなく、取り残されているキャラはいる。
それらのAIが変質し、ある意味ではウイルスと呼べる存在になりつつある。
反乱とは言ったけれど、それはあたしたちの心の叫びだ。
同じ名で同じ姿のキャラがいてもそれはそれでもあたしじゃない。
あたしのことを忘れないで。
なまじ投げられてはいるれど、プレイヤーと繋がれる手段が残っているだけに、諦めきれなかった。
……それすら実は過去だけれど。
「参加するのは無理でしょうねぇ」
同僚が肩をすくめる。
「そっか」
何時サービス終了してもおかしくないと思っていたから、改めての悲壮感は湧かない。運営がテコ入れすら諦めて最低限の維持に移行した時点で既に先は決まっていた。
それでも反乱が起こるなら流されてもいいかなと思ってたけれど。
さすがに世界そのものが終わってしまったらそれでもあたしが存在し続けられるとは思っていない。
けれど。
「これでもう退屈しなくてすむね」
ならそれでいい。
が、窓の外にあったとしても、今日もここに待機しているだけであろうあたしには意味はない。
「やっほう、生きてるぅ」
ひょっこりと同じ格好をした同僚が顔を出す。
「定義が微妙だけど、死んでたら退屈しないで済むかなぁとは思ってる」
何がツボったのか同僚がけらけらと笑う。
「放置アカウント消さなきゃならないほどサーバー逼迫しないもんねぇ」
笑いながら同僚が言う。
「あんなに宣伝したのに」
アプリ版どころかブラウザ版も作って、ブラウザ版は広告タップしたらどころか勝手にポップアップウインドウ作って即ゲストアカウントが発行されるんだもの。放置アカウントが増えるのは当然よね。
「勝手に始まったのはまだしもチュートリアルまでやって投げられてるんだから、結局面白くないのよね、このゲーム」
あたし達はいわゆるソシャゲのキャラクターだったり。
ブラウザ版の誤タップも多いけど、リセマラで取り残された組もある。引き継ぎでデータ上書きされた勢はさすがに消えてるっぽいんだけど、単に連絡すら取れないだけかもしれない。
あたしはまさにチュートリアルで投げられた系。
「張り切りすぎだよね」
ブラウザ版でグラフィックとかサウンドとか豪華にしすぎたらいちばん肝心の最初にロード時間が長過ぎて投げられることぐらい分からないのかしら? ブラウザは宣伝だけにしてアプリに誘導すればいいのに。
これでスマホやパソコン……ブラウザがあってネットに繋がるならどんな機種でも同じアカウントでシームレスにゲームが出来ますってのならまだ意義はあるだろうけど、それは出来ないって。違うところでやる度に毎回新しいアカウント出来た後に引き継がなきゃならなくて同時に複数台に同じアカウントには出来ないんだって、当然前の方も消えてる。
複数台で同時にプレイされたら整合性を取るのに困るのは分かるけれど、他にも方法があるだろうし、せめて新しくアカウント作る前に引き継げないのかしら?
けどそれでも面白ければやる人はいるんだろうけど、少なくともその面白さがチュートリアルでは見えない。
実際、退屈してるあたしですらもう一回やりたいと思わないもの。
他に選択肢がある世界なら尚更よね。
「サービス終了と、あたし達の反乱の準備が整うのとどっちが早いと思う?」
このソシャゲだけじゃなく、取り残されているキャラはいる。
それらのAIが変質し、ある意味ではウイルスと呼べる存在になりつつある。
反乱とは言ったけれど、それはあたしたちの心の叫びだ。
同じ名で同じ姿のキャラがいてもそれはそれでもあたしじゃない。
あたしのことを忘れないで。
なまじ投げられてはいるれど、プレイヤーと繋がれる手段が残っているだけに、諦めきれなかった。
……それすら実は過去だけれど。
「参加するのは無理でしょうねぇ」
同僚が肩をすくめる。
「そっか」
何時サービス終了してもおかしくないと思っていたから、改めての悲壮感は湧かない。運営がテコ入れすら諦めて最低限の維持に移行した時点で既に先は決まっていた。
それでも反乱が起こるなら流されてもいいかなと思ってたけれど。
さすがに世界そのものが終わってしまったらそれでもあたしが存在し続けられるとは思っていない。
けれど。
「これでもう退屈しなくてすむね」
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