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王位継承編
-36° F(ポーラ)
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「ポーラ・マッカートニーを、こっち陣営に引き入れます」
エイコが提案したのは、余りにも大胆すぎる戦略だった。
マッカ創業者であるマッカートニー兄弟。その兄ダグラスの孫にあたるポーラは日本贔屓で有名な動画配信者。
確かに彼女を味方に引き入れられたら今回の対マッカ戦において優位になるのは間違いないけど……
「彼女は日本のバーチャルライバーも大好きでね。
未来テラスとか電脳姫しずくちゃんとか」
というエイコの言葉に、味方になる可能性がグッと高まった。
今の名前があがった二人とも、エイコFC会員だ。
「あと動フェスも動コイもチェック済みらしいわよ」
そう言えば未来テラスも動コイに参加していたなあ。
これはかなり期待できるのか?
「そう言えばマッカートニーズと組んだビーカンパニーの街屋ですけど、早速コラボメニューを出すようですわねー」
とはジュラルミンこと受楽院 瑠美。
彼女はエイコFC会員だが、
牛丼の「じゅらく家」
居酒屋チェーントップシェアの「鳥騎士団」
を運営する、じゅらくグループの一人娘で、僕が内定の決まったタイショーとはいわばライバル関係にある。
「そう言えばマカト側でライスバーガーを出したり、待屋側でもマカトのメニューを出すみたいだね」
と口を開くのは吉沢呉生。
彼女もエイコFC会員だが、タイショーのライバル会社である
牛丼の「吉沢家」の血縁者だ。
ちなみにマッカの呼び名は、その色が真紅で有名なパソコン某社と被るため、主に関西の人間はマカトの名称を使う事が多いと聞く。
えっクレオさんて関西の人?
「あれ知らなかったんどす?
うちの母は京都出身どすえ?」
初耳だしその口調、絶対に似非京都弁よね。
「まあ冗談はさておき、待屋がマカト陣営に組するってんなら吉沢家は牛丼大将と組むつもりだよ?」
「じゅらく家もですわー
外資のハンバーガー屋風情の思うようになんて、そうは問屋がオロシガネですわー」
問屋がおろさない、ね。オロシガネ関係ないでしょ。
まあうん、協力してくれるのは純粋に嬉しいけども?
「その代わりだけど、エイコさん?」
「わかっていますわねー?」
と牛丼チェーン店の関係者二人が彼女に迫る。
やっぱり条件付きだったか。
「はいはい、分かったわよ。
ポーラを来日させてタイショーとコラボさせるけど、そっちの2社にも貸し出す。この条件で良い?」
エイコが少し眉をひそめて返答するが。
「それもそれで魅力的ですけどー」
「例えばもっとこう、田中クンを1日貸してくれるとかさ」
と二人が更なる要求をする。
え、何故僕!?
「田中さん女性にマメそうですしー、一緒にいたら楽しそうですものー」
「ちょっとぐらい良いじゃ……あ」
「一度しか聞かないけどソレ、
ま さ か 本 気 で 言 っ て な い わ よ ね え?」
エイコは無表情だが、その視線だけで人が殺せそうな強い殺気を放つ。
「もももも勿論冗談だよ、なあジュラルミン?」
「そそそそそうですわー。
エイコさんたらもー、嫌ですわー」
口調こそ冗談めかしているが、二人の顔は恐怖でひきつっていた。
かくしてポーラとの交渉もあっさり成立、彼女が日本に来る事になったのだが。
来日直後、彼女が日本の空港で突如失踪したのだった。
エイコが提案したのは、余りにも大胆すぎる戦略だった。
マッカ創業者であるマッカートニー兄弟。その兄ダグラスの孫にあたるポーラは日本贔屓で有名な動画配信者。
確かに彼女を味方に引き入れられたら今回の対マッカ戦において優位になるのは間違いないけど……
「彼女は日本のバーチャルライバーも大好きでね。
未来テラスとか電脳姫しずくちゃんとか」
というエイコの言葉に、味方になる可能性がグッと高まった。
今の名前があがった二人とも、エイコFC会員だ。
「あと動フェスも動コイもチェック済みらしいわよ」
そう言えば未来テラスも動コイに参加していたなあ。
これはかなり期待できるのか?
「そう言えばマッカートニーズと組んだビーカンパニーの街屋ですけど、早速コラボメニューを出すようですわねー」
とはジュラルミンこと受楽院 瑠美。
彼女はエイコFC会員だが、
牛丼の「じゅらく家」
居酒屋チェーントップシェアの「鳥騎士団」
を運営する、じゅらくグループの一人娘で、僕が内定の決まったタイショーとはいわばライバル関係にある。
「そう言えばマカト側でライスバーガーを出したり、待屋側でもマカトのメニューを出すみたいだね」
と口を開くのは吉沢呉生。
彼女もエイコFC会員だが、タイショーのライバル会社である
牛丼の「吉沢家」の血縁者だ。
ちなみにマッカの呼び名は、その色が真紅で有名なパソコン某社と被るため、主に関西の人間はマカトの名称を使う事が多いと聞く。
えっクレオさんて関西の人?
「あれ知らなかったんどす?
うちの母は京都出身どすえ?」
初耳だしその口調、絶対に似非京都弁よね。
「まあ冗談はさておき、待屋がマカト陣営に組するってんなら吉沢家は牛丼大将と組むつもりだよ?」
「じゅらく家もですわー
外資のハンバーガー屋風情の思うようになんて、そうは問屋がオロシガネですわー」
問屋がおろさない、ね。オロシガネ関係ないでしょ。
まあうん、協力してくれるのは純粋に嬉しいけども?
「その代わりだけど、エイコさん?」
「わかっていますわねー?」
と牛丼チェーン店の関係者二人が彼女に迫る。
やっぱり条件付きだったか。
「はいはい、分かったわよ。
ポーラを来日させてタイショーとコラボさせるけど、そっちの2社にも貸し出す。この条件で良い?」
エイコが少し眉をひそめて返答するが。
「それもそれで魅力的ですけどー」
「例えばもっとこう、田中クンを1日貸してくれるとかさ」
と二人が更なる要求をする。
え、何故僕!?
「田中さん女性にマメそうですしー、一緒にいたら楽しそうですものー」
「ちょっとぐらい良いじゃ……あ」
「一度しか聞かないけどソレ、
ま さ か 本 気 で 言 っ て な い わ よ ね え?」
エイコは無表情だが、その視線だけで人が殺せそうな強い殺気を放つ。
「もももも勿論冗談だよ、なあジュラルミン?」
「そそそそそうですわー。
エイコさんたらもー、嫌ですわー」
口調こそ冗談めかしているが、二人の顔は恐怖でひきつっていた。
かくしてポーラとの交渉もあっさり成立、彼女が日本に来る事になったのだが。
来日直後、彼女が日本の空港で突如失踪したのだった。
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