犯人はこいつです!〜足りないのは動機と証拠とアリバイと〜

高前タルソン

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第一章

能力の使い方

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「なんで今まで黙ってたんだよ」林守はすこし機嫌を損ねていた。
「ごめんマモル。隠していたのはあやまる。でも過去の経験上、この話をすると頭のおかしい奴ととられることが多くてね。許して」正太郎は歩きながら謝る。
「俺は中三の時、お前のその能力に助けられたってことか。なるほどな」
「ごめん」正太郎は小さく謝る。

(その力にはむしろ俺は感謝してるよ。ただ、隠されてた事が悲しいよ)林は返事をせず、黙って歩いた。
「まあまあ、お互いそんな気にすんなって!とりあえずうららちゃんの件は、あとはあの刑事さんがなんとかすんだろ?信じてくれたみたいだしさ」猫田が雰囲気を変えようと明るい声を出す。
「うるせーよ、お前」林が猫田を軽く小突く。
「いって!」猫田は少し痛がったあとニコリと微笑む。
優しいやつだ。正太郎も林もそう思いながら微笑む。

「正太郎、俺思うんだけどよ。今回あの女刑事にチカラのことを話したのは失敗だったんじゃねぇか?そのチカラは警察にしてみりゃとんでもないお宝だからよ」林が言う。
「うん、そうかもしれない。でも、それでもいいかなって。でなきゃなんの意味もなさないチカラだしね」
「そんなもんかね」
「うん。俺が犯人捕まえられるわけでもなければ、捜査もできない。ただ顔が分かるってだけ。だから、このチカラが役に立つというのなら、それでいいと思うんだ。だけどね、あの刑事さんは信じてくれたみたいだけど、警察自体はどうかなぁ。たぶん無理だと思うよこんな非科学的な能力を鵜呑みにするのは」正太郎は白けた顔をする。
「そうか。なんにせよさ、困った事があれば今回みたいに俺を呼べ。俺は頭は悪いけど、腕力なら自信ある。お前を助けたいんだ」林が正太郎の肩を叩く。
「ありがとう」正太郎も林の肩を叩き返した。



信じられない。だけど、信じることにした。
冬香は先ほど出会った高校生が語ったこと全てに驚愕した。これが真実なら警察はこの世にいらない!
(とは言っても、動機も証拠も何もかもない。犯人の顔だけが分かるだけ。あの子、正太郎くんだったか。正太郎くんの言う通り、たしかに今の世の中では理解は得られないよね。)
真犯人はわかった。あとは証拠と犯行動機だ。そこはプロに任せておいて!冬香は溢れるやる気を抑えられなかった。
(まずは署に戻って報告だ。吉田麗をどうにか任意聴取で引っ張りたいけど。今の進展じゃまだ無理かな。)

署に戻った冬香は真っ先に虎尾のデスクへ向かった。
「戻りました。課長、例の交通事故、その後何か情報は入りました?」
冬香の形相がいつもと違う。何か掴んだのか?虎尾はそう思いながら返事をする。
「いや、何も入ってない」
「そうですか・・」
「何か掴んだのか?」
「いえ、ただ容疑者の恋仲にある吉田麗・・・彼女を事情聴取したいです」冬香は虎尾の目を睨むようにしてまっすぐ見つめた。
「なるほどな。しかし、引っ張るための理由がない」
「そこ、なんですよ・・・」冬香は天井を見つめる。

「おつかれ~。そんな熱血刑事に朗報だ」ふざけるように岸田が背後から冬香に声をかける。
冬香は振り向き、岸田をキッと睨む。
「あんた、茶化してんなら怒るよ」
「怖いなぁ、おばちゃん。」岸田は自分の両肩を抱いて震える素振りをする。
「でも本当のやつだよ。その事故、目撃者が出た」
「!」冬香は目を丸くする。
「な?さっき交通課が騒いでた。運転手は女だったそうだ」岸田が得意げに続ける。
「どいて!」冬香は岸田を押し退け、一目散に交通課へ向かう。
「乱暴だなぁ。ねぇ、課長」岸田は微笑みながら虎尾を見る。
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みんなの感想(1件)

花雨
2021.08.13 花雨

作品お気に入り登録しときますね(^^)

2021.08.13 高前タルソン

ありがとうございます。
拙い文章ですが、お付き合いお願いいたします。

解除

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