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第7話 努力の始まり②
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次に学問の時間。これまで読み書きの授業はありましたが、今日からは国の歴史や算学、外国語などの授業を受けることになります。
学問担当のタバサ・シャンパンゼ先生は、三角形のメガネと渦巻き型の髪型が特徴的な少し変わった女性でした。
「どうかご安心下さいませシエルお嬢様!私にお任せくだされば、ヴィヴィアンヌお嬢様のような聡明な淑女にしてみせますわ!」
タバサ先生は得意げにそう言いました。確かに先生の言う通り、お姉様やお兄様たちは皆タバサ先生に学問を教わりました。そして長女のヴィヴィアンヌお姉様はお父様譲りの知性を持っており、13歳で伯爵家の予算管理や公務を任されているほど賢明な方です。わたしもお姉様のようになれたら凡才令嬢とは呼ばれないでしょう!
「はい、宜しくお願い致します!」
「それではまず算学から始めていきましょう」
こうして学問の授業が始まったのですが……
「シエルお嬢様!そこ、先程と同じ間違えをしていますわよ!」
「え?こ、ここですか?」
「そうですわ!あとここの計算も間違っています!」
「えっ!」
「お兄様方はこれくらいの問題、一瞬で理解し出来ていましたわよ!」
こ、この問題を一瞬で!?正直何をどうすれば解けるかわかりません、やはりお兄様たちはすごいです……いいえ、関心している場合ではありません!わたしも追い付かなくては!
そう奮起するものの、それから対して進むことはなく、最後に行われる復習テストは100点中10点でした。
そして魔法の時間。こちらもお兄様やお姉様たちに魔法を教えていたスティーヴン・ヴィペール先生に教わることになりました。
「シエルお嬢様のお兄様やお姉様方は皆得意とする属性の魔法がありました。聖女として活躍されている次女のジュリエット様は雷の魔法を、錬金術師でもある四女のグレース様は氷の魔法が得意でした。そして——シエルお嬢様もご存じかた思いますが、12歳で魔法局にスカウトされ、王国最年少魔導師となった三女エマ様は、全ての属性を得意としています」
「凄い……!流石エマお姉様です!」
「ですが、得意であることには理由があります。それが魔力です。人間の魔力は火、水、風、土の魔力が混ざり合っています。ですが人によって属性の濃さが違います。その濃さによってどんな魔法が得意であるかがわかります」
「つまり、火の属性が濃ければ火の魔法が得意ということですか?」
「その通りです。これからシエルお嬢様の魔力を測ります。これでどんな魔法が得意かわかりますので」
「よろしくお願いします!」
魔法を使ったことがないわたしは未知の体験に心を躍らせていました。そういえば数週間前にロドルフ様から魔法を見せてほしいと言われて、使ったことがないと言った時はかなり驚かれましたね。確かに、ラパン伯爵家の人間で魔法を使ったことがないと聞かされればそういった反応をされて当然なのかもしれないと今なら思います。
「それでは測定します。そちらの水晶玉に触ってください」
「わかりました!」
こうして魔力の測定が始まりました。一体どんな魔法が得意なのでしょうか……
「まさか……なんということだ………」
測定の結果を見て、スティーヴン先生は驚愕しながら言いました。
「どの属性も平均以下……!!しかも魔力の量も大して多くない!!エマ様の10分の1程度とは……!!」
どうやらとても悪い結果が出てしまったようです。そしてエマお姉様が遥か高みにいる事実を同時に突き付けられました。しっかりとした事実として突きつけられるとやはりショックです。
「………本当にラパン伯爵家の御息女なのですか?」
「!」
「あっ、いえ……失礼致しました。では、気を取り直して魔法の基礎から始めましょう」
「はい……」
スティーヴン先生の授業を聞きながら、参考書を読みますが、先程の言葉が頭から離れません。きっと、ロドルフ様もそう思っていたのでしょう……いいえ、落ち込んでいる場合ではありません。ロドルフ様を見返す為に、なんとしてでも魔法を習得しなくてはなりません。
わたしは沈みそうになる心を抑えながら、授業に専念しました。
学問担当のタバサ・シャンパンゼ先生は、三角形のメガネと渦巻き型の髪型が特徴的な少し変わった女性でした。
「どうかご安心下さいませシエルお嬢様!私にお任せくだされば、ヴィヴィアンヌお嬢様のような聡明な淑女にしてみせますわ!」
タバサ先生は得意げにそう言いました。確かに先生の言う通り、お姉様やお兄様たちは皆タバサ先生に学問を教わりました。そして長女のヴィヴィアンヌお姉様はお父様譲りの知性を持っており、13歳で伯爵家の予算管理や公務を任されているほど賢明な方です。わたしもお姉様のようになれたら凡才令嬢とは呼ばれないでしょう!
「はい、宜しくお願い致します!」
「それではまず算学から始めていきましょう」
こうして学問の授業が始まったのですが……
「シエルお嬢様!そこ、先程と同じ間違えをしていますわよ!」
「え?こ、ここですか?」
「そうですわ!あとここの計算も間違っています!」
「えっ!」
「お兄様方はこれくらいの問題、一瞬で理解し出来ていましたわよ!」
こ、この問題を一瞬で!?正直何をどうすれば解けるかわかりません、やはりお兄様たちはすごいです……いいえ、関心している場合ではありません!わたしも追い付かなくては!
そう奮起するものの、それから対して進むことはなく、最後に行われる復習テストは100点中10点でした。
そして魔法の時間。こちらもお兄様やお姉様たちに魔法を教えていたスティーヴン・ヴィペール先生に教わることになりました。
「シエルお嬢様のお兄様やお姉様方は皆得意とする属性の魔法がありました。聖女として活躍されている次女のジュリエット様は雷の魔法を、錬金術師でもある四女のグレース様は氷の魔法が得意でした。そして——シエルお嬢様もご存じかた思いますが、12歳で魔法局にスカウトされ、王国最年少魔導師となった三女エマ様は、全ての属性を得意としています」
「凄い……!流石エマお姉様です!」
「ですが、得意であることには理由があります。それが魔力です。人間の魔力は火、水、風、土の魔力が混ざり合っています。ですが人によって属性の濃さが違います。その濃さによってどんな魔法が得意であるかがわかります」
「つまり、火の属性が濃ければ火の魔法が得意ということですか?」
「その通りです。これからシエルお嬢様の魔力を測ります。これでどんな魔法が得意かわかりますので」
「よろしくお願いします!」
魔法を使ったことがないわたしは未知の体験に心を躍らせていました。そういえば数週間前にロドルフ様から魔法を見せてほしいと言われて、使ったことがないと言った時はかなり驚かれましたね。確かに、ラパン伯爵家の人間で魔法を使ったことがないと聞かされればそういった反応をされて当然なのかもしれないと今なら思います。
「それでは測定します。そちらの水晶玉に触ってください」
「わかりました!」
こうして魔力の測定が始まりました。一体どんな魔法が得意なのでしょうか……
「まさか……なんということだ………」
測定の結果を見て、スティーヴン先生は驚愕しながら言いました。
「どの属性も平均以下……!!しかも魔力の量も大して多くない!!エマ様の10分の1程度とは……!!」
どうやらとても悪い結果が出てしまったようです。そしてエマお姉様が遥か高みにいる事実を同時に突き付けられました。しっかりとした事実として突きつけられるとやはりショックです。
「………本当にラパン伯爵家の御息女なのですか?」
「!」
「あっ、いえ……失礼致しました。では、気を取り直して魔法の基礎から始めましょう」
「はい……」
スティーヴン先生の授業を聞きながら、参考書を読みますが、先程の言葉が頭から離れません。きっと、ロドルフ様もそう思っていたのでしょう……いいえ、落ち込んでいる場合ではありません。ロドルフ様を見返す為に、なんとしてでも魔法を習得しなくてはなりません。
わたしは沈みそうになる心を抑えながら、授業に専念しました。
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