まいたけ

こうやさい

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まいたけ

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 頂いたのだか採りにいったのだか、自慢話マウントと雑談に紛れ込んだせいで正確には思い出せないのだが、気がつくと義姉に大きなまいたけを一株押しつけられていた。
 恐らく価格でいえば結構なシロモノなのだろうが、この量を消費しようとなると、よほどまいたけが好きか、料理が得意でレパートリーが多いか、保存が得意か、最初から計画的に入手したか辺りでないと使い切るのは難しいだろう。
 正直持て余すと思ったし、義姉も持て余したのだろう。お互い家族が多いわけでもなし。
 なのに何かの時はこれを恩に着せて無茶を要求してくるのが目に見えているのでため息を吐くしかない。
 それとも料理になった辺りを見計らって取り戻しに来る気だろうか?

 どちらにしろこの大きさだと保存するとき邪魔にしかならないので、とりあえず小分けするために切ることにする。
 まな板の上のまいたけは、どこか脳みそに似ているような気がした。
 真ん中に包丁を当てる。
 こんな風に夫の脳みそも真ん中で切ってしまったら穏やかに暮らせるようになるだろうか。

 義姉も困った人だが、同居している訳ではないのでそれでも線引き出来る部分がある。
 けれどその義姉と似た、あるいはもっとひどい性格をしたその弟おっととは同居している。
 帰ってこなくなったらなったで困るのは分かっているのだが、近くにいてくれた方がいいという意味にはならない。
 ……いや、どこかで他人様に迷惑をかけていないか心配しないで済む分は近くにいてくれた方がいいのだが、その迷惑がこちらにかかってくるという意味ではよくはない。
 それでも離婚の理由として他人が納得してくれるかといわれると、恐らく体験した人以外はしないだろうし、ずっと体験し続けるのは今のところ自分だけだろう。
 他にもしがらみはいろいろあって簡単には踏み出せない。相手に失敗してしがらみだけが残るのだから焦って紹介で結婚するべきではなかった。

 詳しくは知らない。
 今はやっていないのだから、結局問題の方が大きすぎたのだろう。
 それでも最初は効果をもたらしたと聞く。
 その一時でも解放されるならと詮無き事を思う。

 まいたけを半分に切る。
 夫の脳みそに見立ててしまったせいで、ただでさえ食欲の湧かなかったまいたけをもう自分の一部にしたべたいとは思わない。
 全部夫に食べさせてしまおう。
 夫は自分の外食や飲酒で取ったカロリーを上乗せて家での食事のせいにする。
 そのせいで病気になったとまで言われれば、むしろ塩でも追加してこの手で本当に病気にして殺してしまえば良かったと思う。
 受診もしない、節制もしない、ただ作ったものもそれでも食べるのでまいたけだらけの食事もきっと食べるだろう。

 きのこには脳に利くものもあるらしい。これまた詳しくは知らないけれど。
 それでもこれくらいでは夫は変わらないだろう。

 包丁が鈍く光った。
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