戦闘猫乃物語

猫乃つづり

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反撃編

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 肌寒い季節で天気予報で冬将軍が迫り来るという予報を聞きながら、ミーはこたつの中でくたーと自分の体を柔らかくするのであった。

 (う~やっぱり、気持ちいいな、こたつは)
 
 ミーはみゃ~と思わず気の抜けた鳴き声を放つのである。
 もし、そこに大佐やボクッ娘、あと、世良がいたら、ミーの心臓は即刻撃ち抜かれて自害するところだっただろう。
 しかし、ここはおばあちゃん家、ミーにとってはプライベート空間であり、唯一心許せる場所であるのだ。
 ほんわかした雰囲気にほんわかしているミー。
 
後はお雑煮が来るのを待つだけだった。
そして、とことことやって来る足音に心踊らすミーは、作戦時とは違う一面を見せるのであった。
 
 「ほーら、お食べ」

 にゃ~

 おばあちゃんの特製お雑煮にはミーは味としての定評は5つ星レストランになんら劣らないと自負している。
 普通の猫ならば、餅を食うことじたい危ないのだが、ミーは戦闘猫《アクショナルキャット》なので、問題なかった。

 (まぁ、戦場では何でも食べれるように訓練したのがまさかこんな場面で役立つこともあってよかった)

 と心の底から、いよいよおばあちゃんがミーを普通の猫として思っているため、お箸でお餅をはさんで、ミーの口に熱々であるがもっちりした食感と旨味を秘めた汁が旨さという染料を使ったかのように、上手いのだ。

 前回の作戦で退院後の平穏無事でモチモチを食べようとした矢先

 にゃっ!?

「おやおや、どうしたんだい、ミー?」

 おばあちゃんはミーに心配の声をかける。
 モチモチの祝福はミーには届かずに止まる。
 猫が後ろの方で招きよせる形でこちらにこいっと手を寄せている。
 ミーにはどうやら見覚えのある猫だったからだ。

 にゃっにゃ~

 ミーは落胆した声をあげて

 (モチモチは諦めるしかないのか……)

 と、モチモチを諦めて、見覚えのある猫の方に向かうのであった。
 
 「あらまぁ、ミーはいつの間に友達ができたんでしょうかねぇ~」

 ミーの事情など知らない為、おばあちゃんは微笑ましい顔でミーを見るのみであった。
 
 
  
 
 

 
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