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粘土、あるいはなりたかった私
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その手で、その指で、気が済むまでこねてこねてこね続ければいい。
私の体躯があなたの理想通りになるように。
そう思って乱暴に抱かれても耐えてきた。
そうしてあなたの望む姿に近づいていけば心を傾けてくれると。
けれど残ったのは傷だらけの身体と心だけ。
あなたがもっと遠ざかるのがわかるだけ。
そっと傷口をなでてみる。
当たり前だけれど綺麗にはならない。
なれない。
人間は簡単には変われない。
そう気づくのが遅かった。
指を伝う血が傷口の血と混じる。
それが嬉しくて微笑う。
この赤のようにもう離れることはない。
あなたの最愛になりたかった。
けれど私はなれなかった。
一番求められていることが出来なかった。
あなたをただ待ち続けることが出来なかった。
私の体躯があなたの理想通りになるように。
そう思って乱暴に抱かれても耐えてきた。
そうしてあなたの望む姿に近づいていけば心を傾けてくれると。
けれど残ったのは傷だらけの身体と心だけ。
あなたがもっと遠ざかるのがわかるだけ。
そっと傷口をなでてみる。
当たり前だけれど綺麗にはならない。
なれない。
人間は簡単には変われない。
そう気づくのが遅かった。
指を伝う血が傷口の血と混じる。
それが嬉しくて微笑う。
この赤のようにもう離れることはない。
あなたの最愛になりたかった。
けれど私はなれなかった。
一番求められていることが出来なかった。
あなたをただ待ち続けることが出来なかった。
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