(R18完結)星屑の申し子

如月紫苑

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第二章 肉体の誘惑

21 不法侵入者は尻尾がチャーミング

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 二人で体を拭い、着替える。部屋に戻ると僅かに変わった香りがする。部屋の隅で黄色い目が暗闇から光って私を見る。
「不法侵入されたな。お嬢ちゃん、ちゃっかり気に入れられてるじゃねぇか」

――――あれを聞かれたって事⁉︎ めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど
 
「さっきの食べてくれたの? 良かった。もう少し食べる?」
 彼が僅かに頷くと私は微笑んで干し肉をもう少し彼の方へと持って行く。それを差し出すと彼は素早く私の手からそれを奪う。
「そんな邪険にすんじゃねぇよ。彼女は間違いなくお前の命を助けたぞ。別に今更奴隷にするつもりはねぇって」
「別にいいわ。人間が嫌いだったら警戒はしょうがないんじゃない。外は危ないから今夜は私達の部屋に泊まる?」
 彼が僅かに頷いたのを確認してから私はカレルを見上げる。
「私と同じベッドでもいい?」
「いや、俺は逆に嬉しいぞ」
 彼は笑いながら片方のベッドから荷物を退かす。
「おい、お前は先にシャワー入ってきな。あまり入らせて貰わなかっただろ。嫌なの全部流しながらゆっくり自由を満吉して来い」
 竜人は私の方を見る。
「大丈夫よ。私達はちゃんと部屋にいるから」
 そっと影から出てきた竜人は確かにボロボロだ。
「……ねぇ、カレル。服を買ってきてくれる?」
 彼は苦笑すると立ち上がる。だがしっかりと私のナイフを取って渡す。
「何かあれば大声で叫べよ」
「大丈夫よ。心配していないわ」
 彼がいなくなると私は荷物の整理を始める。竜人は私を見ていたが、少ししたら素直にシャワーの方へと向かう。
 ナイフ。食糧。替えのパンツ。タオル。毛布。城から持ってきた顔用のオイル。種類別にまとめてカバンに詰め直す。
 今までいた世界から何か一つ持って来られるとしたら間違いなく基礎化粧品を選ぶ。肌が乾燥しているし朝晩顔が洗えないのもキツイ。
 ドアが開き、出てきた竜人を見てびっくりする。
 ボサボサだった青っぽい黒髪は後ろに流していて顔がよく見える。タオルは腰に巻いているが、彼の細身だが筋肉質な上半身に目を奪われる。肋骨は人間よりも少し多い感じがするのと腹筋は人間ではありえない程の深い凹凸を刻んでいる。背中と腕よりも顔と腹部の方が肌色に近い。指先と爪先は尻尾のような濃い色合いをしている。体毛は殆どない。それ以外は人間の身体の作りとよく似ている。
「へぇ、格好良い顔しているのね」
 彼の目が私に注がれる。ゆっくりとまばたきをする。
「喋れる? 同じ言語かな? あれ、違うのかな?」
「……同じ」
 思いの外低くくって透明で不思議な性質の声。長い八重歯と青く長い舌が異質だ。
「あ、良かった。私はケイ。あなたのお名前は?」
「……覚えてない」
「……あんな生活、長かったの?」
 彼は無言で頷く。それに心が痛む。
「好きな名前はある? 嫌いだったらまた変えていいからね」
「……フユウ」
「フユウ。綺麗な響き」
「風の守護神の名前」
「ふふ、力強くって格好良いじゃない。じゃぁ今日からあなたの事をフユウと呼ぶね」
 彼は僅かに首を傾げる。タオルの下から尻尾が揺れているのが見える。トカゲのような先端がシュッと細くなっていてメタリック調の青緑色だ。
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