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揺らぐ心
24. 疑惑 〜ヴィンフリート〜
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手紙の一件以来、俺は肩の荷が下りたようなすっきりとした心持ちでいた。いったん認めてしまえば、これほど楽なことはない。
リーゼロッテは俺の婚約者だ。
そう意識するにつれ、胸が高鳴る。同時に独占欲がちらりと顔を覗かせるものの、表に出すまでもなく既に彼女は俺の手中にある。激しい動悸に反して、心の内はひどく穏やかで細波一つ立つことはない。
俺の変化にディルクは目敏い。あれからリーゼロッテのことで何か口出ししてくるようなこともなくなった。何故急に彼女を慮るようなことを口走るようになったのかは謎のまま、ひとまずは休戦といったところだ。
だから父上に呼び出された時にも、それがまさかリーゼロッテに関することだとは夢にも思わなかった。てっきり、王位や公務に関する話だとばかり思い込んでいたのだ。
「ディルクとリーゼロッテが……?」
父上の言っていることが最初は理解できず、俺はただ馬鹿みたいに父上の口から出た言葉を繰り返した。
父上は神妙な面持ちで頷いた。
「良くない噂がある」
「まさか」
「火のないところに煙は立たん。ディルクは今どこにいるのだ」
近頃のディルクは、仕事の合間や仕事が終わるとすぐにふらりといなくなる。以前はちゃんと食べて寝ているのか疑問なくらい四六時中執務室にこもっていたものだが。責めるように問う父上の視線が鋭く胸に刺さる。
「あいつはそういうことには疎いからな。ヴィン、お前がきちんと気をつけてやれ。ディルクにその気がなくとも、勘違いする女性はごまんといる。よもやリーゼロッテ王女に限ってそんなことはないとは思うが」
何も言い返すことができず、黙って頭を下げ退出した。
執務室へ続く廊下を急いだ。ちょうどディルクが扉を閉めているところに出くわし、その肩を掴んだ。
「どこへ行く気だ」
「リーゼロッテ様とお約束がございますので、いったん失礼させていただきます」
あっさりと口を割ったディルクに俺は愕然とした。
「お前……リーゼロッテと会っているのか」
ディルクは事もなげに頷いた。
「殿下の命に従ったまでですが、何か問題でも?」
「どういうことだ」
震える拳を懸命に抑えながら問いただした。リーゼロッテとはサロンで話した時から一度も会っていない。もちろんディルクに何か指図した覚えもない。ふつふつと煮えたぎる感情に飲み込まれてしまいそうだった。
「俺に隠れて何をしている」
事と次第によってただじゃおかない、と睨み付けるも、ディルクの表情は飄々としたままだ。
「お忘れですか。殿下が仰られたのですよ。リーゼロッテ様に礼儀作法を身につけさせろ、と」
はた、と考えた。
(……あれか)
リーゼロッテと初めてまともに相対した時に突きつけた『天空の厳しさを(以下略)』。たしかにそんなようなことを記した覚えがある。遠い昔の出来事のようにぼんやりと頭に残ってはいる。そう言えばあれから早一月近く経とうとしている。
(あれを馬鹿正直に守っているというのか)
元はと言えば俺が作ったものだが、リーゼロッテの律儀さには驚きだった。
「……思い出されましたか」
「ああ……しかし何もお前が直接指導することはないだろう」
王室付きの家庭教師は各分野に分かれてそれなりの人数がいる。俺が成人してからは指導対象となる者がいないため城下に出ているが、呼べばすぐに戻ってくるはずだ。
「それに関しましては私も同意見ですが、リーゼロッテ様から直接ご指名をいただいたのでやむを得ません」
「何だと」
父上の言っていたことが頭の中をぐるぐると駆け巡り出す。
(リーゼロッテがディルクを……?)
元々お互いの気持ちがあって婚約を結んだわけではないのだから、こういうことも起こりうる。むしろこのスキャンダルを口実に婚約破棄に持ち込むことも可能だ。
しかし俺は、胸に湧き上がるどす黒い感情に翻弄されるままに、声を張り上げた。
「ならば今日は俺も同席しよう」
(リーゼロッテの気持ちがどこにあるか、この目で直接確かめてやる)
もし彼女の心がディルクにあるということがわかったら、その時は。
「どうしたリーゼロッテ、私が来たことが不服か」
随分と和やかな雰囲気で現れたリーゼロッテは、俺の姿を見つけた途端さっと表情を硬らせた。その変化の早さに、否が応にも眉間に皺が寄る。
おどおどと視線を彷徨わせる様子が庇護欲をそそり、その手を握りたくなる。が、彼女を今怯えさせているのは他でもない俺自身だ。
「いえ……殿下はお忙しい方だと聞いていましたので……」
「多忙ではあるが婚約者との時間を全く作らないほどではない」
あえて婚約者と少し強めに言ったものの、リーゼロッテは特に反応を示さない。やはり彼女の心はディルクにあるのだろうか。
「今日はダンスレッスンと聞いている。私が相手をしよう」
「殿下がですか?」
「不満がありそうだな」
「いえ、そんなことは……」
それ以上俺に異を唱えることに躊躇したのか、リーゼロッテは口を噤んだ。その視線は助けを求めるように俺の肩越しにディルクの方へ注がれている。ディルクはその視線をどう受け止めているのだろうか、じりじりと焼け焦げるような胸苦しさを覚えながら、リーゼロッテの手を掴み強引に部屋の中央に立った。
折れそうなほどに細く見えるリーゼロッテの腰に、そっと手を這わせた。すっと足を踏み出せば、すぐにリーゼロッテも乗ってきた。
出過ぎず、かと言って下がりすぎるということもなく絶妙なタイミングでリーゼロッテはしっかりと俺に合わせステップを踏んだ。初めて合わせるというのに、これほどぴったり寄り添えるとは。
(ディルクから指導を受けているとは言っても……上手すぎやしないか?)
僅かながら疑問が浮かんだ。
テーブルマナーは完璧なのに服装や従者の態度は大袈裟、字は下手くそなのに宝飾品の趣味は悪くない。そしてディルクに指導を請う割には、ダンスのこの実力。
リーゼロッテは、すべてにおいてちぐはぐだ。その何もかもが俺を混乱に追いやる。
戸惑いながら、それでも何とかしたいのはリーゼロッテとディルクを引き離すことだ。両者にとって何のメリットもない関係な上に、俺の苛立ちは増すばかり、誰にとってもマイナスにしか作用しない。父上の言う通り、ここできちんと正しておく必要がある。
「ダンスレッスンはもう必要なさそうだな」
そう囁いてリーゼロッテから体を離した。頬をかすかに染め上目遣いで俺を見上げるリーゼロッテに一瞬見惚れた。
「他のレッスンも、必要なさそうなものから順に取り止めだ。おって知らせる」
「そんな、まだまだ今の私では殿下には釣り合いません」
表情を曇らせ必死に言い募るその目線の先には、背後に控えたディルクがいる。
「私が必要ないと言っているのだから、もう良い」
「でも……」
納得がいっていない様子で、唇を噛み締めている。
そこまで二人を近しくしてしまった、過去の自分の浅はかな行動を呪いたくなる。
しかし起こってしまったことはもう取り返しがつかない。今から挽回するしかない。
「リーゼロッテ、貴方は私のものだ。ディルクには渡さない」
心の奥底に燻っていた思いを吐露した。青く澄んだ瞳が大きく見開かれた。そのまま彼女を引き寄せてみたが抵抗はない。
彼女の背に当てた掌からじんわりと広がる温もりと共に、俺の胸にも温かいものが広がっていく。ようやくこの手に抱くことができた幸福感に包まれる。
しかし彼女の凛とした声が、残酷なまでに俺を傷付けようと刃を向けてくる。
「私は誰のものでもありません。そのように軽々しく所有物扱いされるのは心外です」
リーゼロッテは俺の婚約者だ。
そう意識するにつれ、胸が高鳴る。同時に独占欲がちらりと顔を覗かせるものの、表に出すまでもなく既に彼女は俺の手中にある。激しい動悸に反して、心の内はひどく穏やかで細波一つ立つことはない。
俺の変化にディルクは目敏い。あれからリーゼロッテのことで何か口出ししてくるようなこともなくなった。何故急に彼女を慮るようなことを口走るようになったのかは謎のまま、ひとまずは休戦といったところだ。
だから父上に呼び出された時にも、それがまさかリーゼロッテに関することだとは夢にも思わなかった。てっきり、王位や公務に関する話だとばかり思い込んでいたのだ。
「ディルクとリーゼロッテが……?」
父上の言っていることが最初は理解できず、俺はただ馬鹿みたいに父上の口から出た言葉を繰り返した。
父上は神妙な面持ちで頷いた。
「良くない噂がある」
「まさか」
「火のないところに煙は立たん。ディルクは今どこにいるのだ」
近頃のディルクは、仕事の合間や仕事が終わるとすぐにふらりといなくなる。以前はちゃんと食べて寝ているのか疑問なくらい四六時中執務室にこもっていたものだが。責めるように問う父上の視線が鋭く胸に刺さる。
「あいつはそういうことには疎いからな。ヴィン、お前がきちんと気をつけてやれ。ディルクにその気がなくとも、勘違いする女性はごまんといる。よもやリーゼロッテ王女に限ってそんなことはないとは思うが」
何も言い返すことができず、黙って頭を下げ退出した。
執務室へ続く廊下を急いだ。ちょうどディルクが扉を閉めているところに出くわし、その肩を掴んだ。
「どこへ行く気だ」
「リーゼロッテ様とお約束がございますので、いったん失礼させていただきます」
あっさりと口を割ったディルクに俺は愕然とした。
「お前……リーゼロッテと会っているのか」
ディルクは事もなげに頷いた。
「殿下の命に従ったまでですが、何か問題でも?」
「どういうことだ」
震える拳を懸命に抑えながら問いただした。リーゼロッテとはサロンで話した時から一度も会っていない。もちろんディルクに何か指図した覚えもない。ふつふつと煮えたぎる感情に飲み込まれてしまいそうだった。
「俺に隠れて何をしている」
事と次第によってただじゃおかない、と睨み付けるも、ディルクの表情は飄々としたままだ。
「お忘れですか。殿下が仰られたのですよ。リーゼロッテ様に礼儀作法を身につけさせろ、と」
はた、と考えた。
(……あれか)
リーゼロッテと初めてまともに相対した時に突きつけた『天空の厳しさを(以下略)』。たしかにそんなようなことを記した覚えがある。遠い昔の出来事のようにぼんやりと頭に残ってはいる。そう言えばあれから早一月近く経とうとしている。
(あれを馬鹿正直に守っているというのか)
元はと言えば俺が作ったものだが、リーゼロッテの律儀さには驚きだった。
「……思い出されましたか」
「ああ……しかし何もお前が直接指導することはないだろう」
王室付きの家庭教師は各分野に分かれてそれなりの人数がいる。俺が成人してからは指導対象となる者がいないため城下に出ているが、呼べばすぐに戻ってくるはずだ。
「それに関しましては私も同意見ですが、リーゼロッテ様から直接ご指名をいただいたのでやむを得ません」
「何だと」
父上の言っていたことが頭の中をぐるぐると駆け巡り出す。
(リーゼロッテがディルクを……?)
元々お互いの気持ちがあって婚約を結んだわけではないのだから、こういうことも起こりうる。むしろこのスキャンダルを口実に婚約破棄に持ち込むことも可能だ。
しかし俺は、胸に湧き上がるどす黒い感情に翻弄されるままに、声を張り上げた。
「ならば今日は俺も同席しよう」
(リーゼロッテの気持ちがどこにあるか、この目で直接確かめてやる)
もし彼女の心がディルクにあるということがわかったら、その時は。
「どうしたリーゼロッテ、私が来たことが不服か」
随分と和やかな雰囲気で現れたリーゼロッテは、俺の姿を見つけた途端さっと表情を硬らせた。その変化の早さに、否が応にも眉間に皺が寄る。
おどおどと視線を彷徨わせる様子が庇護欲をそそり、その手を握りたくなる。が、彼女を今怯えさせているのは他でもない俺自身だ。
「いえ……殿下はお忙しい方だと聞いていましたので……」
「多忙ではあるが婚約者との時間を全く作らないほどではない」
あえて婚約者と少し強めに言ったものの、リーゼロッテは特に反応を示さない。やはり彼女の心はディルクにあるのだろうか。
「今日はダンスレッスンと聞いている。私が相手をしよう」
「殿下がですか?」
「不満がありそうだな」
「いえ、そんなことは……」
それ以上俺に異を唱えることに躊躇したのか、リーゼロッテは口を噤んだ。その視線は助けを求めるように俺の肩越しにディルクの方へ注がれている。ディルクはその視線をどう受け止めているのだろうか、じりじりと焼け焦げるような胸苦しさを覚えながら、リーゼロッテの手を掴み強引に部屋の中央に立った。
折れそうなほどに細く見えるリーゼロッテの腰に、そっと手を這わせた。すっと足を踏み出せば、すぐにリーゼロッテも乗ってきた。
出過ぎず、かと言って下がりすぎるということもなく絶妙なタイミングでリーゼロッテはしっかりと俺に合わせステップを踏んだ。初めて合わせるというのに、これほどぴったり寄り添えるとは。
(ディルクから指導を受けているとは言っても……上手すぎやしないか?)
僅かながら疑問が浮かんだ。
テーブルマナーは完璧なのに服装や従者の態度は大袈裟、字は下手くそなのに宝飾品の趣味は悪くない。そしてディルクに指導を請う割には、ダンスのこの実力。
リーゼロッテは、すべてにおいてちぐはぐだ。その何もかもが俺を混乱に追いやる。
戸惑いながら、それでも何とかしたいのはリーゼロッテとディルクを引き離すことだ。両者にとって何のメリットもない関係な上に、俺の苛立ちは増すばかり、誰にとってもマイナスにしか作用しない。父上の言う通り、ここできちんと正しておく必要がある。
「ダンスレッスンはもう必要なさそうだな」
そう囁いてリーゼロッテから体を離した。頬をかすかに染め上目遣いで俺を見上げるリーゼロッテに一瞬見惚れた。
「他のレッスンも、必要なさそうなものから順に取り止めだ。おって知らせる」
「そんな、まだまだ今の私では殿下には釣り合いません」
表情を曇らせ必死に言い募るその目線の先には、背後に控えたディルクがいる。
「私が必要ないと言っているのだから、もう良い」
「でも……」
納得がいっていない様子で、唇を噛み締めている。
そこまで二人を近しくしてしまった、過去の自分の浅はかな行動を呪いたくなる。
しかし起こってしまったことはもう取り返しがつかない。今から挽回するしかない。
「リーゼロッテ、貴方は私のものだ。ディルクには渡さない」
心の奥底に燻っていた思いを吐露した。青く澄んだ瞳が大きく見開かれた。そのまま彼女を引き寄せてみたが抵抗はない。
彼女の背に当てた掌からじんわりと広がる温もりと共に、俺の胸にも温かいものが広がっていく。ようやくこの手に抱くことができた幸福感に包まれる。
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