上 下
655 / 841
chapter7:become a teacher

私が教師だなんて! その1

しおりを挟む
バーレから戻って数日したある日の事。

パパは式典以降私のバーレ行きの件もあってベルガモに戻らず王都のタウンハウスで生活しているのよね。

それにリンダウとの戦争もあるから暫くはこっちに居るようにってシルヴィオお兄様にも言われているみたい。

数日の間貯まっていたウルムの新聞を目にすると、バーレにいた間に逆賊として側妃グラフィーナの処刑が執行された件、リンダウに対する宣戦布告といったニュースばかりが載せられているのよね。

それにリンダウはイオーゼ海の海域にある国だから、必ずシルヴィオお兄様がその指揮を取る筈...そう、シルヴィオお兄様がパーヴェル君のお母様の国でもあるリンダウに手をかける事になる。

私を先生って呼んで慕ってくれるのに、パーヴェル君の親族やそのルーツとなる国に手をかけるのが私のお兄様なんてなんて皮肉なのかしら。

早い間にパーヴェル君をバーレへ連れて行ってエステルお姉様達の保護を受けれて良かったのかもしれない...でなければパーヴェル君が可哀想だもの。

そんな憂鬱な気持ちで抱えながら新聞を閉じる。

そうしているとドアからノック音、どうぞと声をかけるとピエトロが入ってくる。

「お嬢様、夕食の時間ですよ」

「もうそんな時間?」

ふと壁かけ時計を見ると確かに夕食の時間だわ。

「旦那様もお待ちですよ」

「わかったわ」

そう言ってピエトロと食堂へと向かう。

パパは先に待っており、いつもの様にニコニコとしているわ、いつも変わらず若い姿のパパ。

呪いが解けたからって一気に歳を取ったりしないのね。

「そうそうティナに話があるんだよ~」

とパパと一緒に食事をしている時に急に思い出したように話かけてくるわ。

「どうしたの?」

「僕の友人のレナート君...いやトリヤーニ子爵って知ってるよね、中等科の教師をやってる」

頭を過らせる、ああ、確かに居たわねぇ...パパを心配してよく顔を出してて特にシルヴィオお兄様の進学の件とかでいろいろお世話になったわね。

「そうね、その方がどうしたの?」

「うん、最近結婚して奥さんも先生をやっているんだけど、おめでたい事に奥さんが妊娠してね...」

「へぇ」

「その関係で先生をそのまま続けられなくなって、別な教師を国の機関に依頼してるんだけど赴任に時間がかかるそうなんだよ、でその間の臨時の教師を探しているんだって言うんだよね~」

「おめでたい事だけども教師を探すなんてそれはそれで大変ね」

「で、ティナ、ティナは確か6ヶ国語ペラペラに話せるし、術式系やら司法系とかの資格も沢山持ってるじゃない」

そうそう、いくら貴族でも簡単に貧乏になるんだからいざって時の為に資格は持ってて損は無いと思って学生時代に勉強して大量に資格を取ったわね。

「うん...」

「レナート君にその話をしたら是非ティナを臨時の教師としてお願いしたいって!」

「え!」

パパが無茶な事を言い出したわ!!!!

「お願い聞いてくれないかなぁ?二、三ヶ月の間だし」

「でも私教員の資格までは無いわよ???」

「短期だし、中等科あたりならティナが取得してる資格があれば大丈夫そうだよ~」

「えええ...」

「本当にレナート君困ってるし人助けだと思って...お願いだから...ね!」

うーんパパのお人好し全く治らないんだから...。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

先生……大好き。

中島健華
恋愛
激裏小説となっております

【完結】「私が彼から離れた七つの理由」

まほりろ
恋愛
私とコニーの両親は仲良しで、コニーとは赤ちゃんの時から縁。 初めて読んだ絵本も、初めて乗った馬も、初めてお絵描きを習った先生も、初めてピアノを習った先生も、一緒。 コニーは一番のお友達で、大人になっても一緒だと思っていた。 だけど学園に入学してからコニーの様子がおかしくて……。 ※初恋、失恋、ライバル、片思い、切ない、自分磨きの旅、地味→美少女、上位互換ゲット、ざまぁ。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※小説家になろうで2022年11月19日昼日間ランキング総合7位まで上がった作品です!

温泉旅行で先生を誘惑したら溜まりに溜まった激重野獣セックスでわからせられる話

トリイチ
恋愛
高校時代から密かに付き合っていた体育教師の柴坂先生と初めての温泉旅行、キス以上の進展を期待する冬羽は気合を入れて旅行に臨むが──? pixiv、ムーンライトノベルズ、Fantiaにも投稿しております。 【https://fantia.jp/fanclubs/501495】

先生の甘い誘惑~成熟した身体から滴る蜜~

tartan321
恋愛
高校教師の真理は冷え切った夫婦関係に嘆いていた。そんな中、年上に憧れる生徒たちの視線に気が付き、そのうち自分から肉体関係を迫るようになっていって……。

私を虐げて追い出した家族。その生殺与奪の権をどうやら私は握っているようです!

けろり
恋愛
両親とは違う肌の色を持って生まれた少女メラニー。彼女の受難は誕生の瞬間に始まりました。 うとまれ、嫌われ、憎まれ、笑われる。それがメラニーにとっての世界。 さらに祝福されて生まれてきた妹に両親の愛情の全ては注がれ、メラニーは孤立を深めていきます。 やがてお屋敷を追放されて生きるすべを失ったメラニー。 そんな彼女に手を差しのべたのは全くタイプの違う二人の男。 メラニーの選択は? 家族への断罪の時、メラニーのそばに立つ男は彼女にどんな影響を与えるのでしょうか。   全17話・2万字強で完結します。 残酷な描写も多少含まれます。

清く正しく美しくをモットーに生きてます!

ユウ
恋愛
子爵家令嬢フレデリカは下級貴族出身でありながらも芸術に精通し政治が語れ、詩が読める優秀な令嬢だった。 しかし、社交界では保守的な男性からは疎まれていた。 男尊女卑が未だに根強い国では、女性が学問や政治に興味を持つ事ははしたないとされていたからだった。 特にフレデリカの婚約者のローガスは事あるごとに蔑んだ目を向け、親友の妹のアマンダと比較をしては蔑んで来た。 「淑女が学問をするなどはしたない。少しはアマンダを見習ったらどうだ」 男爵令嬢のアマンダは妖艶な容姿で社交界では有名だった。 対するフレデリカは社交界で地味令嬢と言われ馬鹿にされていた。 「お前さえいなければ俺はこんな惨めな思いをする必要はなかったんだ!」 事あるごとに自分は犠牲になったとフレデリカを責めるローガスについに耐え切れなくなったフレデリカは婚約解消を考えていた矢先、王命により婚約が解消されると告げられた。 ローガスは両手を上げて喜んだのだが、婚約解消には裏があることを知らなかった。

先生と千鶴

井中かわず
恋愛
36歳の官能小説家の男と、その男を愛する18歳の千鶴。 歳の差18歳のふたりは健全とは言いきれない関係を築いていた。 向き合わないまま、欲にのめり込み合うふたり。 それでも、不格好な愛がそこにはあった。 不完全な男女の官能と恋愛の物語。

誰かこの暴走を止めてください

日比木 陽
恋愛
高校生の美夜は、人間として暮らしている。 だが、日常生活に支障が出るほど、欲しい人が現れた。 ーー担任の谷川先生。 生徒である美夜が谷川を欲しがれば、彼に迷惑がかかってしまう。 好きな人を貶めないよう、諦めようとしていたが遂に身体が…ーー? ※「そういうことなら言っておいてください」と繋がっていますが、こちらだけで読めます。 前作ヒロインの妹の話。 ムーンさんにも掲載しています。

処理中です...