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第1章 存在の意義
57話 夜明けの唄
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☆
荒廃した國に一筋の光が放り注がん。その光、一夜にして絢爛な男性となり辺りに蔓延る魔のモノを討ち取らん。
光の武人が誕生して早1年。闇を打ち払った武人、その光に呑まれ残されたのはその者が携えていた御旗のみ。
興国の希望が無くなれど、残るは荒廃した土地のみ。神暦にちなみ、この唄、千年物語として後世に唄い継がれん。
ー 夜明けの唄 吟遊詩人 ギシューより ー
・
・
・
ー キロスカ村 アイル宅 夜明け ー
「終わったね・・」
「はい。でも、興味深かったです」
「・・・」
2冊の書物を机の上で整えたアイルは、振り返り一緒に見ていた彼女達を見た。
ペンネは目元にうっすらと隈を作りつつもハッキリとした感想を述べる。
ユラさんは顔を少し青くして此方を見ていた。
「大丈夫、ユラさん?」
「顔色が優れない様ですが・・・」
徹夜も兼ねて聞いていたのだ。体調が優れないのだろう。そう思っていた時だった。
「私、この話知っています」
ユラさんは青い顔をしたまま話し始めた。
・
・
・
私がまだ里で生活をしていた時のことです。私は当時1人で里の中にある社の周辺でゆっくり過ごすことが日常でした。
その社はお守り様を祀った社でもあり、お守り様と遊ぶ様になった時から社の中に入ることも度々ありました。
社は建立して長い年月が経っているのか、木材は黒く変色し隅のもうでは蜘蛛が巣をかけていたりもしました。
お守り様の社が汚いのではあんまりだと思い、ある日箒と雑巾を手に社の清掃をしていたのです。
社の奥には使われなくなったのか様々な道具や書物が積み重なり、清掃の邪魔をしてきました。
お守り様の手助けを受けつつ、その道具を横に捌けていた時のことです。
一冊だけ明らかに古い羊皮紙の書物が出てきました。
表紙の題名も見ないでその書物を開いた時でした。
『来たか、我が子孫よ』
社内部に若い男性の声が響きました。私は辺りを見渡しても誰も近くにいる様子はありませんでした。
お守り様も気付いた様子はありません。それどころか、私以外の時間がまるで止まっているかの様に静かなのです。木々の揺めきも聴こえなければ衣摺れの音も聴こえません。
聞こえるのは私の呼吸と男性の声だけでした。
『復活の時間まではまだ時間がある。先ずはお主に話を聞かせよう。
何、ただの昔話だと思って聞いてくれ』
それから男性は今の唄を唄い、唄い終わると
『では、また近いうちにな。神名なき我が子孫よ』
その言葉を残したっきり、聴こえなくなりました。お守り様も思い出したかの様に手伝いに戻っていました。
・
・
・
「信じられないですよね。こんな話・・・」
弱々しく呟くユラさん。俯いた顔はどんな表情をしているか分からない。
「私、怖くて。お守り様ともその時はまだ深い関係ではなく聞くに聞けなくて」
確かにいきなりこんな話を聞かされたら誰だって不安になる。しかし・・・
「僕は信じますよ、ユラさん。だって僕らも同じ様な体験をしているじゃないですか」
出来るだけ安心できる様に微笑みながら伝える。
「僕は地獄の王、ペンネは怠惰の悪魔。とてもじゃないですけど人には話せないです」
ユラさんは、はっとした表情で此方を見た。
「そうですよ、私達は悪魔。でもユラさんは守り神。あの2人には言い方が悪いですけど誇っても良いと思います」
僕も首肯すると
『アイル、次から手助けせぬぞ』
不貞腐れた様な声でサタンが念話を送る。
『待って待って、今はほら、彼女を元気付ける為であって・・』
『ふふっ、分かっておるわ』
悪戯に成功した子供の様な無邪気な声が返ってきた。
「ありがとうございます、2人とも。気が軽くなりました」
華の様な笑顔が彼女に咲いた。
・
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荒廃した國に一筋の光が放り注がん。その光、一夜にして絢爛な男性となり辺りに蔓延る魔のモノを討ち取らん。
光の武人が誕生して早1年。闇を打ち払った武人、その光に呑まれ残されたのはその者が携えていた御旗のみ。
興国の希望が無くなれど、残るは荒廃した土地のみ。神暦にちなみ、この唄、千年物語として後世に唄い継がれん。
ー 夜明けの唄 吟遊詩人 ギシューより ー
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ー キロスカ村 アイル宅 夜明け ー
「終わったね・・」
「はい。でも、興味深かったです」
「・・・」
2冊の書物を机の上で整えたアイルは、振り返り一緒に見ていた彼女達を見た。
ペンネは目元にうっすらと隈を作りつつもハッキリとした感想を述べる。
ユラさんは顔を少し青くして此方を見ていた。
「大丈夫、ユラさん?」
「顔色が優れない様ですが・・・」
徹夜も兼ねて聞いていたのだ。体調が優れないのだろう。そう思っていた時だった。
「私、この話知っています」
ユラさんは青い顔をしたまま話し始めた。
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私がまだ里で生活をしていた時のことです。私は当時1人で里の中にある社の周辺でゆっくり過ごすことが日常でした。
その社はお守り様を祀った社でもあり、お守り様と遊ぶ様になった時から社の中に入ることも度々ありました。
社は建立して長い年月が経っているのか、木材は黒く変色し隅のもうでは蜘蛛が巣をかけていたりもしました。
お守り様の社が汚いのではあんまりだと思い、ある日箒と雑巾を手に社の清掃をしていたのです。
社の奥には使われなくなったのか様々な道具や書物が積み重なり、清掃の邪魔をしてきました。
お守り様の手助けを受けつつ、その道具を横に捌けていた時のことです。
一冊だけ明らかに古い羊皮紙の書物が出てきました。
表紙の題名も見ないでその書物を開いた時でした。
『来たか、我が子孫よ』
社内部に若い男性の声が響きました。私は辺りを見渡しても誰も近くにいる様子はありませんでした。
お守り様も気付いた様子はありません。それどころか、私以外の時間がまるで止まっているかの様に静かなのです。木々の揺めきも聴こえなければ衣摺れの音も聴こえません。
聞こえるのは私の呼吸と男性の声だけでした。
『復活の時間まではまだ時間がある。先ずはお主に話を聞かせよう。
何、ただの昔話だと思って聞いてくれ』
それから男性は今の唄を唄い、唄い終わると
『では、また近いうちにな。神名なき我が子孫よ』
その言葉を残したっきり、聴こえなくなりました。お守り様も思い出したかの様に手伝いに戻っていました。
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「信じられないですよね。こんな話・・・」
弱々しく呟くユラさん。俯いた顔はどんな表情をしているか分からない。
「私、怖くて。お守り様ともその時はまだ深い関係ではなく聞くに聞けなくて」
確かにいきなりこんな話を聞かされたら誰だって不安になる。しかし・・・
「僕は信じますよ、ユラさん。だって僕らも同じ様な体験をしているじゃないですか」
出来るだけ安心できる様に微笑みながら伝える。
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