薮一蔵の体験教室

riktan

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春日 秀紀

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 家が床屋で子供の頃から人の髪をいじるのが好きで、当たり前のように美容師の専門学校に進学。
 卒業後はスカウトしてくれた東京の美容院に就職した。家を手伝うつもりだっけど、就職実績を作りたいからと先生に頼まれて。

 流れ作業、ノルマ、階級制度、何かにつけて別料金、どれもが性に合わなかった。
 2年は辞めるなという圧を掛けられて、ぴったり2年の3月31日付で退職して帰ってきた俺は陰で『負け組』と言われていることも気付いてた。

 そんな時、お母さんの訪問美容師に同行してらいちゃんに出会った。「らいちゃん、れいちゃん」と呼ばれていて二人とも女の子だと思った。

 らいちゃんは顔が幼い割りには背が高いし話し方もしっかりしていて年齢不詳だった。

 俺が東京の有名サロンで働いてたという話題になって、嫌だなって思ってたららいちゃんが普通の笑顔で「東京に行ってたんですか?お帰りさない」って言った。
『もう帰ってきたの?なんで帰ってきたの?』って空気が少しもなくて救われた。

 話してみるとらいちゃんはその年から中学生だった。背が高いんだねって言ったら、4月2日生まれだから中学一年生っていってももう13歳なんでって返ってきた。

 らいちゃんはどこで切ってるのって家に帰ってからお母さんに訊いたら、小学校の卒業式前はウチに来たけど基本は自分で切ってるって言われてショックだった。

 有給を使い切ってるだけだったから、早く帰ってきてればらいちゃんに会えたのに。俺が切れたかもしれないのに。

 その時に家の事情も聞いて、タイミングをみてカットモデルの話を持ち掛けた。

 それからもうすぐ二年。らいちゃんは時々、親戚から貰ったって魚をお裾分けしてくれる。さばいてあったりお刺身になったりしていて、らいちゃんがやってると聞いてびっくりした。
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