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夏休み合宿編
過去の男
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洗面所で一人、歯を磨いていると、友巴ちゃんが近づいてきた。
「せっかくの機会だから、あけみっちが何を考えているか、シュウゴくん、探ってきてくれる?」
俺は、歯ブラシをくわえたまま、うなずいた。
あけみっちの部屋の前に立つ。荷物はいっさい持ってきていない。当然、アレもだ。あけみっちの中に入れることはしないと、心に堅く誓っている。
ドアをノックすると、あけみっちのどうぞという明るい声が聞こえてきた。
「失礼しまーす」
うっ。案の定、あの甘い香りが漂っている。
部屋の中はほの暗く妖艶な雰囲気を醸し出している。
他の部屋と異なり、高級そうなデスクが壁際にあり、その上にノートパソコンが開いたまま置かれている。あけみっちはデスクチェアに座ったまま、こちらをクルッと向いた。
部屋着のままで安心した。
「ふふ。他の部屋と違うでしょ。ここ、私の仕事部屋でもあるの。個人情報もあるからパソコンとか書類とか触っちゃダメよ」
あけみっちは、カメラで俺の個人情報を収集していますが。
「座って」
あけみっちが座ってと言ったのは、二人がけソファだ。
俺は指示されるがままソファの真ん中に座る。
「梅谷くんのことだから、この香りのこと、もう気づいているわよね」
なんと返していいかわからず、小さくうなずく。
「この香りはね、その人の本性をほんのちょとだけ引き出す香りなの。あとはその人が心の奥底で考えていることをその人が実際に行動に移すだけ。須藤さんは意識が飛ぶほど香りを炊いてしまったけど。ちなみにコーヒーを飲めば一時的に多少は香りに対する耐性がつくわよ。カフェイン効果かな」
「その人の本性……。それが本当ならサッチはともかく友巴ちゃんや帆乃花ちゃんも、その……、淫乱ってこと?」
「うーん。淫乱と言うより、周りの人を喜ばせたい、という気持ちが出てるのよ。特に君を。森崎さんや佐原さんは、本当に君のことが好きなようね」
そ、そうなのか。
「あの特製ハーブティーは……」
「あれは身体の中を温めるものよ。ストレッチやヨガをする時にも飲むんだけど、飲み慣れないと、アソコまでじんじんと熱くなってくるのよね。それを自分の性欲がうずいていると思い込み、甘い香りもあって、大胆な行動にでちゃうの。私、もう飲み慣れて全然感じなかったけど、濃かったかな?」
あれって健康的なハーブティーだったの?
デスクチェアから立ち上がったあけみっちがソファに近づいてくる。
無言でどちらかに寄りなさいと言っているようだ。
動かないわけにはいかず、腰を浮かし右にずれた。当然あけみっちは俺の左に座る。
肌は触れていないものの、あけみっちの肌の熱を感じる。
「ねえ、梅谷くん。私が初めて手をつないだって話、覚えてる?」
あけみっちは俺の方は向かずに正面を向いて聞いてきた。
「肝試しの時でしょ。みんな覚えてると思うよ」
「うん。じゃあ、本当はもっと進んだって言うのは?」
「それも覚えてる。新幹線で聞いた」
「君と森崎さん、初めて同士だったんだって?」
と 、唐突に何だ?
「私も彼も初めて同士だったの。ちょうどあの小屋でね。どこにでもいるふつーの男子だったんだけど、すごく好きだった。でも付き合っているのがうちの親にバレてね。家柄が釣り合わないって別れさせられたの。そうなることがわかってたから黙っていたんだけど……」
俺も正面を向いてうなずく。
「そのあと付き合った彼氏はお金持ちのプレイボーイだったんだけど、私が処女じゃないことを知って大激怒したの。元々、支配欲の強い彼氏だったから、陰で暴力を振るわれて……」
俺は無意識にあけみっちの顔を見てしまった。その横顔は、笑っているのか、泣いているのか、わからない微妙な表情である。
「彼を喜ばせるためにいろいろとベッドでさせられたの。それでも暴力はなくならない。なかなか別れてもくれず、親同士の争いまで発展しちゃって大変だったの。それからもう男はいいやって、私好みの可愛い女の子と身体を重ねることにしたの」
あけみっちは、いろいろと過酷な人生を送っているようだ。
「ところが今年のクラスに、大好きだった最初の彼と同じ雰囲気を持った生徒がいた。ふつーの男の子」
ふと、あけみっちを見ると目が合った。それが俺ということだろう。
「梅谷くん、君にしかかなえられない私の希望があるの。私が生涯で一番好きだった彼を思い出して、君とエッチしたい。担任と生徒ということはわかっている。でもそうしないと、私、男の人が怖くて、結婚できない」
俺にしかかなえられないか……。あけみっちは俺より十歳くらい歳上だ。可愛いらしい雰囲気も大人の雰囲気もあわせもっており、おそらく女子高生の時は、帆乃花ちゃんくらいの人気者であったに違いない。普通の男なら、あけみっちを抱きたいと思うだろうが、担任だもんな……。
「もう少し香りを強くしてくれる?」
「……いいのね?」
「あけみっちが結婚できるようにするよ」
「ふふ、やっぱり君は優しいね」
チュッと俺の唇にキスをし、あけみっちはソファから立ち上がった。
俺も立ち上がり、荷物の中のコンドームを取りに行こうと思ったが、あけみっちに席にいてと言われた。あけみっちが用意しているのだろうか。
甘い香りが徐々に濃くなる。それにつれ、俺は早くあけみっちを早く抱きたい、入れたいと思うようになってきた。
「須藤さんの時よりも濃くはしないから」
そう言いこちらに戻ってくるあけみっちを、俺はベッドに押し倒した。
「ふふっ。優しくしてね」
俺はあけみっちに覆いかぶさり、その首筋にキスをすると、あけみっちが、あんと小さく声をもらす。
あけみっちは両手を俺の首に回し、大胆な提案をしてきた。
「ねえ、梅谷くん。賭けをしない? 私の中に出して、子どもができたら私と暮らしていずれは結婚。会社の跡取りね。子どもができなかったら、君は自由にしていい。どう?」
「せっかくの機会だから、あけみっちが何を考えているか、シュウゴくん、探ってきてくれる?」
俺は、歯ブラシをくわえたまま、うなずいた。
あけみっちの部屋の前に立つ。荷物はいっさい持ってきていない。当然、アレもだ。あけみっちの中に入れることはしないと、心に堅く誓っている。
ドアをノックすると、あけみっちのどうぞという明るい声が聞こえてきた。
「失礼しまーす」
うっ。案の定、あの甘い香りが漂っている。
部屋の中はほの暗く妖艶な雰囲気を醸し出している。
他の部屋と異なり、高級そうなデスクが壁際にあり、その上にノートパソコンが開いたまま置かれている。あけみっちはデスクチェアに座ったまま、こちらをクルッと向いた。
部屋着のままで安心した。
「ふふ。他の部屋と違うでしょ。ここ、私の仕事部屋でもあるの。個人情報もあるからパソコンとか書類とか触っちゃダメよ」
あけみっちは、カメラで俺の個人情報を収集していますが。
「座って」
あけみっちが座ってと言ったのは、二人がけソファだ。
俺は指示されるがままソファの真ん中に座る。
「梅谷くんのことだから、この香りのこと、もう気づいているわよね」
なんと返していいかわからず、小さくうなずく。
「この香りはね、その人の本性をほんのちょとだけ引き出す香りなの。あとはその人が心の奥底で考えていることをその人が実際に行動に移すだけ。須藤さんは意識が飛ぶほど香りを炊いてしまったけど。ちなみにコーヒーを飲めば一時的に多少は香りに対する耐性がつくわよ。カフェイン効果かな」
「その人の本性……。それが本当ならサッチはともかく友巴ちゃんや帆乃花ちゃんも、その……、淫乱ってこと?」
「うーん。淫乱と言うより、周りの人を喜ばせたい、という気持ちが出てるのよ。特に君を。森崎さんや佐原さんは、本当に君のことが好きなようね」
そ、そうなのか。
「あの特製ハーブティーは……」
「あれは身体の中を温めるものよ。ストレッチやヨガをする時にも飲むんだけど、飲み慣れないと、アソコまでじんじんと熱くなってくるのよね。それを自分の性欲がうずいていると思い込み、甘い香りもあって、大胆な行動にでちゃうの。私、もう飲み慣れて全然感じなかったけど、濃かったかな?」
あれって健康的なハーブティーだったの?
デスクチェアから立ち上がったあけみっちがソファに近づいてくる。
無言でどちらかに寄りなさいと言っているようだ。
動かないわけにはいかず、腰を浮かし右にずれた。当然あけみっちは俺の左に座る。
肌は触れていないものの、あけみっちの肌の熱を感じる。
「ねえ、梅谷くん。私が初めて手をつないだって話、覚えてる?」
あけみっちは俺の方は向かずに正面を向いて聞いてきた。
「肝試しの時でしょ。みんな覚えてると思うよ」
「うん。じゃあ、本当はもっと進んだって言うのは?」
「それも覚えてる。新幹線で聞いた」
「君と森崎さん、初めて同士だったんだって?」
と 、唐突に何だ?
「私も彼も初めて同士だったの。ちょうどあの小屋でね。どこにでもいるふつーの男子だったんだけど、すごく好きだった。でも付き合っているのがうちの親にバレてね。家柄が釣り合わないって別れさせられたの。そうなることがわかってたから黙っていたんだけど……」
俺も正面を向いてうなずく。
「そのあと付き合った彼氏はお金持ちのプレイボーイだったんだけど、私が処女じゃないことを知って大激怒したの。元々、支配欲の強い彼氏だったから、陰で暴力を振るわれて……」
俺は無意識にあけみっちの顔を見てしまった。その横顔は、笑っているのか、泣いているのか、わからない微妙な表情である。
「彼を喜ばせるためにいろいろとベッドでさせられたの。それでも暴力はなくならない。なかなか別れてもくれず、親同士の争いまで発展しちゃって大変だったの。それからもう男はいいやって、私好みの可愛い女の子と身体を重ねることにしたの」
あけみっちは、いろいろと過酷な人生を送っているようだ。
「ところが今年のクラスに、大好きだった最初の彼と同じ雰囲気を持った生徒がいた。ふつーの男の子」
ふと、あけみっちを見ると目が合った。それが俺ということだろう。
「梅谷くん、君にしかかなえられない私の希望があるの。私が生涯で一番好きだった彼を思い出して、君とエッチしたい。担任と生徒ということはわかっている。でもそうしないと、私、男の人が怖くて、結婚できない」
俺にしかかなえられないか……。あけみっちは俺より十歳くらい歳上だ。可愛いらしい雰囲気も大人の雰囲気もあわせもっており、おそらく女子高生の時は、帆乃花ちゃんくらいの人気者であったに違いない。普通の男なら、あけみっちを抱きたいと思うだろうが、担任だもんな……。
「もう少し香りを強くしてくれる?」
「……いいのね?」
「あけみっちが結婚できるようにするよ」
「ふふ、やっぱり君は優しいね」
チュッと俺の唇にキスをし、あけみっちはソファから立ち上がった。
俺も立ち上がり、荷物の中のコンドームを取りに行こうと思ったが、あけみっちに席にいてと言われた。あけみっちが用意しているのだろうか。
甘い香りが徐々に濃くなる。それにつれ、俺は早くあけみっちを早く抱きたい、入れたいと思うようになってきた。
「須藤さんの時よりも濃くはしないから」
そう言いこちらに戻ってくるあけみっちを、俺はベッドに押し倒した。
「ふふっ。優しくしてね」
俺はあけみっちに覆いかぶさり、その首筋にキスをすると、あけみっちが、あんと小さく声をもらす。
あけみっちは両手を俺の首に回し、大胆な提案をしてきた。
「ねえ、梅谷くん。賭けをしない? 私の中に出して、子どもができたら私と暮らしていずれは結婚。会社の跡取りね。子どもができなかったら、君は自由にしていい。どう?」
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