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ミツハナ脱退編
さようなら、あけみっち その2
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いよいよあけみっちとみんなのお別れの時だ。
2年A組の生徒だけ音楽室に残り、帆乃花ちゃんがみんなの前でアルバムをあけみっちに渡した。
そのアルバムを手にあけみっちが挨拶をする。
「みんなの楽しそうな雰囲気が感じられる写真、ありがとう。ずっとずっと大切にします。みんなはきっと、10年後、20年後には立派な大人になっていると思います。そんなみんなの姿を見られるのを楽しみにしてます。きっと辛いこと、悲しいこともあるけど、これからの人生、自分と周りの人たちを大切にして、楽しく充実した日を過ごしてください。みんな、ありがとう」
あけみっちは皆の拍手の中、照れながら音楽室を出て行った。
あけみっちの背中を見ながら、もうこの音楽室で、あけみっちと二人っきりになることはないのかと思い、すごく寂しい気持ちになった。
皆で教室に戻るとさらに寂しい気持ちになった。
もうこの教室には来ることはない。もうこの仲間と同じクラスになることもない。
明るい小太り男子をはじめ、騒いでいる連中もいるが帆乃花ちゃんや友巴ちゃんは泣きそうな顔をしている。いつもクラス一騒がしいサッチまで……。
誰も帰る気配がないまま時は過ぎ、副担任が入ってきて帰宅するように告げられた。
「この後、いつものファストフード店に行こうか」
友巴ちゃんたち3人に声をかけた。
2年生最後の日だ。やっぱり楽しくワイワイと終えたい。
「4月になったら、シュウゴとホノカとはお別れ決定だし、私どうしよう……」
めずらしくサッチの声が暗い。
「サッチなら、持ち前の明るさで誰とでも仲良くできるよ」
帆乃花ちゃんが、サッチの腕をポンと触る。
「蜜花メンバーは他のコと全然違うもん。トモハだって、特進クラス目指すって言ってるし」
「サッチも私と一緒に目指そうよ。ホノカちゃんやシュウゴくんと同じクラスに編入されるかもしれないよ」
「私、そんなに賢くないもん」
帆乃花ちゃんが俺の顔を見る。たぶん、ココアに誘っても良いかという顔だ。
俺は首を横に振った。
悪いがココアは俺にとっての聖地だ。サッチは聖地を荒らすに違いない。
「私だって賢くないよ。でも頑張るよ」
「どうしてそんなにトモハは頑張るの?」
俺がいるからという理由だろうが、それをサッチに言うのだろうか?
「……誰にも言ってなかったけど、私の親戚がイギリスにいて、大学生になったら留学しに来いって誘われてて」
「えっ!」
俺は思わず声を出してしまった。
帆乃花ちゃんやサッチも驚いている。
「私もすごく興味があるから行きたいんだけど、一定レベルの大学に行かないとダメって親から言われて……」
「そうなんだ……。私も何か目標を持てばいいのかな」
サッチが窓の外の遠くを見つめる。
他の二人も、俺も黙ってしまった。
写真部の先輩たちと同じように、ワイワイと騒いで2年生の最後の日を終えたかったが、2年生で最も心が沈んだ日になってしまった。
2年A組の生徒だけ音楽室に残り、帆乃花ちゃんがみんなの前でアルバムをあけみっちに渡した。
そのアルバムを手にあけみっちが挨拶をする。
「みんなの楽しそうな雰囲気が感じられる写真、ありがとう。ずっとずっと大切にします。みんなはきっと、10年後、20年後には立派な大人になっていると思います。そんなみんなの姿を見られるのを楽しみにしてます。きっと辛いこと、悲しいこともあるけど、これからの人生、自分と周りの人たちを大切にして、楽しく充実した日を過ごしてください。みんな、ありがとう」
あけみっちは皆の拍手の中、照れながら音楽室を出て行った。
あけみっちの背中を見ながら、もうこの音楽室で、あけみっちと二人っきりになることはないのかと思い、すごく寂しい気持ちになった。
皆で教室に戻るとさらに寂しい気持ちになった。
もうこの教室には来ることはない。もうこの仲間と同じクラスになることもない。
明るい小太り男子をはじめ、騒いでいる連中もいるが帆乃花ちゃんや友巴ちゃんは泣きそうな顔をしている。いつもクラス一騒がしいサッチまで……。
誰も帰る気配がないまま時は過ぎ、副担任が入ってきて帰宅するように告げられた。
「この後、いつものファストフード店に行こうか」
友巴ちゃんたち3人に声をかけた。
2年生最後の日だ。やっぱり楽しくワイワイと終えたい。
「4月になったら、シュウゴとホノカとはお別れ決定だし、私どうしよう……」
めずらしくサッチの声が暗い。
「サッチなら、持ち前の明るさで誰とでも仲良くできるよ」
帆乃花ちゃんが、サッチの腕をポンと触る。
「蜜花メンバーは他のコと全然違うもん。トモハだって、特進クラス目指すって言ってるし」
「サッチも私と一緒に目指そうよ。ホノカちゃんやシュウゴくんと同じクラスに編入されるかもしれないよ」
「私、そんなに賢くないもん」
帆乃花ちゃんが俺の顔を見る。たぶん、ココアに誘っても良いかという顔だ。
俺は首を横に振った。
悪いがココアは俺にとっての聖地だ。サッチは聖地を荒らすに違いない。
「私だって賢くないよ。でも頑張るよ」
「どうしてそんなにトモハは頑張るの?」
俺がいるからという理由だろうが、それをサッチに言うのだろうか?
「……誰にも言ってなかったけど、私の親戚がイギリスにいて、大学生になったら留学しに来いって誘われてて」
「えっ!」
俺は思わず声を出してしまった。
帆乃花ちゃんやサッチも驚いている。
「私もすごく興味があるから行きたいんだけど、一定レベルの大学に行かないとダメって親から言われて……」
「そうなんだ……。私も何か目標を持てばいいのかな」
サッチが窓の外の遠くを見つめる。
他の二人も、俺も黙ってしまった。
写真部の先輩たちと同じように、ワイワイと騒いで2年生の最後の日を終えたかったが、2年生で最も心が沈んだ日になってしまった。
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