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就活編

-13°F(偉い人に会う)

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「いや偶然とは恐ろしいね」
「本当に。これも運命でしょうかね」

 目の間にいるビックネーム二名に、僕は恐縮しっぱなしだ。

 片方は僕が就職しようとしている会社の若社長。
 もう片方は六華宮ろっかのみや霰子さんこ内親王殿下、つまりエイコの姉だ。

 二人は皇室の私塾として創設された、主に皇族や金持ちの通う学秀院大学の同級生だったらしい。
 大学卒業生も皇族以外では国会議員になったりアナウンサーや作家になったりと、錚々たる面々ばかりだ。

 そしてエイコも本来その大学へ進学する予定だったのが、色々あってうちの大学に入学した。

 その色々が聞きたい?
 主な理由はエイコの性格だよ!

 学秀院大学は幼稚園にあたる幼等部からの一環教育なので本来なら大学までストレートに入れるのだが、高等部の時点でエイコが大学部の学長と大喧嘩になって、大学には入れさせないとなったらしい。

 あまりの珍事に当時ニュースにまでなってたな、そう言えば。
 その時は皇室自体にあまり関心がなかったから、皇族の娘が大学と揉めてるぐらいの認識だったけど。

 しかし学秀院卒の学歴がそうされるのか、それとも皇族に会社社長という経歴がそうさせるのか。
 何だろう、目の前の二人は住んでる次元が違う、そんなオーラを感じる。

「我が社は伝統より革新を重んじる。
君なら我が社に新しい風を吹かせてくれると期待してるよ」
「あら新しい風なら私の妹に既に、ね?
その意味では蓮さんには感謝しています」

 その後も色々二人と話したり聞かれたのだが、出された料理も含めて頭が真っ白でほとんど覚えていない。

  ❄️  ❄️  ❄️

「それはまあ、

 そこでお疲れ様と言わないのがエイコの平常運転。
 ニュアンス的には似たようなものだけど。

「でも私と一緒になるなら、今後はそういう場にも慣れて貰わないと」

 あの場に同席しなかったのにも関わらず、エイコは随分と勝手なことを言う。

「一応言っておきますけどね、私だって最低限出席しないと駄目な行事ぐらいには顔を出しているわよ?」
「……それ以外の場合は?」
「私、病弱ってだから」

 堂々と仮病を公言しやがりましたよ、この女!

「流石に私達の結婚式には顔を出すわよ?」

 当たり前だ!
 誓いのキスが代理とか嫌すぎるわ。

「その代わり、貴方の葬式は代理を立ててもいい?」

 どんだけ公の場に出たくないんだよ!

「だって、錯乱のあまり位牌に抹香を投げつけるかもしれないし」

 あんたは親の葬儀を台無しにした尾張のうつけ武将か!

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