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これもひとつの婚約破棄?
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「モンステラ、キミとの使い魔契約を解除……むぐっ」
召喚士カルディのその言葉は、使い魔であるモンステラ自身が唇を唇で塞いだ事でキャンセルされた。
モンステラはアルラウネ、植物系の魔物の使い魔である。
その髪から肌に至るまで緑色の葉っぱの様な素材で構成されていて、頭の上には一輪の白い花が咲いていて、着ている服も花に合わせた白のワンピースである。
「酷いですわ御主人様。
私はそんなに駄目な子ですか?」
その場に座り込み潤んだ赤い瞳で、カルディを見上げてくる。
「い、いやモンステラは戦力として十分良くやってくれてると思う」
と召喚主であり主従関係の主人であるカルディは答える。
彼女の繰り出す触手拘束は強力で、カルディは敵に簡単にトドメを指すことが出来た。
「それに女性としても……その、綺麗で魅力的だと思う」
言いつつカルディは赤面する。
モンステラは十人が十人口を揃えて美しいと言わせる美貌の持ち主であり、男性を悩殺する豊満な胸も持ち合せていた。
「性格も申し分ないし、だからこそ師匠は距離を置くべきだと言ってる」
「義母あさまが?」
使い魔が余りにも異性として魅力的過ぎると、人間としての相方がなかなか見つからず婚期が遅れる。
カルディの師匠であり、孤児だった彼の育ての母親でもある召喚士キャメルはそれを懸念していた。
「義母あさまの使い魔、イケメン揃いですものね。義理の息子に同じ轍を踏ませたくないと」
「モンステラ、多分それで正解だけど言葉は選んで」
「でも使い魔と人間の間には子供が出来ないですから、避妊の必要がなくてヤリ放題ですよ?」
使い魔は、とんでもない提案をしてきた。
「まあ、私としては可能なら御主人様との子供を授かりたいとも思いますが」
「モンステラ……」
見つめ合う二人が近づこうとしたその刹那、その間に雷が落ちて二人を引き剥がす。
「うちの大事な弟子を誑かそうとしている使い魔はココかい?」
カルディの師匠である召喚士キャメルが姿を見せた。
大魔法使いのような派手で大きな帽子を被り、カルディが幼い頃からほぼ見た目の変わらない年齢不詳の容姿をしている。
「師匠」
「義母あさま」
「はん。アンタに義母あさまなんて言われる筋合いはないねえ、虫唾が走る」
「ホッホッホ、息子を取られて親馬鹿が発動したかな」
キャメルの頭の上に乗った、派手な帽子はそう言って笑う。
「黙ってろエナン」
野太い声でキャメルが言い。
「そしてカルディ、アタシはモンステラと契約を破棄しろって言った筈だよね」
「義母あさま、何故そんなに私との契約解除を急ぐのです?
御主人様はまだ未成年、お相手が決まってからでも……」
「それじゃ遅いから今のうちにって言ってんだろ!」
モンステラの言葉に、キャメルが吠える。
「今のままだと息子はオマエにべったりだ。
他の女性に目もくれないようだと困るんだよ」
「それは御主人様からも聞きましたが……
それでしたら問題はありませんよ」
「はあっ?問題ありまくりだろうが」
「そもそも義母あさま、優れた召喚士である貴女は多重上書を使えますよね?」
「当たり前だろうが、誰にモノを言ってる」
優秀な召喚士は、使い魔を体内に顕現することでその能力を使用可能だ。
これを上書と言うが、更に優れた召喚士であれば複数の使い魔を体内に宿す事が出来、これが多重上書である。
「でしたら……を……して……」
と、モンステラはキャメルに何やら耳打ちする。
「おまっ、何て悪魔的な事を考えるんだ!」
キャメルが思わずドン引きするほどのその提案は。
「……だが、悪くない提案だ」
そう言って彼女は弟子であるカルディの方を向いて、ニヤリと笑うのだった。
時は流れて、それから10年後。
「ぱぱー」
とカルディに抱きつく少女。
彼女の母親は師匠であるキャメルであった。
血の繋がりのない二人が結ばれる事自体は物理的に問題なかったが、キャメルはカルディに対して母親としての距離があり、倫理的に男性として見れずにいた。
その枷を外したのはモンステラで、多重上書きによりキャメルはモンステラそのものの姿になった。
これにより自分は母であるキャメルとは別人であるという詭弁の元、弟子であり義理の息子のカルディと男女の関係となり、子供を授かったという訳だ。
後に同様の悩みを抱える召喚士の男女の間でこの行為が推奨され、キャメルディ行為と呼ばれる事になるのだが、それはまた別のお話。
召喚士カルディのその言葉は、使い魔であるモンステラ自身が唇を唇で塞いだ事でキャンセルされた。
モンステラはアルラウネ、植物系の魔物の使い魔である。
その髪から肌に至るまで緑色の葉っぱの様な素材で構成されていて、頭の上には一輪の白い花が咲いていて、着ている服も花に合わせた白のワンピースである。
「酷いですわ御主人様。
私はそんなに駄目な子ですか?」
その場に座り込み潤んだ赤い瞳で、カルディを見上げてくる。
「い、いやモンステラは戦力として十分良くやってくれてると思う」
と召喚主であり主従関係の主人であるカルディは答える。
彼女の繰り出す触手拘束は強力で、カルディは敵に簡単にトドメを指すことが出来た。
「それに女性としても……その、綺麗で魅力的だと思う」
言いつつカルディは赤面する。
モンステラは十人が十人口を揃えて美しいと言わせる美貌の持ち主であり、男性を悩殺する豊満な胸も持ち合せていた。
「性格も申し分ないし、だからこそ師匠は距離を置くべきだと言ってる」
「義母あさまが?」
使い魔が余りにも異性として魅力的過ぎると、人間としての相方がなかなか見つからず婚期が遅れる。
カルディの師匠であり、孤児だった彼の育ての母親でもある召喚士キャメルはそれを懸念していた。
「義母あさまの使い魔、イケメン揃いですものね。義理の息子に同じ轍を踏ませたくないと」
「モンステラ、多分それで正解だけど言葉は選んで」
「でも使い魔と人間の間には子供が出来ないですから、避妊の必要がなくてヤリ放題ですよ?」
使い魔は、とんでもない提案をしてきた。
「まあ、私としては可能なら御主人様との子供を授かりたいとも思いますが」
「モンステラ……」
見つめ合う二人が近づこうとしたその刹那、その間に雷が落ちて二人を引き剥がす。
「うちの大事な弟子を誑かそうとしている使い魔はココかい?」
カルディの師匠である召喚士キャメルが姿を見せた。
大魔法使いのような派手で大きな帽子を被り、カルディが幼い頃からほぼ見た目の変わらない年齢不詳の容姿をしている。
「師匠」
「義母あさま」
「はん。アンタに義母あさまなんて言われる筋合いはないねえ、虫唾が走る」
「ホッホッホ、息子を取られて親馬鹿が発動したかな」
キャメルの頭の上に乗った、派手な帽子はそう言って笑う。
「黙ってろエナン」
野太い声でキャメルが言い。
「そしてカルディ、アタシはモンステラと契約を破棄しろって言った筈だよね」
「義母あさま、何故そんなに私との契約解除を急ぐのです?
御主人様はまだ未成年、お相手が決まってからでも……」
「それじゃ遅いから今のうちにって言ってんだろ!」
モンステラの言葉に、キャメルが吠える。
「今のままだと息子はオマエにべったりだ。
他の女性に目もくれないようだと困るんだよ」
「それは御主人様からも聞きましたが……
それでしたら問題はありませんよ」
「はあっ?問題ありまくりだろうが」
「そもそも義母あさま、優れた召喚士である貴女は多重上書を使えますよね?」
「当たり前だろうが、誰にモノを言ってる」
優秀な召喚士は、使い魔を体内に顕現することでその能力を使用可能だ。
これを上書と言うが、更に優れた召喚士であれば複数の使い魔を体内に宿す事が出来、これが多重上書である。
「でしたら……を……して……」
と、モンステラはキャメルに何やら耳打ちする。
「おまっ、何て悪魔的な事を考えるんだ!」
キャメルが思わずドン引きするほどのその提案は。
「……だが、悪くない提案だ」
そう言って彼女は弟子であるカルディの方を向いて、ニヤリと笑うのだった。
時は流れて、それから10年後。
「ぱぱー」
とカルディに抱きつく少女。
彼女の母親は師匠であるキャメルであった。
血の繋がりのない二人が結ばれる事自体は物理的に問題なかったが、キャメルはカルディに対して母親としての距離があり、倫理的に男性として見れずにいた。
その枷を外したのはモンステラで、多重上書きによりキャメルはモンステラそのものの姿になった。
これにより自分は母であるキャメルとは別人であるという詭弁の元、弟子であり義理の息子のカルディと男女の関係となり、子供を授かったという訳だ。
後に同様の悩みを抱える召喚士の男女の間でこの行為が推奨され、キャメルディ行為と呼ばれる事になるのだが、それはまた別のお話。
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