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カオスソルベ編
第5話「ミルフィーユvsソルベ!勇者からのペナルティー」③
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「3日ほど学校を休んでしまい、本当に申し訳ございませんでした。本日午後付けで復職致しますので、何卒よろしくお願いします!」
学校近くの山の中での戦いの翌日、下妻先生は前日の検査で「異常なし」と判断され、無事退院。退院から翌日の午後…つまり本日付けで職場に復帰したのだった。今日は中等部の球技大会のために授業自体はないが、他の職員たちへの挨拶のこともあり、学校に来ている。晴れて「ブラックビター」のメンバーとして縛り付けられる生活でなくなり、英語教師・下妻稲生として生活できるという幸せを彼はひしひしと噛み締めている。そんな彼は、担任を務める2年A組の教室から物音がする事に気が付いた。ガタガタと机と椅子が崩れる音…彼は咄嗟に扉を開けると…
「何をしている!!!」
そこに居たのは、2人の人物…1人は体操着姿の女子生徒で、先ほどの衝撃で足を怪我してしまったらしい。彼女のメガネが吹き飛ぶほどだったので、余程の衝撃だったのだろう。一方の殴った相手は水色の髪をサイドテールにまとめた少女で、彼女は弓を構えたまま女子生徒に青く光る矢を向けている。
「氷見、そこを動くな!!!マジパティの姿で、しかも生徒会のメンバーで、木苺ヶ丘の大地主の孫である貴様が、なんでこんな事をした!!!!!」
下妻先生はそう言いながらソルベの腰にあるブレイブスプーンを取り外しつつ、ソルベから氷見雪斗に戻る人物の腕をつかむが、強制的に変身を解除された雪斗は何も答えない。
「米沢に対する傷害、器物損壊…そして、窃盗!今、貴様が米沢に対して行ったのは、「いじめ」というオブラートで包んだ犯罪行為だっ!!!!!答えろ、氷見っ!!!!!」
雪斗は答えない。それどころか、下妻先生からブレイブスプーンを奪い返しながら雪斗は「チッ」と舌打ちし、先生の手を振りほどきつつ、教室を出ながらこう叫んだ。
「千葉一悟に伝えろ!!!「放課後、木苺ヶ丘中央公園に1人で来い」と!!!!!」
そして、雪斗はみるくのブレイブスプーンを放り投げながら2年A組の教室を飛び出した。下妻先生は彼を追いかけようとしたが、怪我をしたみるくの事が心配だった。
「米沢、他にケガはないか?保健室へ行くぞ。」
「べ…別…に…」
例え担任とはいえ、みるくは家族、そして一悟、一悟の父親以外の男性に恐怖心がある。下妻先生も例外ではないし、先生もそのことを知っている。さらに今回は雪斗が襲い掛かったこともあり、事態は深刻。ちょうどそこへ、雪斗と入れ替わるようにあずきがやってくる。
「どうなさったの?今…ユキ様が…」
「高萩、今すぐ米沢を保健室へ!今、米沢を連れて行けるのはお前しかいない!私は今から放送で千葉を呼び出す!!!!!」
あずきはスイーツ界での叔父に言われるがまま、みるくにメガネをかけ、彼女を支える。そして、下妻先生は特別棟へと通じる渡り廊下の隣にある放送室へ駆け込み、放送用マイクのスイッチを入れる。
その頃、中等部の体育館では男子バレーボールの決勝戦の真っ最中だった。決勝は一悟のいる2年A組と3年C組…現在は2年A組がわずかながらリードしているところだ。
「よっしゃ、俺にトス…持って来い!!!!!」
クラスメイトのトスが一悟の頭上に上がり、一悟は飛び上がって右手を大きく振り上げ…
「でやあああああああああああっ!!!!!」
一悟のスパイクが相手のコート内に炸裂し、さらに2年A組に点が入る。その直後、審判席から突然ホイッスルが鳴り響き、校内放送が入る。
「生徒の呼び出しをします。中等部2年A組の千葉一悟、大至急中等部の保健室まで来なさい!!!繰り返す、中等部2年A組の千葉一悟、大至急中等部の保健室まで来なさい!!!お前にとって、重大な事件が発生した!!!!!」
「オイオイ…マジかよ…」
バレーボールの選手達共々、一悟のクラスメイト達は、突然の校内放送に落胆する。
「千葉、選手交代だ。今すぐ保健室へ…」
2年A組の副担任で、学年主任の上野原先生が、コートにいる一悟に声をかけた。
「は…はいっ!!!」
「2年A組、千葉から巽に交代します!」
絶好調であった2年A組は突然の選手交代を余儀なくされた。そして、そのまま一悟は保健室へ走る。
「失礼します!!!」
「ガラッ」
一悟が保健室の扉を開けるとそこには左足に包帯を巻き、右頬に正方形の絆創膏を貼ったみるくと、無傷のあずきとラテ、そして呼び出した張本人の下妻先生と、養護の先生・仁賀保杏子がいる。彼女も実はスイーツ界の住人で、回復魔法を得意とする僧侶アンニンだ。
「みるく!!!一体何が…」
怪我をした幼馴染を見た瞬間、一悟の表情は一気に青ざめる。
「氷見だ…氷見が米沢を襲った…」
そう言いながら、下妻先生は一悟にみるくのブレイブスプーンを見せる。
「氷見はお前に「放課後、木苺ヶ丘中央公園に来い」と言っていた。恐らく、米沢を襲ったのも…」
「千葉くんと戦うためだろうな。米沢さんを襲えば、千葉くんも反応するだろうっていう魂胆が見え見え…それにここ最近、カオスイーツが居ないときに変身して特訓らしい事をしていたのも、恐らくそのため…身勝手にも程がある。」
ため息をつきながら、仁賀保先生は普段とは違うぶっきらぼうな口調で、保健室にいるマジパティの正体を知る者たちに、ここ最近の雪斗の行動や元々の雪斗のコミュニケーション能力の問題について話した。幸いにもみるくは軽い打撲で済んだが、3日ほど激しい運動が禁止された。プディングに変身して戦うのは以ての外だ。雪斗の行動に関しては既にシュトーレンに連絡済みで、いずれシュトーレンから罰が下ることになることも、一悟は教えられた。
「ソルベ…いえ、氷見くんに罰が下るのもそう遠くはない。そして、お前も彼の今回の行為に乗ったという罰を受ける…覚悟しろよ。千葉くん…いいえ、ミルフィーユ!!!」
「はいっ!!!!!」
仁賀保先生もといアンニンの話を聞いて、一悟は覚悟を決めた。
「みるく…俺がどんな姿になっても、受け入れてくれるな?」
「うん…たとえどんな姿になったとしても、いっくんはいっくんだよ…」
どんなペナルティーが彼に来るのかは定かではない。でも、今ソルベと対峙できるのはミルフィーユだけ…一悟は暫くマジパティとしての活動ができなくなったプディングもとい、みるくの両手を優しく握る。
男子バレーボールの結果は、一悟が抜けた後は何とか接戦を続けるものの、終了間際に相手チームが現役のバレー部員に交代した事で逆転され、2年A組は準優勝となってしまった。教室での事件の直後に、雪斗もフットサル男子の部の決勝に参加していたようで、雪斗率いる2年A組のフットサルチームは雪斗のファンたちの黄色い声援の中、優勝した。球技大会後のホームルームでは、下妻先生の挨拶と上野原先生による球技大会の感想で少々長引いたが、そこに雪斗の姿はなかった。雪斗のカバンもないので、恐らくは木苺ヶ丘中央公園へと向かったのだろう。一悟はそう確信した。木苺ヶ丘中央公園に向かう途中まではラテとあずき、そして下妻先生が引率し、普段は公園の門がよく見える交差点で、ジャージ姿の一悟は制服の入ったカバンを下妻先生に手渡す。彼の手にはブレイブスプーンのみ…
「米沢…いや、プディングの事はアンニンに任せたまえ。この圧倒的な冷気が漂っている今、ソルベは本気でかかってくる!!!行け、ミルフィーユ!!!!!」
「ここから公園までは、空間を捻じ曲げておきました。気にせず変身してくださいっ!!!」
「おうっ!!!!!」
一悟はブレイブスプーンを構えながら、ソルベの待つ木苺ヶ丘中央公園に向かって駆け出した。
「マジパティ・スイート・トランスフォーム!!!!!」
走る一悟は瞬く間に光を放ち、ピンク色の空間の中にできた虹色に染まる道を走る。身体は童顔低身長の少年から、ピンク色のロングヘアの長身少女に変わり、走りながら上から順にコスチュームが装着される。空間の中を走るポニーテールとリボンがなびく…虹色の道が行きどまりとなった刹那、ミルフィーユは空間から飛び上がり、木苺ヶ丘中央公園目掛けて宙返りを決める。宙返りの間にブレイブスプーンは腰のチェーン中央に装着され、ソルベの前に着地したと同時に瞳の色が紫色に変化する。千葉一悟からミルフィーユに変身完了を遂げた瞬間だ。
「ピンクのマジパティ・ミルフィーユ!!!!!これ以上、勇者の知性をお前の好き勝手にはさせねぇっ!!!!!」
ソルベの力で雪原と化した木苺ヶ丘中央公園…今、対峙しているのはカオスイーツではなく、ブルーのマジパティ・ソルベ。彼女は既に武器であるソルベアローを構えながらミルフィーユを見つめている。
「やっと来たか…さっきは邪魔者が入ったが、ミルフィーユ…貴様を呼び出すには十分だった。」
「だからって、プディングを…俺の家族を傷つけていい理由ワケなんてねぇっ!!!!!」
そう叫びながら、ミルフィーユはミルフィーユグレイブを出す。今回は攻撃には使えないが、ソルベの攻撃を防ぐための盾として使う事は十分に可能だ。
「邪魔なんだよ!!!!あの女…いつもいつも僕の邪魔ばっかりで…あの場所には、僕が居るべきなんだ!!!!!」
そう言いながら放つ光の矢を、ミルフィーユは咄嗟にミルフィーユグレイブで弾き、光の矢はまるで氷柱のように雪原に刺さる。
「自分の事棚に上げておいて、よく言うぜ…」
「僕の事…受け入れてくれないクセに…知ったようなクチをっ!!!」
ソルベの本音と共に放たれる光の矢…狙いはミルフィーユに向けられているが、ミルフィーユは次々と放たれる矢をミルフィーユグレイブで弾き返す。
「受け入れてもらえないからって、相手にしつこく付きまとっていいのかよっ!!!!」
「あれが…ユキ様の本音…」
放たれる矢をはじき返す音と共に言い争うミルフィーユとソルベ…ファンですら知らなかった雪斗の本当の言葉が、段々とあずきの耳へ入っていく。
「なんて…自分勝手な…」
これ以上の被害が出ないよう、今回はあずき達もサポートする事はできない。でも、近くで話を聞くことは十分にできる。あずきはそのまま公園の方へ耳をすませる。公園も段々と雪が消え去っている。ソルベの力も底をつくのも時間の問題だ。
「叔父さま…ミルフィーユは…一悟は…」
「ミルフィーユを…千葉一悟を信じなさい…」
雪で閉ざされたはずの公園の門が開けていく…
学校近くの山の中での戦いの翌日、下妻先生は前日の検査で「異常なし」と判断され、無事退院。退院から翌日の午後…つまり本日付けで職場に復帰したのだった。今日は中等部の球技大会のために授業自体はないが、他の職員たちへの挨拶のこともあり、学校に来ている。晴れて「ブラックビター」のメンバーとして縛り付けられる生活でなくなり、英語教師・下妻稲生として生活できるという幸せを彼はひしひしと噛み締めている。そんな彼は、担任を務める2年A組の教室から物音がする事に気が付いた。ガタガタと机と椅子が崩れる音…彼は咄嗟に扉を開けると…
「何をしている!!!」
そこに居たのは、2人の人物…1人は体操着姿の女子生徒で、先ほどの衝撃で足を怪我してしまったらしい。彼女のメガネが吹き飛ぶほどだったので、余程の衝撃だったのだろう。一方の殴った相手は水色の髪をサイドテールにまとめた少女で、彼女は弓を構えたまま女子生徒に青く光る矢を向けている。
「氷見、そこを動くな!!!マジパティの姿で、しかも生徒会のメンバーで、木苺ヶ丘の大地主の孫である貴様が、なんでこんな事をした!!!!!」
下妻先生はそう言いながらソルベの腰にあるブレイブスプーンを取り外しつつ、ソルベから氷見雪斗に戻る人物の腕をつかむが、強制的に変身を解除された雪斗は何も答えない。
「米沢に対する傷害、器物損壊…そして、窃盗!今、貴様が米沢に対して行ったのは、「いじめ」というオブラートで包んだ犯罪行為だっ!!!!!答えろ、氷見っ!!!!!」
雪斗は答えない。それどころか、下妻先生からブレイブスプーンを奪い返しながら雪斗は「チッ」と舌打ちし、先生の手を振りほどきつつ、教室を出ながらこう叫んだ。
「千葉一悟に伝えろ!!!「放課後、木苺ヶ丘中央公園に1人で来い」と!!!!!」
そして、雪斗はみるくのブレイブスプーンを放り投げながら2年A組の教室を飛び出した。下妻先生は彼を追いかけようとしたが、怪我をしたみるくの事が心配だった。
「米沢、他にケガはないか?保健室へ行くぞ。」
「べ…別…に…」
例え担任とはいえ、みるくは家族、そして一悟、一悟の父親以外の男性に恐怖心がある。下妻先生も例外ではないし、先生もそのことを知っている。さらに今回は雪斗が襲い掛かったこともあり、事態は深刻。ちょうどそこへ、雪斗と入れ替わるようにあずきがやってくる。
「どうなさったの?今…ユキ様が…」
「高萩、今すぐ米沢を保健室へ!今、米沢を連れて行けるのはお前しかいない!私は今から放送で千葉を呼び出す!!!!!」
あずきはスイーツ界での叔父に言われるがまま、みるくにメガネをかけ、彼女を支える。そして、下妻先生は特別棟へと通じる渡り廊下の隣にある放送室へ駆け込み、放送用マイクのスイッチを入れる。
その頃、中等部の体育館では男子バレーボールの決勝戦の真っ最中だった。決勝は一悟のいる2年A組と3年C組…現在は2年A組がわずかながらリードしているところだ。
「よっしゃ、俺にトス…持って来い!!!!!」
クラスメイトのトスが一悟の頭上に上がり、一悟は飛び上がって右手を大きく振り上げ…
「でやあああああああああああっ!!!!!」
一悟のスパイクが相手のコート内に炸裂し、さらに2年A組に点が入る。その直後、審判席から突然ホイッスルが鳴り響き、校内放送が入る。
「生徒の呼び出しをします。中等部2年A組の千葉一悟、大至急中等部の保健室まで来なさい!!!繰り返す、中等部2年A組の千葉一悟、大至急中等部の保健室まで来なさい!!!お前にとって、重大な事件が発生した!!!!!」
「オイオイ…マジかよ…」
バレーボールの選手達共々、一悟のクラスメイト達は、突然の校内放送に落胆する。
「千葉、選手交代だ。今すぐ保健室へ…」
2年A組の副担任で、学年主任の上野原先生が、コートにいる一悟に声をかけた。
「は…はいっ!!!」
「2年A組、千葉から巽に交代します!」
絶好調であった2年A組は突然の選手交代を余儀なくされた。そして、そのまま一悟は保健室へ走る。
「失礼します!!!」
「ガラッ」
一悟が保健室の扉を開けるとそこには左足に包帯を巻き、右頬に正方形の絆創膏を貼ったみるくと、無傷のあずきとラテ、そして呼び出した張本人の下妻先生と、養護の先生・仁賀保杏子がいる。彼女も実はスイーツ界の住人で、回復魔法を得意とする僧侶アンニンだ。
「みるく!!!一体何が…」
怪我をした幼馴染を見た瞬間、一悟の表情は一気に青ざめる。
「氷見だ…氷見が米沢を襲った…」
そう言いながら、下妻先生は一悟にみるくのブレイブスプーンを見せる。
「氷見はお前に「放課後、木苺ヶ丘中央公園に来い」と言っていた。恐らく、米沢を襲ったのも…」
「千葉くんと戦うためだろうな。米沢さんを襲えば、千葉くんも反応するだろうっていう魂胆が見え見え…それにここ最近、カオスイーツが居ないときに変身して特訓らしい事をしていたのも、恐らくそのため…身勝手にも程がある。」
ため息をつきながら、仁賀保先生は普段とは違うぶっきらぼうな口調で、保健室にいるマジパティの正体を知る者たちに、ここ最近の雪斗の行動や元々の雪斗のコミュニケーション能力の問題について話した。幸いにもみるくは軽い打撲で済んだが、3日ほど激しい運動が禁止された。プディングに変身して戦うのは以ての外だ。雪斗の行動に関しては既にシュトーレンに連絡済みで、いずれシュトーレンから罰が下ることになることも、一悟は教えられた。
「ソルベ…いえ、氷見くんに罰が下るのもそう遠くはない。そして、お前も彼の今回の行為に乗ったという罰を受ける…覚悟しろよ。千葉くん…いいえ、ミルフィーユ!!!」
「はいっ!!!!!」
仁賀保先生もといアンニンの話を聞いて、一悟は覚悟を決めた。
「みるく…俺がどんな姿になっても、受け入れてくれるな?」
「うん…たとえどんな姿になったとしても、いっくんはいっくんだよ…」
どんなペナルティーが彼に来るのかは定かではない。でも、今ソルベと対峙できるのはミルフィーユだけ…一悟は暫くマジパティとしての活動ができなくなったプディングもとい、みるくの両手を優しく握る。
男子バレーボールの結果は、一悟が抜けた後は何とか接戦を続けるものの、終了間際に相手チームが現役のバレー部員に交代した事で逆転され、2年A組は準優勝となってしまった。教室での事件の直後に、雪斗もフットサル男子の部の決勝に参加していたようで、雪斗率いる2年A組のフットサルチームは雪斗のファンたちの黄色い声援の中、優勝した。球技大会後のホームルームでは、下妻先生の挨拶と上野原先生による球技大会の感想で少々長引いたが、そこに雪斗の姿はなかった。雪斗のカバンもないので、恐らくは木苺ヶ丘中央公園へと向かったのだろう。一悟はそう確信した。木苺ヶ丘中央公園に向かう途中まではラテとあずき、そして下妻先生が引率し、普段は公園の門がよく見える交差点で、ジャージ姿の一悟は制服の入ったカバンを下妻先生に手渡す。彼の手にはブレイブスプーンのみ…
「米沢…いや、プディングの事はアンニンに任せたまえ。この圧倒的な冷気が漂っている今、ソルベは本気でかかってくる!!!行け、ミルフィーユ!!!!!」
「ここから公園までは、空間を捻じ曲げておきました。気にせず変身してくださいっ!!!」
「おうっ!!!!!」
一悟はブレイブスプーンを構えながら、ソルベの待つ木苺ヶ丘中央公園に向かって駆け出した。
「マジパティ・スイート・トランスフォーム!!!!!」
走る一悟は瞬く間に光を放ち、ピンク色の空間の中にできた虹色に染まる道を走る。身体は童顔低身長の少年から、ピンク色のロングヘアの長身少女に変わり、走りながら上から順にコスチュームが装着される。空間の中を走るポニーテールとリボンがなびく…虹色の道が行きどまりとなった刹那、ミルフィーユは空間から飛び上がり、木苺ヶ丘中央公園目掛けて宙返りを決める。宙返りの間にブレイブスプーンは腰のチェーン中央に装着され、ソルベの前に着地したと同時に瞳の色が紫色に変化する。千葉一悟からミルフィーユに変身完了を遂げた瞬間だ。
「ピンクのマジパティ・ミルフィーユ!!!!!これ以上、勇者の知性をお前の好き勝手にはさせねぇっ!!!!!」
ソルベの力で雪原と化した木苺ヶ丘中央公園…今、対峙しているのはカオスイーツではなく、ブルーのマジパティ・ソルベ。彼女は既に武器であるソルベアローを構えながらミルフィーユを見つめている。
「やっと来たか…さっきは邪魔者が入ったが、ミルフィーユ…貴様を呼び出すには十分だった。」
「だからって、プディングを…俺の家族を傷つけていい理由ワケなんてねぇっ!!!!!」
そう叫びながら、ミルフィーユはミルフィーユグレイブを出す。今回は攻撃には使えないが、ソルベの攻撃を防ぐための盾として使う事は十分に可能だ。
「邪魔なんだよ!!!!あの女…いつもいつも僕の邪魔ばっかりで…あの場所には、僕が居るべきなんだ!!!!!」
そう言いながら放つ光の矢を、ミルフィーユは咄嗟にミルフィーユグレイブで弾き、光の矢はまるで氷柱のように雪原に刺さる。
「自分の事棚に上げておいて、よく言うぜ…」
「僕の事…受け入れてくれないクセに…知ったようなクチをっ!!!」
ソルベの本音と共に放たれる光の矢…狙いはミルフィーユに向けられているが、ミルフィーユは次々と放たれる矢をミルフィーユグレイブで弾き返す。
「受け入れてもらえないからって、相手にしつこく付きまとっていいのかよっ!!!!」
「あれが…ユキ様の本音…」
放たれる矢をはじき返す音と共に言い争うミルフィーユとソルベ…ファンですら知らなかった雪斗の本当の言葉が、段々とあずきの耳へ入っていく。
「なんて…自分勝手な…」
これ以上の被害が出ないよう、今回はあずき達もサポートする事はできない。でも、近くで話を聞くことは十分にできる。あずきはそのまま公園の方へ耳をすませる。公園も段々と雪が消え去っている。ソルベの力も底をつくのも時間の問題だ。
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