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第1章 存在の意義
29話 叫び
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☆
幸いにもジールは一名を取り留めた。失った両手は戻らないが命だけでも助かったのだ。最善は尽くした。
あれから毎日、街道の巡察は続けている。回数は少ないが戦闘をする機会も増えてきた。
「アイルさん、今日からは北の森周辺の巡察をお願いしてもいいですか?」
「北の森というと前回狼獣人が出たところですよね?何かあったのですか」
「はい、最近木の伐採をしている方から咆哮が森の奥から聞こえてくる、とのことでして我々としても状況の把握が難航しています」
「なるほど、偵察を実施すればよろしいのですね?」
「はい、もし魔物や魔獣が発生していれば可能なら討伐までお願いします」
「分かりました、今から周辺だけでも見てきます」
「お気をつけください」
ペンネを呼びにいくついでにサタンとも話し合う。
『最近、魔物や魔獣が多いね』
『うむ、冬じゃから活動期でもあるまい。何かありそうじゃな』
『最近は訓練もしてるけど・・』
『お主に与えた操魂士は、仲間がいてこそ輝く力を持っておる。早いとこいい物件が見つかればいいのじゃが』
『何それ、聞いてないよ』
『あの小娘を見れば、同調する前と後では力の差は歴然じゃろ。お主の能力は対象の能力を根幹から底上げするものであるからな』
「う~ん、そんなに何人も仲間になる人ができればいいけど」
『大丈夫じゃ、魂が導いてくれる』
『うん?』
そんなことを念話しているうちに彼女の家に着いた。
玄関から丁度出てきた彼女に声をかける。
「やぁ、ペンネ。今時間ある?」
「えぇ、今からアイルの家に行こうと思ってたところなの」
「時間が省けてよかった。今日からは南の街道から北の森の巡察に内容が変わったから教えとこうと思ってね」
「またあの森へ?何かあったの?」
「最近、謎の咆哮が森から聞こえてくるらしい。それの偵察だよ」
「分かった、ちょっと待ってて」
ペンネは一旦家の中に入り、すぐに出てきた。
杖と帽子を持ってきたようだ。
「さぁ、行きましょう!」
「最近アクティブだなぁ」
僕以上に巡察に力を入れてる彼女。前回のクロスたちのこともあるのだろうか。僕も可能な限りの命は救いたい。
そう決心し彼女の背中を追って歩き出した。
・
・
・
「今日は何も出なかったわね」
疲れたのか少し猫背気味に歩く彼女から呟きが聞こえる。今日は森の入り口あたりからSの字を書くように中盤辺りまでを巡察した。
森は静まりかえっており、足音以外は何も聞こえなかった。本当に咆哮があったのかと聞きたくなるほどだ。
夕日に照らされる村へ向けて、森の入り口から村へと続く道を歩き出した時、背後から大きな咆哮が響いた。
彼女を背中側に回し、森に対峙する。ナニカは飛び出してくる気配はないが、視線を感じる。
今は夕方。再度偵察に向かうと確実にやられてしまうだろう。かと言ってここで奴を放置しても大丈夫だという確証もない。
「ペンネ、冒険者ギルドへ行って報告だけお願いしてもいいかな?」
「構わないけれどアイルはどうするの?」
「僕は森を警戒しつつ帰るよ。今日は村周辺は篝火を増やして警戒に当たってもらわないと」
「どんな魔物がわからないものね」
そうと決まれば長居もする必要がない。暗くなる前に準備するべきこともある。後ろを確認しつつ村へと駆け出した。
闇に呑まれる森の奥から再度咆哮が鳴り響く。
まるで叫び声のようだとアイルは思った。
幸いにもジールは一名を取り留めた。失った両手は戻らないが命だけでも助かったのだ。最善は尽くした。
あれから毎日、街道の巡察は続けている。回数は少ないが戦闘をする機会も増えてきた。
「アイルさん、今日からは北の森周辺の巡察をお願いしてもいいですか?」
「北の森というと前回狼獣人が出たところですよね?何かあったのですか」
「はい、最近木の伐採をしている方から咆哮が森の奥から聞こえてくる、とのことでして我々としても状況の把握が難航しています」
「なるほど、偵察を実施すればよろしいのですね?」
「はい、もし魔物や魔獣が発生していれば可能なら討伐までお願いします」
「分かりました、今から周辺だけでも見てきます」
「お気をつけください」
ペンネを呼びにいくついでにサタンとも話し合う。
『最近、魔物や魔獣が多いね』
『うむ、冬じゃから活動期でもあるまい。何かありそうじゃな』
『最近は訓練もしてるけど・・』
『お主に与えた操魂士は、仲間がいてこそ輝く力を持っておる。早いとこいい物件が見つかればいいのじゃが』
『何それ、聞いてないよ』
『あの小娘を見れば、同調する前と後では力の差は歴然じゃろ。お主の能力は対象の能力を根幹から底上げするものであるからな』
「う~ん、そんなに何人も仲間になる人ができればいいけど」
『大丈夫じゃ、魂が導いてくれる』
『うん?』
そんなことを念話しているうちに彼女の家に着いた。
玄関から丁度出てきた彼女に声をかける。
「やぁ、ペンネ。今時間ある?」
「えぇ、今からアイルの家に行こうと思ってたところなの」
「時間が省けてよかった。今日からは南の街道から北の森の巡察に内容が変わったから教えとこうと思ってね」
「またあの森へ?何かあったの?」
「最近、謎の咆哮が森から聞こえてくるらしい。それの偵察だよ」
「分かった、ちょっと待ってて」
ペンネは一旦家の中に入り、すぐに出てきた。
杖と帽子を持ってきたようだ。
「さぁ、行きましょう!」
「最近アクティブだなぁ」
僕以上に巡察に力を入れてる彼女。前回のクロスたちのこともあるのだろうか。僕も可能な限りの命は救いたい。
そう決心し彼女の背中を追って歩き出した。
・
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「今日は何も出なかったわね」
疲れたのか少し猫背気味に歩く彼女から呟きが聞こえる。今日は森の入り口あたりからSの字を書くように中盤辺りまでを巡察した。
森は静まりかえっており、足音以外は何も聞こえなかった。本当に咆哮があったのかと聞きたくなるほどだ。
夕日に照らされる村へ向けて、森の入り口から村へと続く道を歩き出した時、背後から大きな咆哮が響いた。
彼女を背中側に回し、森に対峙する。ナニカは飛び出してくる気配はないが、視線を感じる。
今は夕方。再度偵察に向かうと確実にやられてしまうだろう。かと言ってここで奴を放置しても大丈夫だという確証もない。
「ペンネ、冒険者ギルドへ行って報告だけお願いしてもいいかな?」
「構わないけれどアイルはどうするの?」
「僕は森を警戒しつつ帰るよ。今日は村周辺は篝火を増やして警戒に当たってもらわないと」
「どんな魔物がわからないものね」
そうと決まれば長居もする必要がない。暗くなる前に準備するべきこともある。後ろを確認しつつ村へと駆け出した。
闇に呑まれる森の奥から再度咆哮が鳴り響く。
まるで叫び声のようだとアイルは思った。
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