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第1章 存在の意義
4話 経過観察
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「稀なケースだが天職が後日顕現することもある。」
占師の言葉を思い出した。あまり当てにならないけどねと言っていたが。それでも今の僕は藁にもすがるつもりでこの言葉を信じるしかなかった。半年くらいは腰を据えよう。それでもわからないようなら村の手伝いでもしよう。僕は心に決めた。
それから家に着いてからも母に説明したがまた泣きそうになってしまった。母は黙って聞いていたが話し終えると父さんと同じく優しく頭を撫でてくれた。そんな光景を見て妹のミヤも母さんに撫で撫でをせがんでいた。
☆
天職発表から3ヶ月。あれから色々なことを試してみた。村長に天職について聞いてみたが、強い思いが必要なのではないかと言われからイメージを持って取り組んでみたりもした。しかし結果は相変わらずだ。
「この際、農家でも漁師でもいいから出てくれないかなぁ・・・。」
そんな独り言を呟きつつ我が家の農地で汗を流しながら耕す。すると
「あ、無能力のアイルだ!」
そんな声が友人だった人達から聞こえる。そちらをみると僕の幼馴染達がこちらを見てた。
無能力と馬鹿にしてきたのはトスタ。僕の憧れていた剣士の天職者だ。級はまだ師範級らしいが色は虹色だったらしい。商家の出身らしく身なりもとても小綺麗で良い生活ぶりが窺える。
「能力もないから効率悪そうだな。」
そう言ったのは肌が良く焼け、短い金髪がトレードマークのクロス。こちらは水属性魔術師の天職者。級は王級らしい。クロスは漁師ギルドに所属する両親がいるためか水属性の適性しかなかったらしい。しかし僕からみると2人はまさに雲上人だ。
そんな声を聞こえないふりをしつつ作業に勤しむ。今にきっといい天職が顕現するはずだと心に言い聞かせながら鍬を振るう。しかし心はズキズキと痛く、暗い気持ちが燻っていた。
・
・
・
☆
天職発表から半年。野菜に水を与える傍ら日に日に強くなる幼馴染達を横目に見ていた。うちの農地と村共用の修練場は隣接しておりほぼ毎日彼らの修練を見ていたが言葉にならないくらいだ。
本当に凄い。
この一言に尽きると思うくらい彼らは能力を伸ばしていた。トスタの斬撃は的の木人を容易く折り、クロスの水魔術は五歳児ほどの大きさの水の塊を射出できるほどだ。師範役の大人達をものともせずに進歩する姿を見て焦りが出てきた。
早く僕もああなりたい、力強く能力を伸ばしたい。
そんなことを思っていると横から声をかけられた。
「あら、見ていても仕事は終わりませんよ?」
そう声をかけた無表情の蒼髪の少女は幼馴染の1人のペンネだ。彼女は白属性魔術師かつ帝級の天職を持つ。同じ弓師の親を持ち話も合うことから幼馴染の中では1番仲が良かった。しかし天職発表から4か月も過ぎると彼女は変化していった。以前のようにお淑やかな態度とは裏腹に毒舌を吐くようになっていた。
「やあペンネ、今から修練かい?」
「ええ、あなたと違ってまだまだ能力を伸ばさないといけませんので。」
では、と言葉少なく修練場に向け歩いていく。以前は変化は少ないが笑顔を見せてくれた彼女の背中を見ることしかできない。僕は、僕らの仲はもう戻れそうにないことを察した。
・
・
・
※
幼馴染グループ紹介
ペンネ :帝級 白属性魔術師。弓師の親を持ちアイルとは以前ま
では家族ぐるみの付き合いがあった。
クロス :王級 水属性魔術師。漁師の両親の手伝いをする中で肌
が良く焼けてある。好戦的な性格。
トスタ :帝級 剣士の天職者。商家の出身でない家庭も裕福。幼
馴染グループの中ではリーダー的存在。魔術はそれほ
ど上手くない。
ジール :王級 剣術士の天職者。剣士と違い様々な剣類を操れ
る。魔術も初級までは使用できる。
占師の言葉を思い出した。あまり当てにならないけどねと言っていたが。それでも今の僕は藁にもすがるつもりでこの言葉を信じるしかなかった。半年くらいは腰を据えよう。それでもわからないようなら村の手伝いでもしよう。僕は心に決めた。
それから家に着いてからも母に説明したがまた泣きそうになってしまった。母は黙って聞いていたが話し終えると父さんと同じく優しく頭を撫でてくれた。そんな光景を見て妹のミヤも母さんに撫で撫でをせがんでいた。
☆
天職発表から3ヶ月。あれから色々なことを試してみた。村長に天職について聞いてみたが、強い思いが必要なのではないかと言われからイメージを持って取り組んでみたりもした。しかし結果は相変わらずだ。
「この際、農家でも漁師でもいいから出てくれないかなぁ・・・。」
そんな独り言を呟きつつ我が家の農地で汗を流しながら耕す。すると
「あ、無能力のアイルだ!」
そんな声が友人だった人達から聞こえる。そちらをみると僕の幼馴染達がこちらを見てた。
無能力と馬鹿にしてきたのはトスタ。僕の憧れていた剣士の天職者だ。級はまだ師範級らしいが色は虹色だったらしい。商家の出身らしく身なりもとても小綺麗で良い生活ぶりが窺える。
「能力もないから効率悪そうだな。」
そう言ったのは肌が良く焼け、短い金髪がトレードマークのクロス。こちらは水属性魔術師の天職者。級は王級らしい。クロスは漁師ギルドに所属する両親がいるためか水属性の適性しかなかったらしい。しかし僕からみると2人はまさに雲上人だ。
そんな声を聞こえないふりをしつつ作業に勤しむ。今にきっといい天職が顕現するはずだと心に言い聞かせながら鍬を振るう。しかし心はズキズキと痛く、暗い気持ちが燻っていた。
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天職発表から半年。野菜に水を与える傍ら日に日に強くなる幼馴染達を横目に見ていた。うちの農地と村共用の修練場は隣接しておりほぼ毎日彼らの修練を見ていたが言葉にならないくらいだ。
本当に凄い。
この一言に尽きると思うくらい彼らは能力を伸ばしていた。トスタの斬撃は的の木人を容易く折り、クロスの水魔術は五歳児ほどの大きさの水の塊を射出できるほどだ。師範役の大人達をものともせずに進歩する姿を見て焦りが出てきた。
早く僕もああなりたい、力強く能力を伸ばしたい。
そんなことを思っていると横から声をかけられた。
「あら、見ていても仕事は終わりませんよ?」
そう声をかけた無表情の蒼髪の少女は幼馴染の1人のペンネだ。彼女は白属性魔術師かつ帝級の天職を持つ。同じ弓師の親を持ち話も合うことから幼馴染の中では1番仲が良かった。しかし天職発表から4か月も過ぎると彼女は変化していった。以前のようにお淑やかな態度とは裏腹に毒舌を吐くようになっていた。
「やあペンネ、今から修練かい?」
「ええ、あなたと違ってまだまだ能力を伸ばさないといけませんので。」
では、と言葉少なく修練場に向け歩いていく。以前は変化は少ないが笑顔を見せてくれた彼女の背中を見ることしかできない。僕は、僕らの仲はもう戻れそうにないことを察した。
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幼馴染グループ紹介
ペンネ :帝級 白属性魔術師。弓師の親を持ちアイルとは以前ま
では家族ぐるみの付き合いがあった。
クロス :王級 水属性魔術師。漁師の両親の手伝いをする中で肌
が良く焼けてある。好戦的な性格。
トスタ :帝級 剣士の天職者。商家の出身でない家庭も裕福。幼
馴染グループの中ではリーダー的存在。魔術はそれほ
ど上手くない。
ジール :王級 剣術士の天職者。剣士と違い様々な剣類を操れ
る。魔術も初級までは使用できる。
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