オレとアイツ。

彩璃子

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よく晴れた春の日。


オレは、高校生になった。



「~~~っ!」

初めて袖を通す制服は、やっぱりブカブカだったけれど、パリッとしたものに身をつつむのはなかなか気分が良い。




「こら!レン、入学式から遅刻する気!?いつまで鏡の前で立ってるの!」

「はーいはい、すぐ行くったらー」

「はいは一回!コウくんもう家の前に居るのよ、早くー!」

慌ただしいなー。

まだ背丈を追い抜かせてもいない母親を眺めて、時計に目を向ける。

「っヤバっ!」

慌てて家を出る。

ドンッ!

イタタタ....

「..レン...高校生になってもちっとも周りをよく見てないんだな....」

呆れた顔で18cmほど上から見下ろしてくるのは、オレの最大のライバルであり、悪友であり、生まれてから今までずっと隣にいる幼馴染だ。

「....うっさいなぁ...その身長寄越せや」

「ああぁ、そっか、小さいから見えないのか」

「うっざ。縮め、クソが」

「レン、せっかくかわいい身長してるのにそんなに口悪いんじゃモテないよー?」

おどけた顔で言ってくるコイツは余裕で言い返してくる。

「かわいい身長してるってなんだ!ナメてんのか!それにモテないっつったって俺らが通うの男子校だろが」

「ほらー、そこは合コンとか?でもレンって女の子嫌いかー」

「なっ...嫌いなんじゃねーよ、苦手なんだよ」

「はーいはい、分かった分かった」

本当に分かったのかどうか怪しいところだな....

「.....行くぞ。母さん達待ってる」

「OK~」



今、庭に咲く満開の桜が、優しくオレ達を見送った気がした。

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