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第一章
プロローグ
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夏井正太郎(なついしょうたろう)が、自分の異変に気づいたのは小学四年生の三学期。
クラスメイトの女子のお財布が盗まれたいう騒ぎがあった。例のごとく、ホームルームで担任による犯人探しがはじまる。
「えー、Kさんのお財布がなくなってしまったようです。心当たりのある人はいますか?」
「そんなの知らねーよー」
「なんだよそれ。センセー俺らのことうたがってんのー?」
クラスは騒然。それはそうだろう。事件が発生したのだ。
担任は少し慌てた様子で続ける。
「先生は疑っているわけではありません。だけど体育の授業が始まる前まではあったものがなくなっている。不思議でしょう?もちろんKさんが落としたのかもね。だとしても、誰かが拾っているはずだから。黄色いガマ口のお財布だそうです。誰か知らない?」
誰も名乗り出ない。いや、こんな形式の尋問で名乗り出るわけがない。正太郎は少し呆れたようにため息をついて、窓ガラスから校庭を眺めた。
その時だった。
「!」正太郎は目を見開く。
(なんだこりゃ、、?)
なぜか脳裏にはっきりと人物の顔が浮かぶ。振り払おうとすればするほど明確になってくる。犯人はコイツだ!と、脳が語りかけてくる。
(え?そういうことなのか?いや、そんなバカな。)正太郎はわけがわからず、頭を左右に振った。
「先生は犯人探しをするつもりも、拾った人を罰するつもりもありません。名乗り出るのが難しければ、後ほどでもいいです。職員室に届けてください。Kさん、それでいいですか?」
担任の言葉にKはうなづく。
「それでは本日のホームルームを終了します」
担任が教室から去ったあと、教室内は騒然となった。
女子はKを同情したり心配したり。
男子は自分達を疑った担任を侮辱したり、Kに詳しい状況を聞いてみたり。
そんな中、正太郎の頭には未だあの人物の顔が離れない。
そう、Kの顔が。
(本当になんなんだよこれ。)正太郎はたまらずKに近寄って聞いてみた。
「なぁK、本当になくしたの?」
「え・・、な、夏井くん、何でそんなこと・・」Kは困惑の表情を隠すように俯いた。そのあと、悲しそうな表情を作り、正太郎に向き直す。
「本当だよ。私、嘘なんか言わないよ」
その表情の変化に、正太郎は鳥肌が立ったことを高校生になった今でも覚えている。
ただ、疑念は確信に変わった。
明らかにKは嘘をついている。
「・・・そうか。ごめん変なこと聞いて。早く見つかるといいな」正太郎はそう言って、席へと戻る。
まあ、これでいいか。突き詰めたところで誰も得しないし。正太郎はそう考えることにした。
クラスメイトの女子のお財布が盗まれたいう騒ぎがあった。例のごとく、ホームルームで担任による犯人探しがはじまる。
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「そんなの知らねーよー」
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「先生は疑っているわけではありません。だけど体育の授業が始まる前まではあったものがなくなっている。不思議でしょう?もちろんKさんが落としたのかもね。だとしても、誰かが拾っているはずだから。黄色いガマ口のお財布だそうです。誰か知らない?」
誰も名乗り出ない。いや、こんな形式の尋問で名乗り出るわけがない。正太郎は少し呆れたようにため息をついて、窓ガラスから校庭を眺めた。
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(なんだこりゃ、、?)
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(え?そういうことなのか?いや、そんなバカな。)正太郎はわけがわからず、頭を左右に振った。
「先生は犯人探しをするつもりも、拾った人を罰するつもりもありません。名乗り出るのが難しければ、後ほどでもいいです。職員室に届けてください。Kさん、それでいいですか?」
担任の言葉にKはうなづく。
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そんな中、正太郎の頭には未だあの人物の顔が離れない。
そう、Kの顔が。
(本当になんなんだよこれ。)正太郎はたまらずKに近寄って聞いてみた。
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