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上
※22(上・終)吊り橋効果、上等
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パチュ パン パチュ
絡ませた指がキツく握り返してくる。自分の腰を捻りながら打ち付ける。明音の息が上がってくる。額から垂れた血を舌でなぞって舐める。柔らかく傷淵が少し痛そうに小さく盛り上がっている。右手で前の壁に手を付いて身体を支える。血が壁に付く。
「殻に籠れば、俺が抉じ開けてやる」
ギシッ
ベッドが軋む。耳輪を強めに甘噛みしながらなぞり、耳の後ろの膨らみを念入りにねっとりと舐める。耳朶を吸いながら歯を立てる。
「……ふっ!」
明音の顎が上がって曝け出された首筋にまた唇と舌で愛撫していく。立ち上がった乳首が俺の鎖骨に当たる。頭をずらして乳首を軽く歯で挟んで舌全体で強く擦るように何度も往復する。胸筋に浮いてきた汗を絡めとる。
重ねた指に徐々に力が込もってくる。俺の動きに合わせて腰を下から打ち上げてくる。
「……いき……そう!」
耳元で低く掠れた声にまた口角が上がる。
「俺も、もうイク。中に出せ」
腰を骨盤に強く押しつけてグリグリと腰を捻っていく。
プチュ ジュブジュブジュブ
滑りの良い肉棒の長さに合わせて激しく腰を振る。苦痛ではなく快感に歪められた明音の顔を見てずっと身体の深いところから激しい波が襲ってくる。
「イクっ!」
熱い迸りが一番奥に放たれる。頭の中が爆破したように白い火花が散る。抑制が出来ない体の痙攣が全身を駆け巡り、明音のを何度もキツく締め上げる。
掠れた呻きに彼の上に上半身を預ける。彼のお腹に俺の精液が散らばっている。先程何度も出したのにちょっと薄いだけで量は変わらない。ベッドシーツに付いた明音の血の上に精液が垂れる。
二人共大きく肩で息をしている。俺の中で時々彼の陰茎が痙攣し、それが最高に気持ち良い。満足気な吐息が無意識に出る。
「明音」
まだ息が上がって目元が潤んでいる顔に軽いキスをする。
彼は俺の体を抱え、ゆっくりと体の上下を入れ替える。ズルっと重いのが穴からずり出る。熱い体液も彼を追うようにぽっかり空いた俺の穴から流れ出る。
「……もう、あんたとしか……セックスがしたくない」
俺の体を抱え込むように抱き締める。ハスキーボイスが耳を擽る。
――――そういえばこいつは最初から俺にサイン出していたな
天然タラシじゃなくって、ずっと、俺を誘っていた。体だけじゃなくもっと深い本能で。きっと砂浜から。
俺は妙な満足感と脱力感に身を投げ出している。いつもよりももっと深い場所からくる満足感と熱で痺れるような甘い幸福感が広がる。
「ありがとう」
目を開けると明音が静かに俺を見ている。
「……明音が、俺を助けてくれたよ」
「それは、違う」
即座に強く否定され、俺は笑ってしまった。これからもきっと何度もこのやり取りをするのであろう。
「いや、助けてくれたさ。俺は……セックスしか出来ないクズだから。いつだって、誰も、隣にいてくれなかった。お前だけだよ」
俺は明音の脇腹の傷を指でなぞる。体温が上がって赤く盛り上がっている。
「これ、どうしたんだ」
彼は身じろぎをせずに俺を見つめたまま小さな声で答える。
「親父にバールで刺された」
左胸に集中している小さな傷を擦る。
「……こっちは?」
「これも親父、窓から押し出された時の傷。これは去年彼の車に轢かれて」
自虐的に笑う。
「……あの人との事は俺のせいだって。親父は俺の言葉は何も聞いてくれなかった」
絡まっている脚が重く、隣にいる実感がして落ち着く。
「いつから?」
「……分からない」
俺の首筋に顔を埋める。
「思い返せばいつも何かあったから。酷くなったのは、高校生の時。その頃から両親も変になって。あの人は……好き勝手に俺に触って。色々買って与えれば俺が許して嬉しがるとでも思って。物だけ、どんどん、増えていって」
さっきのリビングで見かけた箱の山を思い出す。彼の髪の毛に鼻を埋める。シャンプーに交じって微かに彼の香りがする。
「止めてくれなくって。……最後……までしないともっと酷くされて」
髪に指を絡ませながらそっと頭を撫でる。明音の顔が当たる首に熱い体液が流れ落ちてくる。
「自分が……酷く汚い存在になって! でも、逃げられなくって!」
悲痛な、とても悲しい叫びで。
「誰にも言えなくって! ただ、止めて欲しくって!」
俺にしがみ付く指がギリギリと肉に食い込んでくる。全身で俺にしがみ付く彼の頭を押さえる。
「ただ……助けて欲しかった!」
あぁ、形は違えど、俺達は同じものが欲しかっただけ。それで傷付いていった。
「汚くない。明音は、汚くない」
体が捻じ切れるぐらい明音の力が強い。腹がギリギリ痛む。明音の顔を無理矢理上に向かせてキスをする。涙と混じって鼻水も出ている鼻先を舐める。塩辛い。
「……俺、もう何されても、ここ一年ぐらい立たなかったんだ」
俺の視線を受けて彼が皮肉な笑みを浮かべる。
「それでも……一緒にいるのを強要されたけど」
俺の身体にしがみ付く力が少し弱まる。
「……あんただけが、欲しい。俺を、助けて」
「俺と一緒にいる限り、いつでも助けるよ。殻に閉じ籠っても抉じ開けてやる」
腕の力が緩んで、明音が微笑む。
「……本当、あんたは……凄い」
泣きそうな顔で笑う。俺は明音の頭を近くに引き寄せて頭の傷に舌を這わせる。彼は抵抗せずに目を閉じる。
「それは、あんたに拾われた時の傷」
「……俺はお前を拾ったのか?」
小さく笑う。
「それじゃ……こっちは?」
彼の手を持ち上げる。彼はじっと手を見て優しく笑う。
「あんただけのものになった時かな?」
明音がきつく俺を抱き締め、静かに訊く。
「なぁ……これ、吊り橋効果だと思う?」
「……ふっ」
俺は笑った。
「吊り橋効果、上等。好きなだけ俺に依存しろ」
「あんた、本当に格好良いよな」
明音は口角を上げて獰猛な笑顔で俺の唇を掠める。
「俺は……離れないぞ」
「……上等」
笑いながら口を開け、明音の舌に自分のを絡ませる。
何処からか波の音が聞こえる。
『吊り橋効果・上等 (上)』
完
絡ませた指がキツく握り返してくる。自分の腰を捻りながら打ち付ける。明音の息が上がってくる。額から垂れた血を舌でなぞって舐める。柔らかく傷淵が少し痛そうに小さく盛り上がっている。右手で前の壁に手を付いて身体を支える。血が壁に付く。
「殻に籠れば、俺が抉じ開けてやる」
ギシッ
ベッドが軋む。耳輪を強めに甘噛みしながらなぞり、耳の後ろの膨らみを念入りにねっとりと舐める。耳朶を吸いながら歯を立てる。
「……ふっ!」
明音の顎が上がって曝け出された首筋にまた唇と舌で愛撫していく。立ち上がった乳首が俺の鎖骨に当たる。頭をずらして乳首を軽く歯で挟んで舌全体で強く擦るように何度も往復する。胸筋に浮いてきた汗を絡めとる。
重ねた指に徐々に力が込もってくる。俺の動きに合わせて腰を下から打ち上げてくる。
「……いき……そう!」
耳元で低く掠れた声にまた口角が上がる。
「俺も、もうイク。中に出せ」
腰を骨盤に強く押しつけてグリグリと腰を捻っていく。
プチュ ジュブジュブジュブ
滑りの良い肉棒の長さに合わせて激しく腰を振る。苦痛ではなく快感に歪められた明音の顔を見てずっと身体の深いところから激しい波が襲ってくる。
「イクっ!」
熱い迸りが一番奥に放たれる。頭の中が爆破したように白い火花が散る。抑制が出来ない体の痙攣が全身を駆け巡り、明音のを何度もキツく締め上げる。
掠れた呻きに彼の上に上半身を預ける。彼のお腹に俺の精液が散らばっている。先程何度も出したのにちょっと薄いだけで量は変わらない。ベッドシーツに付いた明音の血の上に精液が垂れる。
二人共大きく肩で息をしている。俺の中で時々彼の陰茎が痙攣し、それが最高に気持ち良い。満足気な吐息が無意識に出る。
「明音」
まだ息が上がって目元が潤んでいる顔に軽いキスをする。
彼は俺の体を抱え、ゆっくりと体の上下を入れ替える。ズルっと重いのが穴からずり出る。熱い体液も彼を追うようにぽっかり空いた俺の穴から流れ出る。
「……もう、あんたとしか……セックスがしたくない」
俺の体を抱え込むように抱き締める。ハスキーボイスが耳を擽る。
――――そういえばこいつは最初から俺にサイン出していたな
天然タラシじゃなくって、ずっと、俺を誘っていた。体だけじゃなくもっと深い本能で。きっと砂浜から。
俺は妙な満足感と脱力感に身を投げ出している。いつもよりももっと深い場所からくる満足感と熱で痺れるような甘い幸福感が広がる。
「ありがとう」
目を開けると明音が静かに俺を見ている。
「……明音が、俺を助けてくれたよ」
「それは、違う」
即座に強く否定され、俺は笑ってしまった。これからもきっと何度もこのやり取りをするのであろう。
「いや、助けてくれたさ。俺は……セックスしか出来ないクズだから。いつだって、誰も、隣にいてくれなかった。お前だけだよ」
俺は明音の脇腹の傷を指でなぞる。体温が上がって赤く盛り上がっている。
「これ、どうしたんだ」
彼は身じろぎをせずに俺を見つめたまま小さな声で答える。
「親父にバールで刺された」
左胸に集中している小さな傷を擦る。
「……こっちは?」
「これも親父、窓から押し出された時の傷。これは去年彼の車に轢かれて」
自虐的に笑う。
「……あの人との事は俺のせいだって。親父は俺の言葉は何も聞いてくれなかった」
絡まっている脚が重く、隣にいる実感がして落ち着く。
「いつから?」
「……分からない」
俺の首筋に顔を埋める。
「思い返せばいつも何かあったから。酷くなったのは、高校生の時。その頃から両親も変になって。あの人は……好き勝手に俺に触って。色々買って与えれば俺が許して嬉しがるとでも思って。物だけ、どんどん、増えていって」
さっきのリビングで見かけた箱の山を思い出す。彼の髪の毛に鼻を埋める。シャンプーに交じって微かに彼の香りがする。
「止めてくれなくって。……最後……までしないともっと酷くされて」
髪に指を絡ませながらそっと頭を撫でる。明音の顔が当たる首に熱い体液が流れ落ちてくる。
「自分が……酷く汚い存在になって! でも、逃げられなくって!」
悲痛な、とても悲しい叫びで。
「誰にも言えなくって! ただ、止めて欲しくって!」
俺にしがみ付く指がギリギリと肉に食い込んでくる。全身で俺にしがみ付く彼の頭を押さえる。
「ただ……助けて欲しかった!」
あぁ、形は違えど、俺達は同じものが欲しかっただけ。それで傷付いていった。
「汚くない。明音は、汚くない」
体が捻じ切れるぐらい明音の力が強い。腹がギリギリ痛む。明音の顔を無理矢理上に向かせてキスをする。涙と混じって鼻水も出ている鼻先を舐める。塩辛い。
「……俺、もう何されても、ここ一年ぐらい立たなかったんだ」
俺の視線を受けて彼が皮肉な笑みを浮かべる。
「それでも……一緒にいるのを強要されたけど」
俺の身体にしがみ付く力が少し弱まる。
「……あんただけが、欲しい。俺を、助けて」
「俺と一緒にいる限り、いつでも助けるよ。殻に閉じ籠っても抉じ開けてやる」
腕の力が緩んで、明音が微笑む。
「……本当、あんたは……凄い」
泣きそうな顔で笑う。俺は明音の頭を近くに引き寄せて頭の傷に舌を這わせる。彼は抵抗せずに目を閉じる。
「それは、あんたに拾われた時の傷」
「……俺はお前を拾ったのか?」
小さく笑う。
「それじゃ……こっちは?」
彼の手を持ち上げる。彼はじっと手を見て優しく笑う。
「あんただけのものになった時かな?」
明音がきつく俺を抱き締め、静かに訊く。
「なぁ……これ、吊り橋効果だと思う?」
「……ふっ」
俺は笑った。
「吊り橋効果、上等。好きなだけ俺に依存しろ」
「あんた、本当に格好良いよな」
明音は口角を上げて獰猛な笑顔で俺の唇を掠める。
「俺は……離れないぞ」
「……上等」
笑いながら口を開け、明音の舌に自分のを絡ませる。
何処からか波の音が聞こえる。
『吊り橋効果・上等 (上)』
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