専属魔女は王子と共に

ちゃろっこ

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渇望した物は

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「…いや違うな。
本当は死ぬ理由が欲しかったんだ」

「え………?」

「封印の儀の魔獣殲滅が厳しい物だって言うのは知ってたからね。
誰かを庇ってなら死ぬ大義名分が出来る。
騎士団長に死ぬなって言われてしまったからね。
努力したけど死んでしまったって形にしたかったんだよ私は」

「………」

眉間に皺を寄せたシルフィーにレイモンドはふわりと微笑んだ。
まるで何か大切な物を見るかの様な顔で。
それはとても綺麗で慈愛が篭っていて。
赤子の姿なのにドキリとしてしまう程に美しかった。

「だけどさ、君達全然庇われてくれないんだもん。
力もあるし1人で歩こうとする奴らばかりで。
自由で、真っ直ぐで、どこまでも生きる事に貪欲で。
なのに何かを守る為なら命すら投げ出してしまう様な奴らばかりで。
他人や国の為に一生懸命な人達ばかりで。
…羨ましくなった。
とても綺麗で眩しかった。
今度は逆に私が皆に死んで欲しくなくなってしまったんだ。
死ぬ為に庇うつもりが、生き残る為に庇う様になってしまった」

「………」

「昼間の質問の答えはこれだね。
…助けて貰ったんだよ私は。
生きる理由を、その為の感情を君達はくれたんだ。
私が一番欲しかった物をくれたのは間違いなく君達だった」

だからありがとうとレイモンドは頭を下げる。
戸惑うシルフィーに彼はもう一度笑う。

まるで素敵な贈り物を手にしたかの様に。
一番大切な物を抱えているかの様に。

シルフィーには何も分からない。
だけどその姿は眩しくてこちらが羨ましくなってしまう。

その宝物はきっととても特別で。
きっととても大切な物で。
優しくて温かい何かなのだろうと思う。

シルフィーもその宝物が欲しいと思った。
そんなにも大切な何かを持つ事が出来ない自分が酷く虚しいとさえ思った。

「……あの」

「ん?」

「…私も見付けてみます」

「え?」

「今は悲しいも寂しいも愛情も友情も分からないけど。
探してみます。
見付かるかは分かんないですけど。
見付けてもそれが正しいのかすらも分かんないと思うんですけど。
私が見付けたらそれが合っているのか教えて下さい。
そして正解だったその時には、私からも言わせて下さい。
…私を連れて行ってくれたお礼を。
皆と共に戦わせてくれたお礼を」

「フィー…」

「今は言いませんけどね。
何も得られない所か悪趣味な羽が増えただけなんで」

「…うん。
………待ってる」

レイモンドは綺麗に笑った。
外には既に朝日が覗いていたが、とても寝る気にはなれなかった。

まるで宝物の欠片を拾った様な、そんな気分だった。
それは暗闇の中に射す一筋の光の様に酷く眩しい物だった。
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