転生者は常識外れなのだが…

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7章 軍事介入

解放連合国⑤

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「王国殿の近隣国そして我々が1つの共同体になるのです。そうすれば大戦に対して最大限の対策を講じることが出来る。そう考えるのですよ」

あまりにも不透明でおぼつかない足元ではあるが、それは補強すべきものでは無いかそのような思考がよぎる。大方の予想を裏切らず、一つの共同体になるという画期的な案を提示してくるのは解放連合国の信頼性を持たせることをできている。王国側からしても特段、疑問を投じる必要性を感じさせなかった。

「協力をする際にはどのような関係にするのですか」
こちらの国家関係大臣が質問する。連盟のようなものを作ることは200年前の聖戦の時以来であり、それでも簡易的なものであったらしい。その時、問題になったのは協力関係の不透明さ。力量関係がわからず、指示が正しく伝わらなかったことがあったらしい。それを考えると、的を得ていることである。

「ええ、言い忘れていましたね。たいへん恐縮ではありますが、司令権を有するのは王国殿と解放連合国のみとします。もしも司令が重複しすぎてしまえば前線の停滞が考えられます。そして無いとは思いますが司令機関が崩壊してしまった時、混乱が前線に充満した時、それは我々の敗北を意味するでしょう」

「それにも一理はあると思います」

家臣の一人も納得したようなそぶりをする。

「この連盟にも名前が無いと報告しづらいと思いますので、今、この場で名称を決定しておきたいと思います。解放連合国としては『異種族討伐協力協定』と名付けたいのですがいかがですかな」

魔物を異種族として話をしているのだろうか。ただ、我が国でも魔物に対しての別称蔑称などが無かったため、あまり物言いに慣れていない節があるのかもしれない。

「一つご提案があるのですが、まだ国民の中には大戦の存在を重く考えていない者もいます。そのため、今回のことをすぐにでも国民に説明をするべきなのは重々承知しておりますが、国民の混乱が考えられると思うので、報告は完全に我が国が先の大戦の兆しを目撃し、認めた時にいち早く報告してはいけないでしょうか。もちろん、この場で秘密裏と言ってはなんですが、『異種族討伐協力協定』を結んでおくということに差異はありませんが」

アルベルト=リベルトは少し考えるような趣を見せ、一時的にその場は誰一人喋らないいてついた空気に変貌したように思えた。無論、そのような空気はアルベルト=リベルトによっていとも容易く壊されてしまったが。

「確かに、王国殿の国力を無理に強行することで削いでしまって、被害が拡大するのもこちらとしては望まないことの末路ではありますね。ではこの場で締結の一歩前段階まで終了させておいてその後のことは先ほどおっしゃった通り、公式に認められた時にすることにしましょうか」

少し目を細めて譲歩をしたのだからそちらも誠意を見せてくれと言わんばかりに国王自身に無言の圧力をかけてくる。その人を納得させてしまいそうな優しげな笑顔という仮面の下にはどのような顔が隠れているのだろうか。そのようなことを密かに思案していたのである。ただ、アルファがいち早く気づいたのかアルベルト=リベルトの出した圧力を壊そうと少しばかり殺気を出した。その場にあった重苦しいものは霧散し、代わりにそこには苦笑いだろうか作り笑顔を作っているアルベルト=リベルトの姿があった。この国の大臣は皆、このように思慮が優れているのだろうか。そう考えると、少し恐怖を覚えた。何故ここまで思考が優れたものが地方に残っていたのだろうか。そんな問いに答えるかのようにアルファが少し口角を上げ、その口を開けた。

「この国は身分制を用いず、他民族を集合させているのでしょう。その証拠に隠していたのかは存じ上げませんが、アルベルト=リベルト殿」

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解放連合国が何故、ここまで優れた国家になったのか。それは次回にも語られます!ちなみに、もうちょっと話長くしてもいいかなとは思ったのですけれども、少し余韻を残しておきたいと思いまして。余談ですが、解放連合国の説明文を明日更新しておきたいと思います。
        いつも読んでいただき、誠にありがとうございます!これからも尽力いたしますのでよろしくお願いいたします。
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