オリジナル短編集

なぎ

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宇宙の神秘

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俺は昔から神秘的なものに憧れててさ。
小学生の頃は「宇宙飛行士になる!」なんてよく言ってたよ。
無重力の解放感…体験できたことはないが、圧迫した現代社会には必要なものだと思わないか?
地に足つけて送る日常になんとなく嫌気が差して、歳を重ねるにつれてその憧れは増していくばかりだったんだ。
無重力が恋しくて恋しくて…
俺はとにかく無重力を欲した。
プールに行けって?いやいや、そういうことじゃないんだよ。
宇宙には神秘的な何かがあるだろ?プールなんて、ただの人工の水溜りじゃないか。
色々悩んだ末、俺はある結論に達したんだ。
そうだ。身近に無重力は転がってる。
子宮だよ。羊水に満たされたその中、まさに無重力じゃないか。それに、生命の神秘もそこにはある。
それに気づかされてから、取り憑かれたかのように子宮を求めた。
俺のロケットを飛ばして、子宮という名の宇宙へ向けて大発進。
わかってくれ。俺にとって子宮とは、宇宙そのものなんだ。



妻「へー、それがあなたの浮気の理由ってわけね」
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