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しおりを挟む保護者Side——
メノアとユキが庭園に向かっている頃、王と王妃は執務で忙しく取り掛かっていた。
昨晩食堂で暴れていた二人にカミナリが落とされ、我に返った二人は荒らされた食堂を責任転嫁しようと躍起になるが、今度は威圧されて押し黙る他なかった。
その二人を執務室へ連れてきた宰相ヴァルシェレスは扉前で監視を行なっていた。
「ガエウス。フェリノース様。食堂の復帰は時間がかかるとのことです。よって修繕が終わるまで、王女殿下との接触を禁止します。」
「ちょっと待て。儂の癒しを奪う気か?」
「大体!この人が話をややこしくするからっ。」
「あなた方の話は私にとって一番どうとなろうがよろしいのですが。」
「「んなっ!?」」
心外そうな二人だが、宰相はため息混じりに呆れた顔をしている。
「少なくとも王女殿下のためとか言って、サボり続けたツケが来たと思ってください。寝ずに今まで執務に付き合っていただいたことに、私は感動しております。何かと逃げては行方を捕まえられず、王族だけあって侍女らに酷ですし。」
「「………」」
「ガエウスは国王でありながら、外向きは良いのに毎度毎度逃げるなんて、あるまじき行為ですよ。なんでこんな人が王位を継げたのでしょうか。はぁ。」
「そりゃ、継承権一位が儂だったからだろう。他は他国に婿入りしていたし。それに優秀な宰相様がいたからな。」
「あの時の自分を呪いたい想いです。見てくれは良いのに中身がコレで、執務のほとんどをやらされるなんて。これからは執事でなく、私が迎えに行きますね。」
「………。」
「クスッ」
「笑っている場合ではありませんよ、フェリノース様。あなたも王妃でありながら、陛下の増長させる要因の一つなんですから。特に最近は王女殿下に会いに行くと、顔を見せるだけと、言って戻ってこないのはどうかと思いますよ?」
「むぅ。」
どちらも結局は執務のサボりを解消すべく、剥れながら作業に徹する。
それ以前に扉前に宰相が陣取っているため、逃げ場などないのだった。
そこへタイミングよく、ノックが響くと一人の執事から手紙を寄越される。
手紙を受け取ると、音もなく居なくなった執事に冷や汗をかく二人を放置して宰相は手紙を流し読む。
「あらら。王女殿下が悲しんでおられるようですねぇ。一緒に食事をしないなんて嫌われたと思われているようですよ。ガエウス。フェリノース。」
「なんだと!?」
「何かの間違いだわ!ユキちゃん、お母様は捨てないわよ。」
二人を煽るように言う宰相に怒りの形相で睨みつける。
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