席替えから始まる学園天国

蒼 空馬

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夏休み合宿編

ヒミツの花園

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 日本の少子化を止める最も効果的な方法は、『一夫多妻制』だと思う。
 江戸時代の殿様みたいに、正室に加え側室をもてば、若いうちにたくさんの子どもをもうけられる。
 もちろん、男に経済的に余裕がある場合に限るが。
 そんな制度ができたら、俺は誰を正室、誰を側室にしたいのか……。
 やっぱり友巴ちゃんを正室に、帆乃花ちゃんを側室か。今日は友巴ちゃん、明日は帆乃花ちゃんなんて……。いや毎日二人としちゃう?
 毎晩、大変だなあ。

「ちょっと、シュウゴくん。何、むふふ顔してるのよ。その顔、いやらしい」
 
 俺の方を振り返り、そう言ったのは、正室でも側室でもないサッチだ。
 先日の修学旅行で『裸のおつきあい』をした仲である。もっともサッチには指一本触れていないが。

 この女子、「いやらしい」と人に向かって言うのが癖なのだが、一番いやらしいのは、言った本人だということは、本人含めここにいる全員が認識している。
 サッチは軽蔑して言っているわけではなく、むしろ仲間意識で言っていると思われる。
 友巴ちゃんを正室、帆乃花ちゃんを側室ならば、サッチはよく口のまわるお局といったところか。
 
 修学旅行明けの火曜日。
 近くのファストフード店で、俺はコーヒー、俺以外はジュースを飲みつつ三十分ほど時間をつぶし、今は友巴ちゃん、帆乃花ちゃん、サッチの四人で、担任であるあけみっちのマンションに徒歩で向かっている途中だ。
 ちなみに、修学旅行以来、この四人は、それぞれ下の名前で呼び合うこととなった。ちゃん付け、くん付けはオッケーだ。

 女子三人は、何回もあけみっちのマンションに行ったことがあるため、左へ右へとスイスイ歩いて行く。
 俺はその後ろを金魚のフンみたいについていき、キャッキャ、キャッキャと騒ぐ女子トークを聞いている。

「サッチの胸、大きくてうらやましい」
「うーん、ところがね、トモハ。重くて疲れるし、将来、垂れるかもしれないし、Fカップなりの悩みがあるのよね」
「私も。Eカップだからたまに疲れる」
 
 ん? サッチがFカップで帆乃花ちゃんがEカップ?
 ヒデキによる『胸の大きっランキング』ではサッチは確かEカップ、帆乃花ちゃんはDカップであったが…。

「私、Cカップだから、もうひとサイズ大きくなりたい」
 
 友巴ちゃんはCカップか。
 男が思っているカップサイズとだいぶ隔たりがあるようだ。

「トモハ、大きくするのに一石二鳥の方法があるよ」
「え? どんな方法?」
 
 一石二鳥……、俺に揉まれれば、気持ちが良いし、バストサイズアップにもなるってやつ?

「鶏の胸肉の唐揚げを食べる!」
 
 ……、それな。

「美味しい上に、おっぱいも大きくなるよ」
 
 サッチがクルッと振り返る。

「シュウゴくん。今の話、聞いてたでしょ。その顔、他にも方法あるって顔してるけど。まさか、自分がトモハの胸を揉んで大きくしよう……とか考えてない?」
「ない、ない」
 
 寸分違わず、そのように考えてたけど。
 友巴ちゃんと帆乃花ちゃんが笑うが、どうも修学旅行以来、二人とも照れがあるのか目を合わせてくれない。目が合うと、下を向かれてしまうのだ。

 そうこうしているうちに、大きなマンションの前についた。市内でも有数の高級マンションだ。
 首を上にあげたが最上階が見えない。あけみっちはこの高層マンションに住んでいたのか。
 インターホンであけみっちを呼ぶと、オートロックが解除された。
 中に入ると、ホテルのようなエントランスホール正面に小綺麗なフロントデスクがあり、若い女性コンシェルジュが立っていた。あけみっちと同じくらいの年齢か。一泊数十万円はする高級ホテルのフロントにいそうなキリッとした美人スタッフだ。

「こんにちは、皆様。あけみ様からお聞きしお待ちしておりました」
 
 コンシェルジュの口ぶりからして、女子たちは顔を認識されているようだ。

「こんにちは、シズカさん」
「本日は、サッチ様、ホノカ様にトモハ様もおそろいで」
 
 はー、マンションコンシェルジュも大変だ。住民だけでなく来客者の名前や顔も覚えないといけないなんて。
 しかし、サッチ様って覚え方は……。

「それで後ろの男性は? 格好からして高校生ですか?」
 
 さきほどまでの笑顔を消し、サッチたちに尋ねる。俺が初めてだから、怪しんでいるのか?

「この人、私たちのクラスメイトでシュウゴっていうの」
「シュウゴ様?」
「そう。ニューカイしたの」
 
 ニューカイ??
 サッチの放った言葉がよくわからないが、コンシェルジュの顔つきが明らかに変わった。険しい顔になったのだ。
 彼女は俺たちを無言でエレベーターホールに案内し、ちょうど一階に来ていたエレベーターの扉を開け俺たちを誘導し中に入れる。
 その時には最初の笑顔に戻り、『20』と書かれたボタンを押した。

「あけみ様によろしくお伝えください」
 
 閉まる扉の向こうで、コンシェルジュが丁寧にお辞儀をした。
 スーッと音もなく俺たちが乗った箱が天に吸い込まれる。

「シズカさん、たまに参加するよ。正式な会員じゃないけど」

 背後からのサッチの言葉に、思わず振り向いた。

「え? 何に? 会員?」
「私たちのヒミツの花園クラブ。今、正式な会員が四人で、シュウゴくんが五人目」
 
 はいー?

「あー、ちなみにヒミツの会のヒは秘密の秘だけど、ミツは蜜蜂の蜜ね。考えたのはホノカだけど」
「秘蜜の花園クラブ……」
 
 ニューカイとはその花園クラブとやらの入会のことだったのか。
 それにさっきのコンシェルジュの人も参加しているのか。しかし、あの表情は……。

「20階から25階は音楽関係者ばかり住んでいるんだって。まあ田舎だから有名歌手や作曲家がいるわけではないってあけみっちが言ってたけど……」
 
 そんなふうにサッチが説明してくれたが、コンシェルジュの表情が気になって、右耳から左耳に流してしまった。
 エレベーターホールを右に曲がるとあけみっちが扉の前で待っていた。

「いらっしゃい、みんな。どうぞ、入って」
 
 あけみっちは普段の学校で見せる少しカチッとした格好ではなく、上はパーカー、下はスエットでいずれも薄手の部屋着姿だ。

※AIで生成した架空の人物(イメージ)です。

 余裕のあるスタイルに大人の色気がプンプンする。特にプリっとしたお尻がエロい。
 まあコンシェルジュのことは忘れよう。それよりも、ずっと待っていたこの日を楽しもうではないか。
 友巴ちゃん、帆乃花ちゃんとあんなこと、こんなことするぞー。
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