眠りから目覚めたけど、ここどこですか【一話完結】

青緑 ネトロア

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 かつてどの種族も近寄らず、生活することができず、誰も足を踏み入れることのない不毛の荒野が存在した。
 そんな荒野に、いつ生まれたかも記憶すら分からない生と死を超越した闇の王がいた。
 闇の王には、グールやスケルトンといったアンデッドを召喚・生成ができる力を持っていた。
 だが闇の王は争いごとが嫌いで、力を振りかざす行為が好まない性格をしていた。

 ある時、廃墟と化した都市を徘徊していると、痩せ細った一人の子供を拾う王。
 その子供を支えるうち、闇の王は心の内から暖かい何かを感じ、廃墟を中心に見放された者や部族などから追放された者を拾っては育てていった。
 始めは怯えたり恐縮したりと様々な感情を抱えていた者が多かったが、王の支える生活環境に順応を果たし、王から漏れ出す力…魔素を取り込んだ者は若返り力を身に付けていく。
 力を付けた者は、そのほとんどが王の側から離れ、自分の居場所を作りに向かった。
 誰もが王に別れる際は感謝を告げ、同じ思想のもとで手を組み、ある者は居場所を作った。
 ある者は国を興し、自身と同じ境遇にいる者が暮らせるよう方針を立てた。
 ある者は荒野と同じように、人の手が入ることのない土地や島を定め、自身に忠義を誓う眷属を増やして暮らせる場を作り上げた。

 王が安住の地と荒野を定めた途端、王から漏れ出していた魔素が膨れ上がり、ソレは荒野を飲み込んだ。
 そして荒野だけに留まらず、外の国家を巻き込んで魔素が溢れかえった。
 魔素は多種族に阻害や侵食といった悪影響を及ぼし、その中でも人族は魔法を扱う力に制約が加わった事で原因を探る国が増えていった。
 調査を続けること数年経つと、誰もが足を踏み入れなかった荒野に原因があると特定した事をキッカケに、人族の国々は連合を立ち上げた。

 魔素から作り出した眷属の一種族によって、人族の国々から狙われており、原因が地震から漏れ出る魔素だと知ると、己を封印する設備を作り始めた。
 王の側を片時も離れずに仕え続けた者の中から、最も力を身に付けた四者を呼んだ。
 雑種として追放された竜種イグルス。
 種族が継がれてきた物とは違う物を授かったとして捨てられた大鷲ガルター。
 森を管理していたが多種族が開拓した為に枯れていたドライアド。
 王の魔素に濃く順応したロテア。
 この四者は王が拾い、始めて眷属になった者たちだった。

 闇の王は嘆き悲しむ四者に後を託し、結晶体の中へ入り、自身を封印した。
 それと同時に外へ漏れていた魔素が源泉から切り離され、連合軍が進軍を始めた頃には消え去っていた。
 王の存在を感じ取れなくなった、かつての子供たちは自身の眷属を引き連れ、荒野へと向かった。
 荒野の王の住まいに辿り着いた者たちは眠りについた王を前に通夜のような光景を目の当たりにした。

 連合軍を退けた後、王の眠る結晶体を中心に国を興した。
 人族を除いた多種族国家を。


ーーそれから数千年の時を経て

 暗い闇の中に鎮座する結晶体が砕け散ると、そこからボロ布を身に纏った骨…スケルトンが立っていた。
「えっ。ここどこ!?」
 それは永い眠りによって、退化した王であった。
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