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終章 晴れて自由の身になれたのだ!
悪魔アスモデウスよ、永遠の滅びに打ち震えるがいい!
しおりを挟む再度蝗の災厄をと思った時に急にアスモデウスの腕がこちらに伸びてくる!
マックス氏がガードをするも、もう一本の腕が更に伸びてくる!
『我が花嫁よ!』
「しまった!近づきすぎたかも!」
捕まるかと思った瞬間だった、手にある『セプター オブ バーレ』にあしらわれた宝石がゆらゆらと色を変える、よく見ると煌めく金の光が輝き夕闇から夜の空に見える星の様にも見える...その星は11個...これってもしかして...
宝石が光を放つ!とても眩しく11個の星の様な輝きが宙を舞う!
『何っ?この感じはっ!彼の神かっ!!!』
アスモデウスが叫ぶ、神聖さに場が包まれ、星のような輝きが人の形に変わってアスモデウスの周囲を囲む!
『邪悪な悪魔から貴女を守る!皆の希望、ハイラントの祖となる娘よ』
何人もの声が響くと、光り輝く細く長い槍のような物を全員がアスモデウスに向かって投げつける!
その数は11本!そうだ!連なる預言者達の思いが形となって現れたのだ!
全ての光の槍はアスモデウスの身体を貫く!
『グアアアアア!』
大きな断末魔と共にアスモデウスが苦しみもがく。
セプター オブ バーレは尚も光り輝く。
ああ...そうかだから『悪魔の頭を打ち砕く王笏』なのか...と理解する。
セプター オブ バーレを両手で掴みアスモデウスに向かって走る!
『我は悪魔の頭を砕く王笏!敵なる悪魔を滅ぼす者!悪魔アスモデウスよ!マーシャとアビゲイルより続く因果より我は解き放たれるため貴様を滅ぼす!』
大きく振りかぶり、王笏から出る光ををアスモデウスの頭目掛けて振り落とす!
『悪魔アスモデウスよ、永遠の滅びに打ち震えるがいい!』
ドォン!と大きな音をたてる...王笏の光がアスモデウスの頭を直撃すると、アスモデウスの頭からピキピキとヒビのようなものが走る。
『ギャアアアアアア!』
アスモデウスの叫びが響き渡る。
『我ハ...滅ブノカ...アアアアアッ!』
断末魔と共に頭からアスモデウスは砕け落ちる...まるで土の陶器の様にバラバラと...そのかけらは黒い霧になって霧散する。
「倒した...倒した!」
息を切らせながらアスモデウスが立っていた場所を見るとそこには翡翠石の書き板が砕けたものと1人の少年が倒れていた。
「...あれは...もしや」
駆け寄って少年の姿を見る...ああ...これは最初に出会った時の13、4才のジル殿下の姿だ...まだ生きている!
ジル殿下は先程まで着ていた鎧はぶかぶかな状態である。
「アスモデウスが目を覚ます前に戻った???」
マックス氏やディビドも近寄る。
「ヨアヒムの時は赤子にまで戻りましたが...それぞれの罪の大きさや自身の意に反し受肉された場合で変わるのでしょうね...」
ディビドはそう言って細い剣を抜きジル殿下の首目掛けて刺そうとする。
「ダメ!ディビド!殺してはダメ!」
「しかし王位簒奪の罪は重いですよ...そのまま生かす事など出来ません、ヘタレ王子には無理でしょうしここは私が手を穢します」
ディビドの腕を抱きつく様に抑える。
「私はディビドにはもうその手を穢して欲しくは無いから...」
ここまで来てディビドに手を穢させる事は出来ない!
「ならこうすればいいんじゃないですか?」
そう言ってマックス氏はジル殿下の長い髪を掴んでサクッと剣で切る。
「こんな長い金色のキラキラした髪、そこのスケベ王子くらいしか持ってないですもん、それにそこにいる姿なら信じはしないでしょ?」
「流石!マックス氏!」
「あと本人これからどうさせるかですよ...」
「じゃあそれこそ俺がロストックに連れて行く、ロストックにはジルの母親もいるしな」
テオドール様がそう言ってくれる。
「テオドール様!」
「下手な場所に置いておくより俺たちの監視下にあれば心配ないだろう...そして別の人生歩ませるさ!おい!ギュンターとマルガレーテ!コイツの鎧を剥がさせろ、それこそその鎧が倒した証になる筈だからな」
ニヤリとテオドール様は笑顔を浮かべる。
「ありがとうございます!」
テオドール様に礼を言う。
「エルマ様は優しいですよね...はぁ全く敵わないなぁ」
はぁ、とディビドはため息をつく。
「ここまで来てディビド、貴方を『物語』の通りにはさせたくなかったからだよ...ディビドには幸せになって欲しいもの」
そう...もう手を汚す事なく幸せな人生を歩んで欲しいのだ、それこそ『物語』のラストから解放されてね!
そう言うとディビドが真っ赤になる...ん???
「では私との結婚を前向きに考えて下さるって事で良いんですね!」
「へ???」
「だって私にとっての幸せはエルマ様、貴女と一緒になる事ですから!」
と言われ両手を掴まれる!
「ええ...いやぁ...その...」
まずい...まずいぞ...ディビド...そう言えば封印式を使った時に一緒になる事前提で『幸せにしてあげられない』云々言った気がする...
「ディビド!エルマ様はそう言う意味で言ったんじゃないぞ!離せ!!!」
とその馬鹿力で引き離されてしまったよ!
「エルマ様!僕と一緒に逃げちゃいましょう!もう悪魔からの因果も解き放たれた訳だし、僕王様になんてなりたく無いし!」
おおおお...マックス氏...貴様もかぁぁぁ...マックス氏は逃げるとかダメだよぉぉぉ...
「何を無責任な事言っているんですか!この馬鹿王子!お前は神から任命された次期エアヴァルド国王決定なんですから職務全うなさい!」
わーわー言い合いをし始めたよぉぉ...
そう思った瞬間後ろからぎゅうううううっと抱きしめられる!
「エルマちゃん!」
「わぁっ!」
ぎゅうぎゅうと苦しいよぉ...きゅうう....
「くる...し...きゅううううう...」
「「エルマ様!!!」」
「離せ!マルガレーテ!」
「目を離した隙に!」
テオドール様とギュンターさんが引き剥がそうとしてくれてる...うう...気が...遠くなる...きゅうううう...
応援ありがとうございます!
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