魔女のとある一日【一話完結】

青緑 ネトロア

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プロローグ

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 冒険者が足を踏み入れず、国の兵士が遠征する際は必ず迂回が必要な森がある。
 その森に入ったものは迷わされ、出ることが叶わないと言い伝えられていた。
 しかし誰にも知られていないが、森の奥には一つの家が存在し、そこには一人の魔女と一匹の犬が暮らしていた。


「駄犬。見回りに行ってきて。」
「はっ?もうボケたのか。昨日言っただろうに」
「昨日は昨日。今日は今日でしょ?行ってきなさい。」
「ふざけるな。なぜ俺様が行かなならんのだ。お前なら簡単にできるだろ」
「行かないなら、飯抜きね。」
「…行きますよ!行けば良いんだろうが!」

 平穏(?)な日々を過ごす今日この頃。
 愚痴を吐きながらも、扉へ向かう小型犬。
 それを見送りながら、素焼きの窯に水を入れる魔女ネルガー。
 この家には魔女ネルガー・リェネレットと、普段は小型犬のフリをしているティオスと、もう一人暮らしている。

「イタタタ。おい、起こしてくれてもいいだろうが!少しは年寄りを労われんのか?」
「誰が年寄りですって?」
「俺だよ。お前ぇみたいに若作りしてる訳じーー」
『ショット』
ーードガンッ

 寝起きで頭を掻きながら歩いていた燻んだ金髪の髭男の顔、数センチ先の壁に氷の槍が刺さる。
 寝ぼけていた目は冴え、顔色は血の気が引いている。

「っぶな!?」
「惜しい。」
「今、絶対ピアス狙ってただろ!」
「えぇ?知らなーい」
「お前が何でもできる魔女だからって、何でも壊して良いことにはならねぇぞ?良い加減しろや」
「もう一発いっとく?」
「ーーいえ!魔女様に口出しなんて、恐れ多く。」
「残念ね。はぁ」

 魔女が身構えたと同時に、手のひらを返したように平謝る男。
 カケラも期待していなかったように、魔女は魔法を解く。
 ちょうどそこへ見回りから帰ってきた犬が扉から入ってくる。

「お前もコリねぇよなぁ」
「へへ。でも、それはお前もだろ?」
「違ぇね。」
「「はははっ」」
「ほら。食べないなら、投げるわよ?」
「「(いえ、)いただきます!」」
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