2 / 2
第2話
しおりを挟むーー翌日の昼休み。
「うえぇえ...!?!?」
突然首に冷たい感触がして、体が少しの痙攣を起こす。
「おう晴也、おつかれさん」
振り返ると、同りょ...友達である天竹の姿があった。
(数年前から、天竹に「結構長いこと仲良いんだから同僚って言われるのなんか嫌」と言われ続けている)
「...ビビらせんなって」
首元に目をやると、結構冷えた炭酸飲料か当てられていた。そりゃビクビクなるわけだ。この時期にはあまりに毒である。あと、やってる事が僕に見合わなすぎる。あまりにも青春だ。
「え~ごめんごめん」
一方彼はてへぺろ♡とでも言いたげな悪戯な笑みを浮かべている。ちゃんと魅力を感じるのを否定できないのが1番イライラする。あー、憎らし。
いや、けっして彼が苦手なわけではない(むしろ話したり馴れ合ったりは好きなぐらいだ)。
しかし、スタイルが良ければ、面もよく、社交性も二重丸、自分の魅力も分かっており、恋愛においても1枚も2枚も上手。おまけに何かやらせれば大体出来てしまうようなオールマイティ型という、何とも罪な性質を持った、僕とは正反対の男(いわゆる"スパダリ"ってやつ)なのだ。
そんな、The陽の者みたいなこの男、天竹碧惟がなぜこれほど僕の近くを拒まないのかは、5年以上前から謎のまま。
「そんで、用があるって言ってたけど、用って?」
あぁそうだ。昨日のあれについて相談しようとしていたんだ。
「あのさー、...」
かくかくしかじか、昨日のことを話す。
「んーなるほど、ちゃんと休めよ」
...思っていたより冷たく突き放された感じがするのだが...
「いや、別に休まなきゃいけないほど疲れてる訳でもないんだよ」
「だとしてもそれは休め」
それはもちろん考えた。でも、僕にはその答えは何かが違うような気がする。
「まあ...もう1つ疲れ以外に何かあるとするならば...」
彼は僕が期待していそうなことを口にしようとする。そんな彼を、僕は珍しくきらきらした目で見る。彼はそんな僕に少し呆れたように、
「レイ...とか?」
ん...?レイ...?
「幽霊の霊みたいな」
おぉなるほど...とはならない。
「君には僕がそれほどに頭お花畑に見えるかね?」
「お前それ間接的に俺を攻撃してるの気づいた?」
あ...ほんとだ。と、とぼけてみた。
「はぁ...俺も信じちゃいないけど、霊の気配を感じた時に、その、顬が押さえられているような感覚ってのがあるって聞いたことあってさ」
「...たしかに、まさしく僕の昨日の状況だね」
...しかし、100歩譲って、昨日のあれが霊の仕業だと言うのなら、
「幽霊が僕に何かしらの未練か怨念を持っているということになるのでは?」
「だとしたら、何か心あたりとかは?」
天を仰いで考えてみる。
「...ない」
覚えているだけの記憶を遡ってみたものの、思い当たる節はなかった。
「...そうか」
天竹も、弱々しく相槌を打つ。ちゃんと気にとめて心配してくれていると感じた。
面倒臭いところがあるとはいえ、優しくて仲間想いなやつだとよく実感する。
「晴也って、彼女いたことある?」
「...は?
30近いおっさんが急に恋バナはキモイだろ」
「いや、純粋な質問」
...は?
「あーはいはいいませんよーそうやって僕みたいな無能陰キャ童○をいびるのかハイスペ陽キャ男子はあーやだやだ気味が悪い」
「...ことある事に俺を悪者みたいにすんの辞めてくんない?」
あー、ごめん言いすぎたと少し反省する。
「まあ...!?
100万歩譲って!?天文学的な確率で!?晴也に彼女が出来たとするならば!?本当に架空の話でしかないけど!?ちゃんと彼女との思い出とか、彼女の気持ちとか大事にしろよー!?」
「しっかり言い返してくるじゃねえか...」
まあ、そんなもんか。
「んじゃ、また今度」
「あ、そうだな」
天竹と僕は部署が違うため、約束して会わなければ、かなり長いこと会えない可能性は全然あるのだ。
「またなー天竹」
「あ」
...今度はなんだ?
「碧惟って呼んでくれない?俺だけ名前呼びは変だろ」
...本当に面倒な奴だな。呼び方なんかなんでもいいじゃん。
...まあ、今度から名前で呼んでやってもいいか、なんて自己解決して、
さっきの碧惟のアドバイス的なものが脳から離れていかないことに気づく。
大事にして...
いったいなぜこんな普通の言葉が引っかかるのかはわからないのに。何かがつっかかる。
だいじにして...
だいじにシテね...
ダイジニシテネ?
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
近づいてはならぬ、敬して去るべし
句ノ休(くのやすめ)
ホラー
山中、もしあなたがそれに出会ったら……
近づいてはいけない。
敬して去るべし。
山を降りろ。
六年勤めた会社を辞めた。お荷物だとはわかっていたし、むしろ清々しくもあった。
28歳のコウイチには、仕事より大切なものがあった。
田舎歩きだ。そこ大事なのが学生のときにかじった民俗学だ。廃集落、古い祠、忘れられた神々——それを訪ねることは、彼のたった一つの愉しみだった。
大学時代、民俗学の講義で准教授はこう言った。「神々は神ではない」。人が畏れ、従い、忖度したものがかみになる。その言葉がコウイチを変えた。
会社の営業で関東のあちこちを歩きまわった。コウイチは仕事よりも土地の古老の話に耳を傾けることに熱中した。
ふと見つけた資料にコウイチは目を奪われた。
「名付け得ぬ神」。
東京の西、檜原村の奥深く、コボレザワという場所にその祭祀を担った一族がいたという。山奥には祠があるらしい。だがもう六十年も前に無人になってしまっているようだ。
コウイチは訪ねることにする。
道中、奇妙な老人に出会う。一人目は気のいい古書店主。二人目は何かを知りながら口を閉ざす資料館の老人。そして三人目は——
雪深い山の中でコウイチはついに祠を見つけた。巨大な岩を背にした祠は古び、壊れていたが、まだ人が来ている痕跡があった。
不穏な気配にコウイチは振り向くが、なにもない。
あれ? 鳥の声が、まったくない。
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる