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しおりを挟む会議室の出入り口の手前に着くと、護衛騎士はセリアの側で、いつでも出れるように控えていたが、セリアはそんな場合ではなかった。会議室の扉は開け放たれていて、その先にある無残な光景にセリアは目を見張った。机に置いてあっただろう飲み物の入れ物が床を転がって、中身が撒かれている。そして職員に出されていた茶菓子すら、元の原型を留めていない状態で残されている。せめて残っていたのは、喧騒が起こっている冒険者たちの後方で、固まっている冒険者たちが手に持っている茶菓子くらいだった。出入り口でセリアが葛藤している間も、セリアが来たことにも気付かない様子で冒険者たちの喧騒は続いている。
「おい、こんな所に来たのは間違いだったんだ!すぐにでも出るぞ、こんな所」
「まあまあ、落ち着きなよ。ここは僕の行きつけなんだ。特に、ここは買い取りに協力的なんだから。」
「ふざけんな!こんなショボい商会なんか、オレは聞いたこともねえぞ!? 良いから、さっさと出るぞ!」
「そもそも僕は来るときに説明したよね?何で来て早々に怒鳴り出すのさ!? 言っとくけど、君が来たいって言うから黙っとくことを条件に付いてきたんだよ?」
「そんな話はしてねえ! とにかくお前も出るぞ、こんなショボい商会に用はねえ!」
『………』
「さあ、行くぞ!お前も商業組合に行けば、高値で買ってくれるさ!」
「………僕たちは。行かない、あんな所。」
「はっ?」
「数日前なら、君らと同じ思考だったよ。でも僕にはここしか頼める場所は無いんだよ!出ていくなら、お前らだけで行けば良い!」
「なんだと?つまりオレの話は聞けないって事かよ!ああ、もう。オレはお前のことを想って言ってやってるんだぞ、それをお前は!」
「良い迷惑だ!僕は、僕たちは、君らの言う通りに動かない!平等に扱うという僕の方針に逆らうなら、パーティーを解散する!」
「なっ!? そんなことをして良いと思ってるのかよ!いくらリーダーだからって、許さねえぞ!」
会議室で言い争いが次々と続いていく。冒険者としては複数人いるが、少人数派は暴言や侮辱を罵っている。その他は2グループに分けられる。1つはリーダーに寄り添って少人数派の暴言や侮辱発言にガタガタ震えながら、対抗している。リーダーは少人数派の意見を始めこそ宥めていたが、堪忍袋の緒が切れたのか荒い言動が目立ち始める。そしてセリアの耳に、ある一言が聞こえたことでビクっと肩が揺れる。
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