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勇者クラフティ編
第23話「新たなる魔の手!ダークミルフィーユ、降臨!」②
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「茅ケ崎中高生失踪事件」
2015年1月3日、神奈川県茅ケ崎市の海岸で3人の女子中学生と1人の男子高校生が1人の青年Nと共に忽然と姿を消したとされる事件…警察も調べたものの、有力な情報は「マジパティと関わりがあった」という事だけで、この他に手がかりは一切つかめず、捜査は2か月半後に打ち切られた。情報収集サイト「Vikipedia」にはそう記されている。
「行方不明として処理されたのは、紗山中学校3年の千葉明日香、金城ここな、氷川台友菓…紗山高校1年の藍本有馬の4人…木津先生が8年前のその事件と関係があるのなら、その4人について何か心当たりがある可能性はある。」
午後に入り、突然中等部の保健室に呼び出しを食らったガレットは、8年前の失踪事件で判明した事について、知っている範囲で僧侶に話す。
「その翌日に、鎌倉の海岸で1人の少女が打ち上げられたらしいのね。でも、その子は自分の名前を思い出せないし、失踪した4人の家族達も彼女の事を知らない…」
「ガラッ…」
「そして彼女は当時鎌倉市在住の子供のいない夫婦に「木津あいな」として引き取られ、そのままその夫婦の仕事の都合でカリフォルニアへ…」
ガレットの話を遮るかのように保健室のドアが開き、そこから木津先生が入りながらそう話す。
「印刷室で指を切ってしまったので、絆創膏をいただきにきたのですが…随分と懐かしい話をされていたようで…」
「ごめんなさいね…偶然にも、8年前の事件について確認したいことがあったの。」
そう言いながら、仁賀保先生は木津先生の治療を始める。
「それに…食堂職員の首藤さん…でしたよね?あなた…あの時の青年と顔立ちが似てますね。髪色は違いますけど…」
「兄弟…だからね。それとも…先生はこの色は嫌い?」
木津先生の言葉にそう答えるガレットは、木津先生が何者であるのか察したようだ。
「もう少しその青年について話しておきたい事はまだあるけど、生憎結婚前の娘を抱えている身だからさ…娘の気が変わらないうちに、家に戻らないと…ね?娘も待ってるから、またカフェにおいでよ?「杏子ちゃん」♪」
そう言いながら、ガレットは保健室を去ってしまった。
「はいはい…言われなくても、顔出しには来ますけどね?」
その大勇者ガレットの背中に、仁賀保先生もとい僧侶アンニンは木津先生が先代マジパティと何らかの関係がある事を読み取った。
『木津先生…申し訳ないけど、しばらくあなたを勇者クラフティの件でマークさせてもらうわ!!!』
「それで…その木津先生が中等部に…」
今日のカフェの営業が終わり、夕飯の席の中、ガレットは娘に中等部にやってきた講師の話をした。勿論、8年前に失踪したマジパティの正体を含めて…
「マジパティは勇者の性別によって、変身後の姿が変わる場合がある…俺の場合は魔界に性別という概念がなかったから、性別の変化はなかったし、ニコラスは勇者としての力が弱かったから、ミルフィーユとソルベの性別はマジパティに変身した後も女のままだった…」
「それに、涼也が不思議な事言ってましたよね?その木津先生に、マジパティとしての反応があった…って。」
涼也は姉の明日香のブレイブスプーンを持っている。そのブレイブスプーンによって、精霊と他のマジパティの気配を感じ取る事ができる。
「僧侶ちゃんも木津先生の事は怪しんでいたし、俺達ももう少しニコラスの能力を受け継いだマジパティについて調べる必要がある。」
「そうね…アタシも…」
「セーラは、トルテと結婚式の準備っ!!!ニコラスの件は、俺達に任せときゃいいの!」
娘の言葉を遮るかのように、ガレットが大声で叫ぶ。
「「警戒する」って意味で言ったのに…」
シュトーレンはため息をつく。
ガレットが娘の結婚式をやらせようとしているのは、自身が正式的な結婚式をしていないからだった。というのも、24年前のカオスとの戦いでカオスに勝利し、これから勇者シュトーレンの母であるセレーネとの結婚式をしようとした矢先、魔界へ飛ばされてしまったのである。やっとの思いで魔界でマジパティと共に再びカオスと戦い、勝利したことでスイーツ界へと戻った時には、丁度愛娘が生まれる瞬間だった。結局、結婚式どころではなく、娘の洗礼式の時に妻にウェディングドレスを着せて、教会で僧侶アンニンの父であるブランシュ卿の立会いの下で誓いを交わしたのだった。
…そんな経験を娘にはしてほしくないという、父親としてのエゴなのである。
………
木津先生がサン・ジェルマン学園中等部にやってきて3日が経ち、シュトーレンはトルテと一緒に瀬戌みなみモール近くのブライダルショップに来ている。晴れの式典だけに、女勇者の目にはどのドレスも輝いているように見える。
…だが、どのドレスもサイズが合わないとの事で、また後日出直すことになってしまったのだった。そんな勇者はトルテが運転する車の助手席で嘆く。
「残念だったっスね…」
「うぅ~…ファスナーが上まで上がらないの…辛い…」
金銭的な問題は、ホテル王であるパネットーネ氏が息子がこれまでにシュトーレンに対して行ってきたストーカー行為の数々に対する慰謝料として振り込んできたお金があり、特注できないというワケではない。だが、シュトーレン本人としてはなるべくこのお金だけは使いたくないようだ。
「やっぱり…ウェディングドレスを着るためにも、聖一郎に変身する時間を減らした方がいいのかな…トルテもマスター代行が板についてきたし、親父も…」
「セーラ…あまり無理はしないでほしいっス…セーラが食べたいものを我慢してまで、ダイエットしようとするなんて…俺っち、悲しいっス…」
「だから、聖一郎でいる時間減らして、ホール中心に回ろうって言ってんのっ!!!そりゃあ…無理なダイエットはダメだってわかってるもの…」
先日の父親の早とちり並みのトルテの早とちりに、勇者は少々呆れているようだ。
今日は、一悟達は職業体験にでかけている。一悟、みるく、雪斗の3人は現在、シュトーレンとトルテがいる瀬戌みなみモール敷地内にあるファミリーレストラン・ロイヤルポスト、翔也はサン・ジェルマン学園近くのコンビニ・フェアリーマート、あずきは瀬戌駅近くのデパート内にあるパン屋にそれぞれ職業体験の真っ最中だ。
「まぁ、今後の為にも…動ける時に、キリキリ動くのが一番っスね!」
瀬戌みなみモールに到着した2人は、車を降り、一悟達の様子を見るべくファミリーレストランへと向かう。そこに…
「おや、聖奈さんではないですか。この度はおめでとうございます!」
教師として生徒の様子を見に来たのか、そこには下妻先生がいた。さらに、その隣には…
「下妻先生、お知り合いですか?」
グレーのスーツ姿の木津先生だ。木津先生はこれまでカフェ「ルーヴル」に来たことがないため、シュトーレンとトルテにとっては初めて会う人物である。
「食堂の首藤さんの娘の聖奈さんだ。聖奈さん、こちらはウチの学校にやって来た講師の木津先生です。」
「木津と申します。下妻先生からは、御父上の事は聞いております。」
「首藤聖奈です。こちらは、今度から伴侶となる取手利雄です。」
「どうも、取手です。」
まずは簡単な自己紹介をかわし、ファミリーレストランへと向かうが…
「ドオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!」
突然同じ敷地内にある大型書店の近くで大きな爆発音がした刹那、そこから突然巨大な白いソフトクリームのカオスイーツがショッピングモール一帯を騒然とさせようとし始めた。
「あ…あれは…」
『しまったー!!!アタシの剣、カフェの掃除用具入れに入れっぱなしで来ちゃった…』
戦わざるを得ない状況でありながら、剣を持たずに出かけてしまった事を後悔する勇者であった。それに、木津先生がいる状況で迂闊な手出しはできない…
「ぐああああああああっ…腹が…腹がァっ…」
「どうしました?下妻先生…」
下妻先生が突然、お腹を抱えて苦しみだす。
「仁賀保先生が処方した胃腸薬…想像を絶するほどの…強…さ…」
そう言いながら、下妻先生はトルテとシュトーレンにもたれかかる。
「木津先生は安全を確保しながらレストランまで…私はトイレに…」
「は、はい…」
あまりの突然の言葉に、木津先生はツッコミを入れる気力すら出なかった。
実を言うと、これは木津先生対策として下妻先生もといムッシュ・エクレールがとっさに考えた演技で、木津先生に感づかれぬようにマジパティを呼び出すためだけにひらめいたのだった。
「勇者様、お願いします。」
ムッシュ・エクレールの言葉に、勇者シュトーレンは左耳のイヤリングを光らせ…
「ブレイブディメンション!!!!!」
シュトーレンの言葉と同時に、ショッピングモール一帯の時間が止められ、敷地内にいるシュトーレン達以外の人々や動物の動きがピタッと止まる。そのスキに下妻先生はムッシュ・エクレールに戻り、一悟達にカオスイーツが現れた事を告げる。
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「その翌日に、鎌倉の海岸で1人の少女が打ち上げられたらしいのね。でも、その子は自分の名前を思い出せないし、失踪した4人の家族達も彼女の事を知らない…」
「ガラッ…」
「そして彼女は当時鎌倉市在住の子供のいない夫婦に「木津あいな」として引き取られ、そのままその夫婦の仕事の都合でカリフォルニアへ…」
ガレットの話を遮るかのように保健室のドアが開き、そこから木津先生が入りながらそう話す。
「印刷室で指を切ってしまったので、絆創膏をいただきにきたのですが…随分と懐かしい話をされていたようで…」
「ごめんなさいね…偶然にも、8年前の事件について確認したいことがあったの。」
そう言いながら、仁賀保先生は木津先生の治療を始める。
「それに…食堂職員の首藤さん…でしたよね?あなた…あの時の青年と顔立ちが似てますね。髪色は違いますけど…」
「兄弟…だからね。それとも…先生はこの色は嫌い?」
木津先生の言葉にそう答えるガレットは、木津先生が何者であるのか察したようだ。
「もう少しその青年について話しておきたい事はまだあるけど、生憎結婚前の娘を抱えている身だからさ…娘の気が変わらないうちに、家に戻らないと…ね?娘も待ってるから、またカフェにおいでよ?「杏子ちゃん」♪」
そう言いながら、ガレットは保健室を去ってしまった。
「はいはい…言われなくても、顔出しには来ますけどね?」
その大勇者ガレットの背中に、仁賀保先生もとい僧侶アンニンは木津先生が先代マジパティと何らかの関係がある事を読み取った。
『木津先生…申し訳ないけど、しばらくあなたを勇者クラフティの件でマークさせてもらうわ!!!』
「それで…その木津先生が中等部に…」
今日のカフェの営業が終わり、夕飯の席の中、ガレットは娘に中等部にやってきた講師の話をした。勿論、8年前に失踪したマジパティの正体を含めて…
「マジパティは勇者の性別によって、変身後の姿が変わる場合がある…俺の場合は魔界に性別という概念がなかったから、性別の変化はなかったし、ニコラスは勇者としての力が弱かったから、ミルフィーユとソルベの性別はマジパティに変身した後も女のままだった…」
「それに、涼也が不思議な事言ってましたよね?その木津先生に、マジパティとしての反応があった…って。」
涼也は姉の明日香のブレイブスプーンを持っている。そのブレイブスプーンによって、精霊と他のマジパティの気配を感じ取る事ができる。
「僧侶ちゃんも木津先生の事は怪しんでいたし、俺達ももう少しニコラスの能力を受け継いだマジパティについて調べる必要がある。」
「そうね…アタシも…」
「セーラは、トルテと結婚式の準備っ!!!ニコラスの件は、俺達に任せときゃいいの!」
娘の言葉を遮るかのように、ガレットが大声で叫ぶ。
「「警戒する」って意味で言ったのに…」
シュトーレンはため息をつく。
ガレットが娘の結婚式をやらせようとしているのは、自身が正式的な結婚式をしていないからだった。というのも、24年前のカオスとの戦いでカオスに勝利し、これから勇者シュトーレンの母であるセレーネとの結婚式をしようとした矢先、魔界へ飛ばされてしまったのである。やっとの思いで魔界でマジパティと共に再びカオスと戦い、勝利したことでスイーツ界へと戻った時には、丁度愛娘が生まれる瞬間だった。結局、結婚式どころではなく、娘の洗礼式の時に妻にウェディングドレスを着せて、教会で僧侶アンニンの父であるブランシュ卿の立会いの下で誓いを交わしたのだった。
…そんな経験を娘にはしてほしくないという、父親としてのエゴなのである。
………
木津先生がサン・ジェルマン学園中等部にやってきて3日が経ち、シュトーレンはトルテと一緒に瀬戌みなみモール近くのブライダルショップに来ている。晴れの式典だけに、女勇者の目にはどのドレスも輝いているように見える。
…だが、どのドレスもサイズが合わないとの事で、また後日出直すことになってしまったのだった。そんな勇者はトルテが運転する車の助手席で嘆く。
「残念だったっスね…」
「うぅ~…ファスナーが上まで上がらないの…辛い…」
金銭的な問題は、ホテル王であるパネットーネ氏が息子がこれまでにシュトーレンに対して行ってきたストーカー行為の数々に対する慰謝料として振り込んできたお金があり、特注できないというワケではない。だが、シュトーレン本人としてはなるべくこのお金だけは使いたくないようだ。
「やっぱり…ウェディングドレスを着るためにも、聖一郎に変身する時間を減らした方がいいのかな…トルテもマスター代行が板についてきたし、親父も…」
「セーラ…あまり無理はしないでほしいっス…セーラが食べたいものを我慢してまで、ダイエットしようとするなんて…俺っち、悲しいっス…」
「だから、聖一郎でいる時間減らして、ホール中心に回ろうって言ってんのっ!!!そりゃあ…無理なダイエットはダメだってわかってるもの…」
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「どうも、取手です。」
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「あ…あれは…」
『しまったー!!!アタシの剣、カフェの掃除用具入れに入れっぱなしで来ちゃった…』
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「ぐああああああああっ…腹が…腹がァっ…」
「どうしました?下妻先生…」
下妻先生が突然、お腹を抱えて苦しみだす。
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「は、はい…」
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「勇者様、お願いします。」
ムッシュ・エクレールの言葉に、勇者シュトーレンは左耳のイヤリングを光らせ…
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