(R18完結)星屑の申し子

如月紫苑

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第一章 運命の瞬間

11 だから一度は経験あるんだってば!

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「いいぜ。お嬢ちゃんの気強さは結構好きだし先約もいねぇ」
 カレルがいい笑顔を向けてくる。味方だととても頼もしいし、命の恩人だ。あと、顔がいい。
「お嬢ちゃん、調査にはよく出向くのか?」
「いえ、初めて。もしかして……野宿?」
「……え? 野営も初めて?」
「え? 今まで野営した事ないのですか?」
「……一度だけ、あるわよ!」

――――だからお願いだからそんな目で見ないでぇ!

 去年、健司が『お盆は山に行きたいから』と行ってみたキャンプ。色んな音になかなか寝付けなかったのは覚えている。だが地面のほのかな温かみに感動はした。この……あの……地球は生きている気がして、その体温が気持ちいいと思った。普段見えない淡い明るさの星まで見えてそれが美しく、暫く無言で夜空を見上げていた。だが朝に「また来たい」と言う前に健司が『虫が多過ぎて、もう二度とキャンプしない』と言ってそのまま二度とキャンプに行く事はなかった。
「野営かぁ……ふふ、楽しみ」
「……変わった人だな、あんた」
 カレルは笑いながら酒を飲む。
「野営をほぼした事ないなんて、中よりも上流階級だろ? 場所も出ているのは食べ物をしっかり食べられていた証拠だし、歯も真っ白で綺麗。なのに『調査』だし、自分よりもデカい男を淑女らしからぬ遠慮のない攻撃をする。チグハグだなぁ。本当に何者なんだ?」
「……私は私よ」
「……まぁいいや。じゃ野営経験一度って事は、荷物や準備は俺に任せて貰えるかな?」
「えぇ、お願い」
「快適で重い荷物か、軽くって最低限な荷物、どっちがいいんだ?」
 私は目の前の傭兵ににっこり微笑む。
「そんなの決まっているじゃない。最低限でいいわよ」
「ははは! 益々気に入ったぜ。宜しくな、お嬢ちゃん!」


 


    ◇
 兵士とは酒屋で別れ、カレルに付いていくつも店を回った。店員と交渉したりしてなかなか頼もしい。毛布、干し肉、そして最後にナイフ。ナイフなんて食事以外に使った事がない。鋭そうな刃にこれは生きた者を殺傷をする武器だという事実がのしかかってくる。
 二人で王都を出て雪道を歩いていく。すぐに雪の量が減り、景色は砂漠地帯へと変化していく。
「お嬢ちゃん、気になっていたんだが、どういう調査をするんだ?」
「星屑を探しているのよ」
「あんなん探せるのか? 探し出してどうするんだ?」
「どうするかは分からないけど、私の生存が掛かっているの」
「星屑かぁ。あれは危険だぞ。何か対策はあるのか?」
「対策?」
「……あんた、本当に何も知らないんだな。星屑からは膨大な魔力が放出されているから精神をやられる人が多いんだよ。あれは異質だ。人が弄っていい物じゃねぇ」
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