(R18完結)星屑の申し子

如月紫苑

文字の大きさ
13 / 60
第一章 運命の瞬間

13 傭兵は首筋から攻める

 冷たいのに真っ直ぐな金属の刃。ファンタジー映画とかにありそうな装飾はなく、とてもシンプルな剣だ。それでも夕暮れの色を綺麗に反射しているのを見るととても鋭いのが分かる。
 カレルは無造作に来た道を少し戻ると低い唸り声がどこからか響いてくる。そして地面に埋もれて隠れていた小さな猪みたいな獣が現れるとすぐにそれに向かって走り出す。

ブヒブヒブヒ ブヒッ

「はは! 活きが良くって美味そうじゃねぇか!」
 カレルは突進してきた獣を飛び越えて宙で体を捻り、後ろ手に剣を振り下ろす。ズパッとした音がする前に獣の首が舞い上がる。
「……凄い! 格好いい」
 凄く小さく呟いたのに、背を向けているカレルがピクリと反応をする。そのまま不自然なほど暫く向こう向きで固まっている。
 その後彼がその獣を運んで近くまで戻って来ると火を起こす。
炎魔法フレーム
 彼の指先に小さな光の粒子が集まり、それが高温な炎となって放出される。地面の枯れ枝に吹き付けてすぐに焚火が出来る。
 私は初めて見る魔法に興奮をしながら料理をする彼の慣れた手付きを眺める。
 そして出来上がったのは確かにワイルドな料理だった。
 鍋に皮を剥いだ肉と干し根菜を入れてスープにしたのだが、脳を抜いた頭部も一緒に煮出した為、物凄く濃厚でいい味が出ている。食べている間も頭部を眺めるのも初めて経験をする。
 食べた後は毛布に包まる。昨夜から色んな初体験を重ねていて興奮と精神的な疲労からいつもよりも早く眠くなる。だが軽く会話をしながら飲み込まれそうな美しい星空を眺めていると、疲労を忘れてしまいそうだ。

はぁ

 雪があまりないと言っても砂漠の夜も寒い。私はカタカタ震えながら冷えた指先に息を吹きかける。
「……寒いのか?」
「凄く寒い」
 私の震える指先に彼の大きな手が触れる。
「結構冷たいな。……こっちに、来るか?」
 彼の顔を見ると、上半身を起こして自分の毛布を持ち上げてくれている。私の顔を真っ直ぐ見ているその男っぽい表情にドキッとする。毛布に包まった時に薄着になった彼の胸元に目が吸い寄せられる。
 無言で彼の方へと体を寄せると力強い腕が遠慮気味に私の腰に触れ、ゆっくりと抱き寄せる。伝わってくる鼓動は速い。高い体温にすぐに寒さを忘れて、彼の体が気になってしょうがない。少しムスクのような自然なセクシーな香りにぞくぞくする。
 健司と違う香りと体。
 そのちょっとした瞬間の思考にも元婚約者が入り込んで嫌な気分になる。

――――覚えている体の感覚を、塗り替えたい
 
 ちょっと躊躇してからカレルの肩に両腕を回すと彼は屈んで優しく私の首にキスをする。軽く触れただけなのにそこだけはっきりと熱を持つ。

はぁ……

 熱い吐息が私の唇から漏れる。それに彼は屈んで今度はしっかりと唇で首を愛撫をしながら濡れた熱い舌先が皮膚をくすぐる。
「ん……」
 自分が思っているのよりも甘えた声が出る。
感想 0

あなたにおすすめの小説

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

ソロキャンプと男と女と

狭山雪菜
恋愛
篠原匠は、ソロキャンプのTV特集を見てキャンプをしたくなり、初心者歓迎の有名なキャンプ場での平日限定のツアーに応募した。 しかし、当時相部屋となったのは男の人で、よく見たら自分の性別が男としてツアーに応募している事に気がついた。 とりあえず黙っていようと、思っていたのだが…? こちらの作品は、「小説家になろう」にも掲載しています。

パーキングエリアに置いていかれたマシュマロボディの彼女は、運ちゃんに拾われた話

狭山雪菜
恋愛
詩央里は彼氏と1泊2日の旅行に行くハズがくだらないケンカをしたために、パーキングエリアに置き去りにされてしまった。 パーキングエリアのフードコートで、どうするか悩んでいたら、運送会社の浩二に途中の出口に下ろすと言われ、連れて行ってもらう事にした。 しかし、2人で話していく内に趣味や彼に惹かれていって… この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~

双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。 なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。 ※小説家になろうでも掲載中。 ※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

毎週金曜日、午後9時にホテルで

狭山雪菜
恋愛
柳瀬史恵は、輸入雑貨の通販会社の経理事務をしている28歳の女だ。 同期入社の内藤秋人は営業部のエースで、よく経費について喧嘩をしていた。そんな二人は犬猿の仲として社内でも有名だったけど、毎週金曜日になると二人の間には…? 不定期更新です。 こちらの作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。