選ばれた天職は✳︎✳︎✳︎です!! 〜剣と魔術の世界で生き残れ!〜

Nishy

文字の大きさ
4 / 64
第1章 存在の意義

4話 経過観察

しおりを挟む
「稀なケースだが天職が後日顕現することもある。」


 占師の言葉を思い出した。あまり当てにならないけどねと言っていたが。それでも今の僕は藁にもすがるつもりでこの言葉を信じるしかなかった。半年くらいは腰を据えよう。それでもわからないようなら村の手伝いでもしよう。僕は心に決めた。

 
 それから家に着いてからも母に説明したがまた泣きそうになってしまった。母は黙って聞いていたが話し終えると父さんと同じく優しく頭を撫でてくれた。そんな光景を見て妹のミヤも母さんに撫で撫でをせがんでいた。






 天職発表から3ヶ月。あれから色々なことを試してみた。村長に天職について聞いてみたが、強い思いが必要なのではないかと言われからイメージを持って取り組んでみたりもした。しかし結果は相変わらずだ。



「この際、農家でも漁師でもいいから出てくれないかなぁ・・・。」



 そんな独り言を呟きつつ我が家の農地で汗を流しながら耕す。すると



「あ、無能力のアイルだ!」


 そんな声が友人だった人達から聞こえる。そちらをみると僕の幼馴染達がこちらを見てた。
 無能力と馬鹿にしてきたのはトスタ。僕の憧れていた剣士の天職者だ。級はまだ師範級らしいが色は虹色だったらしい。商家の出身らしく身なりもとても小綺麗で良い生活ぶりが窺える。



「能力もないから効率悪そうだな。」



 そう言ったのは肌が良く焼け、短い金髪がトレードマークのクロス。こちらは水属性魔術師の天職者。級は王級らしい。クロスは漁師ギルドに所属する両親がいるためか水属性の適性しかなかったらしい。しかし僕からみると2人はまさに雲上人だ。



 そんな声を聞こえないふりをしつつ作業に勤しむ。今にきっといい天職が顕現するはずだと心に言い聞かせながら鍬を振るう。しかし心はズキズキと痛く、暗い気持ちが燻っていた。







 天職発表から半年。野菜に水を与える傍ら日に日に強くなる幼馴染達を横目に見ていた。うちの農地と村共用の修練場は隣接しておりほぼ毎日彼らの修練を見ていたが言葉にならないくらいだ。

 
 本当に凄い。


 この一言に尽きると思うくらい彼らは能力を伸ばしていた。トスタの斬撃は的の木人を容易く折り、クロスの水魔術は五歳児ほどの大きさの水の塊を射出できるほどだ。師範役の大人達をものともせずに進歩する姿を見て焦りが出てきた。


 
 早く僕もああなりたい、力強く能力を伸ばしたい。 



 そんなことを思っていると横から声をかけられた。



「あら、見ていても仕事は終わりませんよ?」


 そう声をかけた無表情の蒼髪の少女は幼馴染の1人のペンネだ。彼女は白属性魔術師かつ帝級の天職を持つ。同じ弓師の親を持ち話も合うことから幼馴染の中では1番仲が良かった。しかし天職発表から4か月も過ぎると彼女は変化していった。以前のようにお淑やかな態度とは裏腹に毒舌を吐くようになっていた。



「やあペンネ、今から修練かい?」



「ええ、あなたと違ってまだまだ能力を伸ばさないといけませんので。」



 では、と言葉少なく修練場に向け歩いていく。以前は変化は少ないが笑顔を見せてくれた彼女の背中を見ることしかできない。僕は、僕らの仲はもう戻れそうにないことを察した。











幼馴染グループ紹介


ペンネ  :帝級 白属性魔術師。弓師の親を持ちアイルとは以前ま
     では家族ぐるみの付き合いがあった。


クロス  :王級 水属性魔術師。漁師の両親の手伝いをする中で肌 
     が良く焼けてある。好戦的な性格。
 

トスタ  :帝級 剣士の天職者。商家の出身でない家庭も裕福。幼
     馴染グループの中ではリーダー的存在。魔術はそれほ
     ど上手くない。


ジール  :王級 剣術士の天職者。剣士と違い様々な剣類を操れ
     る。魔術も初級までは使用できる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

処理中です...