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SEASON 1
深まる謎
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「それはですね…」
彼女にしては、珍しく口篭る。
だが、答えは半分決まったようなものだ。先程、仕組んたかどうか質問した時に否定しなかったためだ。
「私も分からないんですよねーあははー」
「は?一体どういうことだ?」
確かに、彼女が知らなかったとしても、今までの行動に不自然な点はない。だからこそ、怪しいのだ。何が目的なのかが分からない。
《まぁすたぁー?女の子がいじめちゃダメなのですよ?困ってるじゃないですか》
俺の端末からネクトの声がする。こいつも不知火の味方をするつもりらしい。
「とは言ってもな…」
ネクトにしては、正論ではあるので無下にはできない。
《もう、分からないことにいつまでも執着しても、前には進めませんよ、主》
「……そうだな。ネクトの言う通りだ。よし、事後処理を始めるとするか」
俺は端末を開いて、木塚さんへ依頼達成の報告をする。
その時、不知火が安堵の表情をしたのを見た気がした。
___________________________________
俺はそこで不知火と別れて、自宅へと徒歩で向かった。
「そういや、ネクト」
《はい》
「お前、珍しくまともなこと言ってたな」
《!!……え、あ、いや、だだだって、不知火さんいい子ですから》
「どうしたんだよ?そんなに焦って」
《ふぇ?そ、そんなことないですよー》
「そうか?まぁ、いいか」
今日のネクトは色々おかしい気がするが、そんなに気にすることではないだろう。
しばらくネクトと雑談していると、家に着いた。学校から徒歩10分程の好立地ではあるものの、何しろオンボロだ。歩いても、ドアを開けても軋んだ音がする。
そのおかげで、家賃はとても安いのだが。
「ただいまー」
《ただいまですー》
一人暮らしなので、おかえりを言う人はいない。風呂は前もって予約していたので、既に沸いていた。殆ど彼女任せだったとはいえ、依頼後なので先に風呂に入る。
「はぁぁぁぁうぅぅぅぅ……」
癒される。疲れが取れる。最高だ。これだから、風呂はいい。
それにしても、
「不思議なやつだったなー、不知火は」
そう言いながら、俺の心は湯の中に溶けて言った。
___________________________________
「はぁ、どうしてあの人はあんなに鈍いんですかね…」
私は、帰路の途中に独り言を呟いた。
「折角、ネクトちゃんに依頼が私にだけ来るように調整してもらったのに…」
本当は、規約違反だ。バレたら、懲戒免職ものだ。それでも、そうだとしても、
「いいとこ見せたかったんだもん」
学校では絶対にみせない顔だ。学校での体面というものが自分にはある。
そして、やっと、見つけたというのに。このチャンスを逃す訳にはいかない。
あの時は、熱を操作して蜃気楼を作り出すことで自分の姿を見えなくしていた。
だけど彼だけには見てもらいたくて、蜃気楼を無理矢理調整していたのだ。そのおかげで、炎剣だって小さくしないとならなかったのだ。
戦闘において最も頼りになる「武器」を捨ててまで、見ていて欲しかった。
けれど
「そんだけやってもダメ、か」
分かっていたことだった。そう、初めて会った時もそうだった。
「きっと先輩は覚えてないんだろうな」
___________________________________
「木塚さん」
「ん、どうした?」
「あのガキとお嬢の話なんすけど」
「言っておくが、二人の身の上話はせんぞ?口止めされてるからな」
「いや、聞きませんよ。聞いたあとが恐ろしいです。そうじゃなくて、あの二人一緒に任務こなしたらしいっすよ」
「ああ、そのことか。さっき本人から直接聞いたわ」
「そーなんすか。それなら話が早いっすね」
「その口振りだと何かあったみたいだな」
「ええ、その通りですよ。お嬢がどうやらガキのAIと組んで、ガキへの依頼通達を止めたみたいで」
「はあっ!?どこからの情報だよ、それ!」
「それが………」
「とっとと言え!」
部下の煮え切らない態度に、怒りを露わにする木塚。だが、次の発言には流石の彼も、唖然としてしまうのであった。
「ガキのAI自身が、俺らにリークして来て…」
彼女にしては、珍しく口篭る。
だが、答えは半分決まったようなものだ。先程、仕組んたかどうか質問した時に否定しなかったためだ。
「私も分からないんですよねーあははー」
「は?一体どういうことだ?」
確かに、彼女が知らなかったとしても、今までの行動に不自然な点はない。だからこそ、怪しいのだ。何が目的なのかが分からない。
《まぁすたぁー?女の子がいじめちゃダメなのですよ?困ってるじゃないですか》
俺の端末からネクトの声がする。こいつも不知火の味方をするつもりらしい。
「とは言ってもな…」
ネクトにしては、正論ではあるので無下にはできない。
《もう、分からないことにいつまでも執着しても、前には進めませんよ、主》
「……そうだな。ネクトの言う通りだ。よし、事後処理を始めるとするか」
俺は端末を開いて、木塚さんへ依頼達成の報告をする。
その時、不知火が安堵の表情をしたのを見た気がした。
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俺はそこで不知火と別れて、自宅へと徒歩で向かった。
「そういや、ネクト」
《はい》
「お前、珍しくまともなこと言ってたな」
《!!……え、あ、いや、だだだって、不知火さんいい子ですから》
「どうしたんだよ?そんなに焦って」
《ふぇ?そ、そんなことないですよー》
「そうか?まぁ、いいか」
今日のネクトは色々おかしい気がするが、そんなに気にすることではないだろう。
しばらくネクトと雑談していると、家に着いた。学校から徒歩10分程の好立地ではあるものの、何しろオンボロだ。歩いても、ドアを開けても軋んだ音がする。
そのおかげで、家賃はとても安いのだが。
「ただいまー」
《ただいまですー》
一人暮らしなので、おかえりを言う人はいない。風呂は前もって予約していたので、既に沸いていた。殆ど彼女任せだったとはいえ、依頼後なので先に風呂に入る。
「はぁぁぁぁうぅぅぅぅ……」
癒される。疲れが取れる。最高だ。これだから、風呂はいい。
それにしても、
「不思議なやつだったなー、不知火は」
そう言いながら、俺の心は湯の中に溶けて言った。
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「はぁ、どうしてあの人はあんなに鈍いんですかね…」
私は、帰路の途中に独り言を呟いた。
「折角、ネクトちゃんに依頼が私にだけ来るように調整してもらったのに…」
本当は、規約違反だ。バレたら、懲戒免職ものだ。それでも、そうだとしても、
「いいとこ見せたかったんだもん」
学校では絶対にみせない顔だ。学校での体面というものが自分にはある。
そして、やっと、見つけたというのに。このチャンスを逃す訳にはいかない。
あの時は、熱を操作して蜃気楼を作り出すことで自分の姿を見えなくしていた。
だけど彼だけには見てもらいたくて、蜃気楼を無理矢理調整していたのだ。そのおかげで、炎剣だって小さくしないとならなかったのだ。
戦闘において最も頼りになる「武器」を捨ててまで、見ていて欲しかった。
けれど
「そんだけやってもダメ、か」
分かっていたことだった。そう、初めて会った時もそうだった。
「きっと先輩は覚えてないんだろうな」
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「木塚さん」
「ん、どうした?」
「あのガキとお嬢の話なんすけど」
「言っておくが、二人の身の上話はせんぞ?口止めされてるからな」
「いや、聞きませんよ。聞いたあとが恐ろしいです。そうじゃなくて、あの二人一緒に任務こなしたらしいっすよ」
「ああ、そのことか。さっき本人から直接聞いたわ」
「そーなんすか。それなら話が早いっすね」
「その口振りだと何かあったみたいだな」
「ええ、その通りですよ。お嬢がどうやらガキのAIと組んで、ガキへの依頼通達を止めたみたいで」
「はあっ!?どこからの情報だよ、それ!」
「それが………」
「とっとと言え!」
部下の煮え切らない態度に、怒りを露わにする木塚。だが、次の発言には流石の彼も、唖然としてしまうのであった。
「ガキのAI自身が、俺らにリークして来て…」
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