2 / 118
修学旅行編
第一話 新学期
しおりを挟む
2年A組では、ただいま自己紹介の真っ最中。
今年一年、仲良くなれそうな気の良い男子、できるものなら仲良くなりたい可愛い女子、またはその逆がいないか、言い方は悪いがクラスメイトを品定めする新学期恒例のあれだ。
自己紹介する順番は、男子のあいうえお順。
俺の名は『梅谷柊伍』で、『う』で始まるため、割と順番は早く四番目だ。
特段、変わった趣味も特技もないので、毎回、自己紹介に困る。
なんせ、中学三年三学期の通知表はオール3。体重はやや軽いが身長はぴったり平均。身体が平均なら、顔もどこにでもいる平凡な面だ。家は貧乏でも金持ちでもない。高校生らしく羽目を外してみたいが、根は真面目。そんな『THE普通』な高校男子だからだ。
ウケ狙いすることなく、ごく普通のあいさつをして席についた。まあ、他人の自己紹介など、数日後、いや数時間後には忘れてしまうものだ。
順番は、あっという間に男子から女子に移った。ここまでで、まあ仲良くできそうな男子は数名いた。女子はどうだ。
スーッと教室を見回す。
ふーん、今年の女子はレベルが割と高めで良い感じだな。
だが、席順の最後から二番目の彼女を見た瞬間、その気持ちがいっきに吹き飛んだ。
『レベルが高い可愛い女子』、とは違う次元、唯一無二の女子がそこにいた。
その娘の名は『森崎友巴』。
小柄で細身、センター分けのボブの彼女を見た瞬間、俺は人生で初めて恋に落ちた。
※AIで生成した架空の人物(イメージ)です。
背景が微妙ですが、ご容赦ください。
小学校、中学校、それに高校一年の時にもよく目立つ可愛い女子はいたし、好きかもという感情はあった。
だが森崎さんを見た時の衝撃は相当なもので、思わずその場で立ち上がりそうになったくらいだ。
その目、鼻、口、眉毛から、髪型、体型、デコ出しルックまで何もかもが俺の好みにピッタリと当てはまる。一目惚れという域を大きく超えていた。
言うなれば、広大な砂漠の中から、探し求めていた一粒の砂金を偶然見つけた感じである。
そんな衝撃的な高二の初日であったが、田舎の中学出で、奥手の俺は女子とは全く話すことなく、あっという間にゴールデンウィークを迎えた。
当然のことながら森崎さんとの会話時間は、ひと月で『ゼロ秒』だ。
そしてゴールデンウィーク明け。ここから少しずつ、いや急展開で俺と森崎さん、それと彼女らとの関係が動き出す。
久しぶりに見る森崎さんは、四月と変わらず女友だちと教室後方で静かにおしゃべりをしている。その女友だちはみな、クラスでは完全に地味な部類に入る。俺の中では世界一、いや宇宙一である森崎さんも決して目立つタイプではない。
対して教室の真ん中ではクラスのアイドル的存在の女子二人がその友人たちとゴールデンウィークの出来事をケタケタ笑いながら話している。
ガラガラ
「みんな元気そうね。よしよし」
教室に入ってきたのは、二十代後半のスラリとした女教師だ。
クラスでは四月早々から『あけみっち』と呼ばれている。本名は角倉朱海で、このクラスの担任でもあり音楽の先生でもある。
高一からの俺の友人、ヒデキの情報によると学校の近くのマンションで一人暮らしだそうだ。ちなみに、そのマンションには音楽関係を職としている人が多く住んでおり、『完璧な防音』が施されているらしい。
ピアノ専攻らしいすらっとした細い指で平たい小さめの缶箱を持っている。
テーマパークの周年柄でちょっとお値段高めのチョコレートかクッキーでも入っていたのだろう。
「ゴールデンウィーク明けといえば、みんなお待ちかねの席替えね」
そう言い教壇に立った担任の顔がニヤつく。そのニヤつきの意味を考えたがさっぱりわからない。担任にとっては、ただの席替えだろうに。
「加えて二年の一学期といえば大きな行事のアレがあるわよね。でね、担任である私からの勝手な提案なんだけど、今回の席替えで隣同士になったペアでその……」
あけみっちは、そこで言葉を止める。
ペアでその? 何?
教室中が沈黙し、その続きを待った。
<次話:運命の女神様>
果たして俺の隣に座るのは?
今年一年、仲良くなれそうな気の良い男子、できるものなら仲良くなりたい可愛い女子、またはその逆がいないか、言い方は悪いがクラスメイトを品定めする新学期恒例のあれだ。
自己紹介する順番は、男子のあいうえお順。
俺の名は『梅谷柊伍』で、『う』で始まるため、割と順番は早く四番目だ。
特段、変わった趣味も特技もないので、毎回、自己紹介に困る。
なんせ、中学三年三学期の通知表はオール3。体重はやや軽いが身長はぴったり平均。身体が平均なら、顔もどこにでもいる平凡な面だ。家は貧乏でも金持ちでもない。高校生らしく羽目を外してみたいが、根は真面目。そんな『THE普通』な高校男子だからだ。
ウケ狙いすることなく、ごく普通のあいさつをして席についた。まあ、他人の自己紹介など、数日後、いや数時間後には忘れてしまうものだ。
順番は、あっという間に男子から女子に移った。ここまでで、まあ仲良くできそうな男子は数名いた。女子はどうだ。
スーッと教室を見回す。
ふーん、今年の女子はレベルが割と高めで良い感じだな。
だが、席順の最後から二番目の彼女を見た瞬間、その気持ちがいっきに吹き飛んだ。
『レベルが高い可愛い女子』、とは違う次元、唯一無二の女子がそこにいた。
その娘の名は『森崎友巴』。
小柄で細身、センター分けのボブの彼女を見た瞬間、俺は人生で初めて恋に落ちた。
※AIで生成した架空の人物(イメージ)です。
背景が微妙ですが、ご容赦ください。
小学校、中学校、それに高校一年の時にもよく目立つ可愛い女子はいたし、好きかもという感情はあった。
だが森崎さんを見た時の衝撃は相当なもので、思わずその場で立ち上がりそうになったくらいだ。
その目、鼻、口、眉毛から、髪型、体型、デコ出しルックまで何もかもが俺の好みにピッタリと当てはまる。一目惚れという域を大きく超えていた。
言うなれば、広大な砂漠の中から、探し求めていた一粒の砂金を偶然見つけた感じである。
そんな衝撃的な高二の初日であったが、田舎の中学出で、奥手の俺は女子とは全く話すことなく、あっという間にゴールデンウィークを迎えた。
当然のことながら森崎さんとの会話時間は、ひと月で『ゼロ秒』だ。
そしてゴールデンウィーク明け。ここから少しずつ、いや急展開で俺と森崎さん、それと彼女らとの関係が動き出す。
久しぶりに見る森崎さんは、四月と変わらず女友だちと教室後方で静かにおしゃべりをしている。その女友だちはみな、クラスでは完全に地味な部類に入る。俺の中では世界一、いや宇宙一である森崎さんも決して目立つタイプではない。
対して教室の真ん中ではクラスのアイドル的存在の女子二人がその友人たちとゴールデンウィークの出来事をケタケタ笑いながら話している。
ガラガラ
「みんな元気そうね。よしよし」
教室に入ってきたのは、二十代後半のスラリとした女教師だ。
クラスでは四月早々から『あけみっち』と呼ばれている。本名は角倉朱海で、このクラスの担任でもあり音楽の先生でもある。
高一からの俺の友人、ヒデキの情報によると学校の近くのマンションで一人暮らしだそうだ。ちなみに、そのマンションには音楽関係を職としている人が多く住んでおり、『完璧な防音』が施されているらしい。
ピアノ専攻らしいすらっとした細い指で平たい小さめの缶箱を持っている。
テーマパークの周年柄でちょっとお値段高めのチョコレートかクッキーでも入っていたのだろう。
「ゴールデンウィーク明けといえば、みんなお待ちかねの席替えね」
そう言い教壇に立った担任の顔がニヤつく。そのニヤつきの意味を考えたがさっぱりわからない。担任にとっては、ただの席替えだろうに。
「加えて二年の一学期といえば大きな行事のアレがあるわよね。でね、担任である私からの勝手な提案なんだけど、今回の席替えで隣同士になったペアでその……」
あけみっちは、そこで言葉を止める。
ペアでその? 何?
教室中が沈黙し、その続きを待った。
<次話:運命の女神様>
果たして俺の隣に座るのは?
6
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妹の仇 兄の復讐
MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。
僕、孝之は高校三年生、十七歳。妹の茜は十五歳、高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。
その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
