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しおりを挟む王子Side——
コロシアムでの出来事の後、ユキと別れたアスケナは自身の無力さを知って落ち込んでいた。
同じ部屋で物思いに耽るメノアとクェサリオも、同じように気落ちしていた。
更に自身らで"ユキだけでも守ってみせる"と思っていただけに、その落ち込みようは酷かった。
そんな中、始めに声を出したのは第二王子であるメノアだった。
「アス兄。」
「なんだ。メノア?」
「アス兄。僕、父上のようになれるかな?」
「鍛錬次第だろうが、なれるだろう。少なくともメノアよりも、父上が強いことは昔から見ているから知っているしな。」
「そっか。」
「だが少なくとも今は、その力すらないのだから。考えても仕方がない。メノアもクェサリオもだが。これからは護衛騎士に指南してもらうか?」
「アス兄。そうしたいけどさ。護衛騎士でも何も出来てなかったよ?」
「………」
「メノア。それは御門違いに他ならないだろう。あの護衛騎士でさえ、多くの騎士の中から選抜されているんだ。選抜される前の他の騎士も同じ技量を持っている前提なのだから、根本が違うだろう。」
「アス兄の話は分かったけどさ。あの時、父上が来られなかったら、ユキが怪我をしていたかもしれない。そうじゃなくても、僕たちの誰かが怪我してたかもしれない。」
「メノア。」
メノアの話に、アスケナはなんとなく言いたいことが分かったような気持ちを持つ。
「そう考えると、自分の無力さが我慢できないんだよ。でも僕たちには守れる力が無いんだって分かって、安易に考えちゃいけないって思ったんだ。」
「「………」」
「だから、僕たち兄弟で父上に家庭教師を雇ってもらおうよ。」
「むぅ。それは良いが、許可は下りない気がするんだよな。まずは宰相様にでも相談してみるか?」
困惑気味に聞いたアスケナに、聞きに徹していたクェサリオが会話に入ってくる。
それはアスケナもメノアも驚愕する話だった。
「…アスケナ兄。メノア兄。家庭教師は年齢が一定に達しないと、理解が追いつかないから許可は下りないよ。できるとしたら、騎士か近衛に頼み込むくらいかな?」
「「………」」
「…まぁ。習えたとしても僕たち王族の一員に怪我でもされたら、クビにされるからあまり聞いてくれる人はいないかもしれないけどね。」
「クェサリオ。なぜ僕でも知らないことを知っているんだ。」
アスケナが驚いた表情で問いかける。
「…そりゃアス兄は本を読むの苦手だよね?…メノア兄も、父上と同じく動くことが好きじゃん?僕は…本が好きだからね。司書と仲良くなるのは早かったよ。」
「「本かぁ…。」」
アスケナも、メノアも、遠い目をして途方に暮れた。
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