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第5話 娼婦のノブナガ

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 インティクト・テンプルは、私、オードリーにとって何かと因縁深い場所だ。

 懺悔室の住職と初体験し、裏庭で初めての複数人及び野外行為、その寺の名前の通りに本能の赴くまま行為に没頭して、そう言えば上の口の接吻ファーストキスより下の口の方が先だった気がする。

 アギチ・ミッチーデは既婚者で、でも私以外に愛人のいない純情さんだった。
 でも彼の奥さんが、私の世界では珍しい独占欲の強い人で、私の人生はここインティクト・テンプルで、彼女に包丁で刺される事で終わりを告げた。



 さて、命を落とした私が天国らしき場所を彷徨っていると、見た目平凡だがそこそこ遊んでそうな雰囲気の男と、やり手の商売人の雰囲気を醸し出し、それなりに男性も食ってそうな大人の女性がいた。

「やあボクはアマテラス、君のいた世界とは違う、正世界レギュラーワールドの神様だよ」

 そう自己紹介をするのは、どうみても神様のイメージとは程遠い幼女。
 神様でこの見た目だし流石に生娘かなあ、もし行為に及んでいるとするならどんな感じなんだろうと思いながら話を適当にていると。

「……の世界は日本人がアメリカ大陸……君の世界だと義経大陸かな?を発見するとか、ね」

 うん?
 綺麗に間違ってるとはどう言う意味だ?
 そして六人?

「慌てなくても、もうすぐやってくるから待ってて?
 全然人の話を聞いてない、娼婦オードリー・ノブナガさん」
 そう言って神様はわたしの名前を呼んで、何やら文字の書かれた、半透明の板状の物を空中に表示させる。

「ふむふむ。
 源義経がチンギスハンになった世界線とは逆に、アメリカ大陸の方に行っちゃったんだね。
 英雄色を好むと言うけど、その末裔も含め世界中の女性に手を出しまくった結果、程よく倫理観が壊れて体を売る商売の人たちが台頭して嫌悪感を抱かれない娼婦の世界、と」

 どうやらそこには、私のいた世界についての説明が書かれているらしい。
 そして、その場にいる他の二人をそのままに私だけが呼び出されて、

「君にはコレを渡しておく」
 と、何やらペンダントのような物を渡された。そして、

「それを使えば、いつでもボクを呼び出せる。
 ……そして先に言っておくけど、神様の行為アレは、凄いよ?」
 と、耳元でこっそり囁く。

 そして神様の言う通り、アレは想像を三段ぐらい上回る程に凄かった。
 流石に麻薬過ぎるので、週に一回ぐらいの利用に留めているけど。
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