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第二章 肉体の誘惑
28 執着と興味
力強い腕が立つのを助けてくれる。早くここを立ち去りたいのか、私をすぐに歩かせる。一度後をチラッと見る。
あのクレーターからは、もう、不穏な空気が立ち上がっていなかった。
ゆっくりと来た道を帰るのも危険と言う事で少し遠回りの道を歩く。
一歩一歩瓦礫を踏む度に小さな違和感がずっと体内に残っている。カレルとフユウは様子の可笑しい私を気にして無言でいる。三人で無言のまま歩き続ける。
「お嬢ちゃん、今夜はここら辺でどうだ?」
半分ぐらい崩れた大きな廃墟だ。だがその壁はいい荒野の風避けになりそうだ。
カレルが焚火を作り、フユウは獣を捕まえようとどこかへと走って行く。私は天井だった大きな破片に寄り掛かって火を眺める。
「……竜人はお嬢ちゃんに執着しているな」
「解放したからでしょう?」
「いや、それだけじゃねぇな。男の勘だが、フユウはお嬢ちゃんを性対象として見てやがる」
「?」
カレルは少し苦虫を潰したような顔になる。長い枝で火を突っつく。
「竜人は……普通は、人間は、性対象にならねぇんだよ。そこは種族の違いがはっきりとあるんだ。だが奴隷の時に娯楽と称して竜人に興奮剤を打ってから囚人や奴隷の女を抱かせる貴族がいるそうだ。それで、人間の味を覚えて種族を超えた性癖を持ってしまう竜人もいるってな」
「……何それ、酷い。じゃあ、フユウは性虐待もされていたかも知れないって事?」
「かもな。確信はねぇけど、お嬢ちゃんを見る目付きは間違いなくオスだ。……竜人の抱き方は人間のとは少し違うらしい。それを見る娯楽なんて、胸糞悪い話だな」
「……フユウは……私の命を助けに来たわ。今まで何一つ、無理矢理何かをしてきた事はない。私の嫌がる事はしない気がする」
「嫌な目に合いそうだったら俺を呼べ。……それとも、フユウに抱かれてみたいのか?」
「それは考えた事ない」
私は嘘を吐いている。
少し、考えた。
少し興味を持った。
私がカレルの指で感じてイクのを食い入るように見られていた時に、彼の興奮をはっきりと感じた。
彼が私を抱きたがっているかも知れない事に少し興奮している自分がいるのも、確かだ。
「……お嬢ちゃんが望んだ事だったら、止めるつもりはねえ。だが人間だろうが竜人だろうが、俺は身を引くつもりはねぇぞ。お嬢ちゃんを気に入ったんだ。……傭兵は休業だ」
カレルは私の腰に腕を回して抱き寄せ、熱い舌を口内に滑り込ませてくる。
「お嬢ちゃんが拒否をしない限り、抱く。欲求不満になられて別の野郎に目移りされるぐらいだったら、毎晩でも抱くさ」
「ふふふ。毎晩は体がもたないわ。でも、何も考えなくてもいいようにいっぱい抱いて欲しい」
「何か嫌な事があったのか?」
「……ええ、あった。でも、それはもういいの」
正直に言えば今はあの二人の事よりもどんどん変化する周囲に付いて行けなくなりそうでそちらの方に意識がいっている。
あの冷酷な王はこの星屑で満足してくれるのだろうか。
そして山賊の一件。
更にはあのクレーターでの一件。
「あなた達がいて良かった。一人だったらきっと私はもう死んでいるか攫われている」
「いや、案外お嬢ちゃんだったら画鋲で人攫いの顔をズタズタにして逃げ切れるかもな」
「あら、その人攫いの首を掴んで助けてくれる私の傭兵さんは必要よ」
あのクレーターからは、もう、不穏な空気が立ち上がっていなかった。
ゆっくりと来た道を帰るのも危険と言う事で少し遠回りの道を歩く。
一歩一歩瓦礫を踏む度に小さな違和感がずっと体内に残っている。カレルとフユウは様子の可笑しい私を気にして無言でいる。三人で無言のまま歩き続ける。
「お嬢ちゃん、今夜はここら辺でどうだ?」
半分ぐらい崩れた大きな廃墟だ。だがその壁はいい荒野の風避けになりそうだ。
カレルが焚火を作り、フユウは獣を捕まえようとどこかへと走って行く。私は天井だった大きな破片に寄り掛かって火を眺める。
「……竜人はお嬢ちゃんに執着しているな」
「解放したからでしょう?」
「いや、それだけじゃねぇな。男の勘だが、フユウはお嬢ちゃんを性対象として見てやがる」
「?」
カレルは少し苦虫を潰したような顔になる。長い枝で火を突っつく。
「竜人は……普通は、人間は、性対象にならねぇんだよ。そこは種族の違いがはっきりとあるんだ。だが奴隷の時に娯楽と称して竜人に興奮剤を打ってから囚人や奴隷の女を抱かせる貴族がいるそうだ。それで、人間の味を覚えて種族を超えた性癖を持ってしまう竜人もいるってな」
「……何それ、酷い。じゃあ、フユウは性虐待もされていたかも知れないって事?」
「かもな。確信はねぇけど、お嬢ちゃんを見る目付きは間違いなくオスだ。……竜人の抱き方は人間のとは少し違うらしい。それを見る娯楽なんて、胸糞悪い話だな」
「……フユウは……私の命を助けに来たわ。今まで何一つ、無理矢理何かをしてきた事はない。私の嫌がる事はしない気がする」
「嫌な目に合いそうだったら俺を呼べ。……それとも、フユウに抱かれてみたいのか?」
「それは考えた事ない」
私は嘘を吐いている。
少し、考えた。
少し興味を持った。
私がカレルの指で感じてイクのを食い入るように見られていた時に、彼の興奮をはっきりと感じた。
彼が私を抱きたがっているかも知れない事に少し興奮している自分がいるのも、確かだ。
「……お嬢ちゃんが望んだ事だったら、止めるつもりはねえ。だが人間だろうが竜人だろうが、俺は身を引くつもりはねぇぞ。お嬢ちゃんを気に入ったんだ。……傭兵は休業だ」
カレルは私の腰に腕を回して抱き寄せ、熱い舌を口内に滑り込ませてくる。
「お嬢ちゃんが拒否をしない限り、抱く。欲求不満になられて別の野郎に目移りされるぐらいだったら、毎晩でも抱くさ」
「ふふふ。毎晩は体がもたないわ。でも、何も考えなくてもいいようにいっぱい抱いて欲しい」
「何か嫌な事があったのか?」
「……ええ、あった。でも、それはもういいの」
正直に言えば今はあの二人の事よりもどんどん変化する周囲に付いて行けなくなりそうでそちらの方に意識がいっている。
あの冷酷な王はこの星屑で満足してくれるのだろうか。
そして山賊の一件。
更にはあのクレーターでの一件。
「あなた達がいて良かった。一人だったらきっと私はもう死んでいるか攫われている」
「いや、案外お嬢ちゃんだったら画鋲で人攫いの顔をズタズタにして逃げ切れるかもな」
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