異世界に渡って妹を探します！

裏章 悪に導かれし者

裏1話 勇者を狩る者 2

ドゴッ  ガシャーン

にぶい音が部屋に響き渡り、「うぐっ」と言う声を出して、地面に倒れる父親の姿がそこにはあった。

殴った事で瓶が割れてお酒がこぼれ、顔に全てかかった。

「ハァ..ハァ..」

今、部屋で聞こえているのはおれの吐く息だけだ。

おれは父親..いやゴミを殺したのだ。

「いやー..お見事ですね。」

「これだけ頭をかち割れば、さぞかし気持ちが良かったでしょうね。」

おれは今、ウザったく話しかけてくる奴から力をもらい、人を殺したのだ。

まぁ..気持ち良かったかは分からないけど、スッキリはしたかな。

お酒を買った時は地面にひきずるほど重たかったが、力を貰って軽々と持ち上げて、振り回すことが出来るようになった。

「貴方の願いは叶えたので死主神様の願いを聞いて貰いますよ。」

そんな事を言われて、おれは訳が分からないとキョトンとしていると、急な睡魔に襲われて地面に倒れ込んだ。

「さっさと起きろ！起きて酒でも買ってこい！」

「!!!」

おれは殺したはずの父親の声で飛び起きた。

「どうだお前の父親の声真似をしてみたが似ていただろ？」

ニタニタとした笑みで、こちらを見ているのは先程、嫌味な声で話しかけて来た声と同じだったので、多分こいつなのだろうと思う。

おれの倒れていた部屋を出て、大きな廊下を進んで行く。

1.2分歩くとそこには、暗めの印象を受けるアンティークチックな装飾が施された大きな扉があった。

「ここが死主神様の主室だよ。もうお待ちだから早く入りよ」

そう促されたので扉の前まで歩いて行った。

おれはドキドキやビクビクとした感情を、2重で感じながら、大きな扉を叩いた。

つづく