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「もう一度、希望を持ってもいいですか?」
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『太陽のように、いつまでも輝く女の子でありますように』……。そんな両親の願いから、私はにちかという名前をつけられた。
その願いの通り、私はいつ、どんな時でも笑顔を絶やさない、元気いっぱいの女の子に成長した。『にちかの笑顔は、みんなを元気にするね』と、いつも両親が言っていたことを、私は今でも覚えている。
「辛いことがあっても、笑顔を忘れなければ、きっと最後には幸せになれる」
私はずっとそう信じて、明るく生きてきた。
__大学を卒業して、社会に出るまでは。
「佐々木さん、あんたさぁ、どれだけ迷惑かけたら気が済むわけ?」
30歳、佐々木にちかは今、自分よりも15歳年上の上司の男から、いつものようにネチネチと非難されていた。
「……申し訳ありません」
私もまた、いつものように力なく頭を下げ、機械のように無機質な声で、謝罪の言葉を述べる。
上司はそれがますます気に食わなかったようで、持っていた資料をバシィッ!と私に投げつけた。
「謝りゃあいいってもんじゃないんだよ!!ったく、これだからババアはよぉ……。見た目も地味で仕事しか取り柄がねえんだから、つまんねえミスして足引っ張ってんじゃねぇよ!!」
脳内がぐらつくような大声で罵声を浴びせられても、何の感情も湧かなかった。
入社したての頃は、恐怖、悔しさ、悲しみ、あるいは怒りがぐちゃぐちゃになったような感情に、何度も押しつぶされそうになった。
けれど、もう何度もこのようなことを繰り返されると、何も感じなくなってしまっていたのだった。
散々怒鳴り散らしたり嫌味を言って気が済んだのか、上司は私に、「もう戻っていいぞ」と素っ気なく言った。私は軽く頭を下げて、自分の席に戻る。
その後も、仕事の押し付け、急な残業……。もはや恒例行事となった理不尽を受けつつ、深夜の11時、ようやく退社。
__一体、いつから私はこうなってしまったのだろう。
真っ暗な帰り道をとぼとぼと歩きながら、私は心の中でそう嘆いた。
……あぁ、そうだ。大学の卒業式の数日後、実家を離れてすぐの日……。両親が、交通事故で亡くなったと聞いた日からだ……。
私に希望ある名前を授けてくれて、幼い頃からずっと私を支えてくれた大切な両親。
実家を出る時、“辛いことがあったら、いつでも実家に帰っておいで”と、そんな暖かく、優しい言葉をかけてくれた矢先に、両親はあの世へ逝ってしまった。
思えば、あの日から私は、不幸の道に足を踏み入れていたのかもしれない。
言わずもがなだが、私が入社したのは、不運にもブラック企業と呼ばれる代物だった。だから通夜や葬儀にも、参加させてはもらえなかった。両親とちゃんとお別れしたかったのだが、“入社したばかりで穴を開けられては困る”と、一蹴されてしまった。
それから、初めての作業を説明なしに申し付けられ、質問したら「大人なんだから自分で考えろ」、ミスをしたら「なんでもっと早く言わないんだ」と責められたり、一時間前の出勤や残業、休日出勤は当たり前だと言いつけられたり……と、新卒で、しかも両親を亡くしたことによる傷が癒えてない私に、容赦ないパワハラが襲いかかってきた。
私を助けてくれた両親はもういない。それでも、私には恋人や友達……味方がいると、その時はまだ安心していた。
けれど突然、大学時代から付き合っていた彼氏から、“別れて欲しい”と告げられてしまった。
「にちか、仕事仕事って最近デートに行けてないし、メイクやおしゃれもしなくなってきたし……なんかもう冷めた。最近職場の女の子といい感じだから、未練あってもおっかけてくるなよ」
彼のその言葉は、氷柱となって私の胸に突き刺さった。仕事が辛くて彼を放ったらかしにしてたことは自覚していた。それでも……あんなにバッサリと突き放されるとは、思ってもいなかった。
でも、私を裏切ったのは彼氏だけではない。それを知ったのは、一ヶ月前、高校の同窓会に行った時だ。
トイレに向かった私は、偶然聞いてしまった。
「そういやあ、今日のにちか、なんか元気なかったくない?」
「あー、なんか彼氏と別れたらしいよ。後、仕事きついんだってさ」
それは、仲が良かった友達の声だった。最初は、心配してくれているのかと期待した。けれど、その期待はすぐに、木っ端微塵に砕かれてしまう。
「マジいい気味だよね~!高校時代散々男子に媚び売ってたから、バチが当たったんだよ、きっと!」
「あはは!わかる~!しかもいい子ちゃんぶってていっつもへらへらしてて!ほんとウザかったわ~」
「そうそう、勝手にまとわりついて友達面してさ~。まあでも、かえって笑えるよね!」
……私は耳を疑った。幻聴であると信じたかったが、胸の締めつけは、きつくなるばかり。泣きそうになるのを堪えて、私は逃げるように会場へ戻り、そのまま帰った。
大好きな両親を亡くし、明るい未来を抱いて入社した会社で自尊心を傷つけられ、信頼していた恋人や友達にも裏切られる。
そんな壁に何度もぶつかっていくうちに、私の心は根元からポッキリと折れてしまった。
痛みも苦しみも感じないし、涙はもう一滴も出ない。自分がどんな風に笑っていたかさえ思い出せないし、自分さえも信じることができない。
『太陽のように、いつまでも輝く女の子でありますように』……。そんな両親の願いから付けられた自分の名前が、今では背負いきれないほどに重く感じた。
_____
久しぶりの休日。普段は外出する気もない為に、自宅で寝ることが多いのだが、冷蔵庫の中がもう空になっていたため、今日は買い物に行かざるを得なかった。
眩しい日差し、通行人の笑い声……。全てが煩わしく感じる。
__もう、いっそのこと、死んでしまおうか。
そんなことを考えていた時だった。
ふと、ギターの音と男性の歌声が聞こえてきた。路上ライブでもやっているのかと思いつつも、興味も何もないので、そのまま立ち去ろうとする。しかし……。
「さぁ踊ろう 鮮やかな黄色の花の中 早くおいでと鳥たちが あなたが来るのを待っている」
そのフレーズ、そして穏やかなメロディを聞いて、私はふと、足を止めた。
どこかで聞いたことのある……。直感で、そう思ったからだ。
「ぼくらは仲間さ なにもこわくない さあ パーティをはじめよう」
そのまま、歌に引き寄せられるように、歩みを進める。
……あぁ、思い出した。この歌は……。
__幼い頃、両親がいつも私に歌ってくれていた歌だ。
『お父さん!お母さん!もう一回歌って!』
『ははは、にちかはこの歌が大好きなんだな』
『じゃあ、今度はにちかも一緒に歌いましょうか』
……目を閉じれば、そんな幼い頃の思い出が、蘇ってくるようだ。
あぁ、そうだった。私は、ずっとこの歌が大好きだった。胸の奥から、じんわりと温まってくるから……。それに、両親とのつながりの歌だったからだ。
こんな大切なことまで、いつの間に忘れてしまっていたのだろう……。
「……あの、大丈夫、ですか?」
ふと、そんな声が聞こえてきて、私は現実へ引き戻される。目の前に立っていたのは、先程までに路上ライブをしていたと思われる若い青年だった。どうやら、ライブはもう終わっていたらしい。
「急に驚かせてすいません。悲しそうに泣いていたから、心配になってしまって……」
「……え?」
その言葉を聞いた私は、初めて自分の頬に流れていた、暖かいものに気がついた。
__涙なんて、もう流すことはない。……そう思っていたのに……。
_____
「すい、ません……。ご迷惑を、おかけ、して……」
「いえいえ、気にしないでください。辛い時は、美味しいものを食べるのが1番ですから」
私は今、青年と共にベンチに座り、彼の隣で泣きながら肉まんを食べている。肉まんは、青年が近くのコンビニで買ってくれた物だ。
__そういえば、昔はいつも泣きながら家に帰ると、両親のどちらかが、おにぎりやお菓子といった美味しいものを、用意してくれてたな……。
「……落ち着きましたか?」
肉まんを食べ終わった後、青年は優しい声色で、私にそう声をかけてきた。私がこくん、と頷くと、彼は“よかった”と顔を綻ばせる。
「……あの、何があったかはわかりませんが……俺、毎週の土曜日に、この時間くらいにここにいるんで、よかったらまた来てください。話聞いたり、何かしらの力になれると思うから……。今度は、肉まんよりももっと美味いもん用意するんで!」
青年は、力強い声でそう言って笑いかけた。屈託のない、純粋な笑顔だった。
『辛いことがあったら、いつでも実家に帰っておいで』
最後にそんな暖かく優しい声をかけてくれた両親と、目の前の彼の姿が重なって見える。
ずっと心に絡まっていた鎖が、緩んだような気がした。
__また、裏切られるかもしれない。ましてや、会ったばかりを信用していいのだろうか。
そんな不安もないわけじゃない。
けれど彼は、ずっと忘れていた心の暖かさ、家族との繋がりを、思い出させてくれた。
穢れのない歌声と笑顔に救われた。
……だから、ねえ、神様__。
「……ありがとう、ございます……!」
__もう一度だけ、希望を持ってもいいですか?
その願いの通り、私はいつ、どんな時でも笑顔を絶やさない、元気いっぱいの女の子に成長した。『にちかの笑顔は、みんなを元気にするね』と、いつも両親が言っていたことを、私は今でも覚えている。
「辛いことがあっても、笑顔を忘れなければ、きっと最後には幸せになれる」
私はずっとそう信じて、明るく生きてきた。
__大学を卒業して、社会に出るまでは。
「佐々木さん、あんたさぁ、どれだけ迷惑かけたら気が済むわけ?」
30歳、佐々木にちかは今、自分よりも15歳年上の上司の男から、いつものようにネチネチと非難されていた。
「……申し訳ありません」
私もまた、いつものように力なく頭を下げ、機械のように無機質な声で、謝罪の言葉を述べる。
上司はそれがますます気に食わなかったようで、持っていた資料をバシィッ!と私に投げつけた。
「謝りゃあいいってもんじゃないんだよ!!ったく、これだからババアはよぉ……。見た目も地味で仕事しか取り柄がねえんだから、つまんねえミスして足引っ張ってんじゃねぇよ!!」
脳内がぐらつくような大声で罵声を浴びせられても、何の感情も湧かなかった。
入社したての頃は、恐怖、悔しさ、悲しみ、あるいは怒りがぐちゃぐちゃになったような感情に、何度も押しつぶされそうになった。
けれど、もう何度もこのようなことを繰り返されると、何も感じなくなってしまっていたのだった。
散々怒鳴り散らしたり嫌味を言って気が済んだのか、上司は私に、「もう戻っていいぞ」と素っ気なく言った。私は軽く頭を下げて、自分の席に戻る。
その後も、仕事の押し付け、急な残業……。もはや恒例行事となった理不尽を受けつつ、深夜の11時、ようやく退社。
__一体、いつから私はこうなってしまったのだろう。
真っ暗な帰り道をとぼとぼと歩きながら、私は心の中でそう嘆いた。
……あぁ、そうだ。大学の卒業式の数日後、実家を離れてすぐの日……。両親が、交通事故で亡くなったと聞いた日からだ……。
私に希望ある名前を授けてくれて、幼い頃からずっと私を支えてくれた大切な両親。
実家を出る時、“辛いことがあったら、いつでも実家に帰っておいで”と、そんな暖かく、優しい言葉をかけてくれた矢先に、両親はあの世へ逝ってしまった。
思えば、あの日から私は、不幸の道に足を踏み入れていたのかもしれない。
言わずもがなだが、私が入社したのは、不運にもブラック企業と呼ばれる代物だった。だから通夜や葬儀にも、参加させてはもらえなかった。両親とちゃんとお別れしたかったのだが、“入社したばかりで穴を開けられては困る”と、一蹴されてしまった。
それから、初めての作業を説明なしに申し付けられ、質問したら「大人なんだから自分で考えろ」、ミスをしたら「なんでもっと早く言わないんだ」と責められたり、一時間前の出勤や残業、休日出勤は当たり前だと言いつけられたり……と、新卒で、しかも両親を亡くしたことによる傷が癒えてない私に、容赦ないパワハラが襲いかかってきた。
私を助けてくれた両親はもういない。それでも、私には恋人や友達……味方がいると、その時はまだ安心していた。
けれど突然、大学時代から付き合っていた彼氏から、“別れて欲しい”と告げられてしまった。
「にちか、仕事仕事って最近デートに行けてないし、メイクやおしゃれもしなくなってきたし……なんかもう冷めた。最近職場の女の子といい感じだから、未練あってもおっかけてくるなよ」
彼のその言葉は、氷柱となって私の胸に突き刺さった。仕事が辛くて彼を放ったらかしにしてたことは自覚していた。それでも……あんなにバッサリと突き放されるとは、思ってもいなかった。
でも、私を裏切ったのは彼氏だけではない。それを知ったのは、一ヶ月前、高校の同窓会に行った時だ。
トイレに向かった私は、偶然聞いてしまった。
「そういやあ、今日のにちか、なんか元気なかったくない?」
「あー、なんか彼氏と別れたらしいよ。後、仕事きついんだってさ」
それは、仲が良かった友達の声だった。最初は、心配してくれているのかと期待した。けれど、その期待はすぐに、木っ端微塵に砕かれてしまう。
「マジいい気味だよね~!高校時代散々男子に媚び売ってたから、バチが当たったんだよ、きっと!」
「あはは!わかる~!しかもいい子ちゃんぶってていっつもへらへらしてて!ほんとウザかったわ~」
「そうそう、勝手にまとわりついて友達面してさ~。まあでも、かえって笑えるよね!」
……私は耳を疑った。幻聴であると信じたかったが、胸の締めつけは、きつくなるばかり。泣きそうになるのを堪えて、私は逃げるように会場へ戻り、そのまま帰った。
大好きな両親を亡くし、明るい未来を抱いて入社した会社で自尊心を傷つけられ、信頼していた恋人や友達にも裏切られる。
そんな壁に何度もぶつかっていくうちに、私の心は根元からポッキリと折れてしまった。
痛みも苦しみも感じないし、涙はもう一滴も出ない。自分がどんな風に笑っていたかさえ思い出せないし、自分さえも信じることができない。
『太陽のように、いつまでも輝く女の子でありますように』……。そんな両親の願いから付けられた自分の名前が、今では背負いきれないほどに重く感じた。
_____
久しぶりの休日。普段は外出する気もない為に、自宅で寝ることが多いのだが、冷蔵庫の中がもう空になっていたため、今日は買い物に行かざるを得なかった。
眩しい日差し、通行人の笑い声……。全てが煩わしく感じる。
__もう、いっそのこと、死んでしまおうか。
そんなことを考えていた時だった。
ふと、ギターの音と男性の歌声が聞こえてきた。路上ライブでもやっているのかと思いつつも、興味も何もないので、そのまま立ち去ろうとする。しかし……。
「さぁ踊ろう 鮮やかな黄色の花の中 早くおいでと鳥たちが あなたが来るのを待っている」
そのフレーズ、そして穏やかなメロディを聞いて、私はふと、足を止めた。
どこかで聞いたことのある……。直感で、そう思ったからだ。
「ぼくらは仲間さ なにもこわくない さあ パーティをはじめよう」
そのまま、歌に引き寄せられるように、歩みを進める。
……あぁ、思い出した。この歌は……。
__幼い頃、両親がいつも私に歌ってくれていた歌だ。
『お父さん!お母さん!もう一回歌って!』
『ははは、にちかはこの歌が大好きなんだな』
『じゃあ、今度はにちかも一緒に歌いましょうか』
……目を閉じれば、そんな幼い頃の思い出が、蘇ってくるようだ。
あぁ、そうだった。私は、ずっとこの歌が大好きだった。胸の奥から、じんわりと温まってくるから……。それに、両親とのつながりの歌だったからだ。
こんな大切なことまで、いつの間に忘れてしまっていたのだろう……。
「……あの、大丈夫、ですか?」
ふと、そんな声が聞こえてきて、私は現実へ引き戻される。目の前に立っていたのは、先程までに路上ライブをしていたと思われる若い青年だった。どうやら、ライブはもう終わっていたらしい。
「急に驚かせてすいません。悲しそうに泣いていたから、心配になってしまって……」
「……え?」
その言葉を聞いた私は、初めて自分の頬に流れていた、暖かいものに気がついた。
__涙なんて、もう流すことはない。……そう思っていたのに……。
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「すい、ません……。ご迷惑を、おかけ、して……」
「いえいえ、気にしないでください。辛い時は、美味しいものを食べるのが1番ですから」
私は今、青年と共にベンチに座り、彼の隣で泣きながら肉まんを食べている。肉まんは、青年が近くのコンビニで買ってくれた物だ。
__そういえば、昔はいつも泣きながら家に帰ると、両親のどちらかが、おにぎりやお菓子といった美味しいものを、用意してくれてたな……。
「……落ち着きましたか?」
肉まんを食べ終わった後、青年は優しい声色で、私にそう声をかけてきた。私がこくん、と頷くと、彼は“よかった”と顔を綻ばせる。
「……あの、何があったかはわかりませんが……俺、毎週の土曜日に、この時間くらいにここにいるんで、よかったらまた来てください。話聞いたり、何かしらの力になれると思うから……。今度は、肉まんよりももっと美味いもん用意するんで!」
青年は、力強い声でそう言って笑いかけた。屈託のない、純粋な笑顔だった。
『辛いことがあったら、いつでも実家に帰っておいで』
最後にそんな暖かく優しい声をかけてくれた両親と、目の前の彼の姿が重なって見える。
ずっと心に絡まっていた鎖が、緩んだような気がした。
__また、裏切られるかもしれない。ましてや、会ったばかりを信用していいのだろうか。
そんな不安もないわけじゃない。
けれど彼は、ずっと忘れていた心の暖かさ、家族との繋がりを、思い出させてくれた。
穢れのない歌声と笑顔に救われた。
……だから、ねえ、神様__。
「……ありがとう、ございます……!」
__もう一度だけ、希望を持ってもいいですか?
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