護国の鳥

凪子

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春の章

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士官学校の朝は早く、一日の道のりは果てしなく厳しい。

早朝五時半、殺人的なドラの音が宿舎しゅくしゃに響き渡る。

即座に飛び起きて身支度を整える。

朝の体操の後、週に一度は大聖堂にて祭司による神話の講釈と説諭せつゆが行われる。

「イオニアは、水と風の惑星と呼ばれる小さな星です。かつてこの世界は、唯一の大陸にさまざまな小国が群雄割拠ぐんゆうかっきょしていました。たびたび戦乱は起こり、土地は痩せ細り、民は疲弊ひへいしきっていました」

うつらうつらと船を漕いでいるフィンの隣で、ユリシスは姿勢よく席に座り、いにしえの言い伝えに目を落とす。

【悠久の昔、いさかい続けた国々がことごとく滅びにひんしていたとき、太陽から生まれた美しく気高い鳥が、一人の少年の肩に舞いおりた。

その鳥が放つ黄金の光は、あらゆる攻撃から身を守る盾となり、涙の露は傷を癒し、玲瓏れいろうなる歌声は聞く者の心から憎しみを消し去った。

神秘に満ちたその鳥の力で、少年は『エスペラント帝国』を建国し、王となった。

その鳥は建国と同時に天空高く舞い上がり、神の世界へとかえっていった。

少年はその鳥をエスペラント帝国の守護神として丁重にまつり、鳥は紋章となって今でもこの国を守っている。

エスペラント帝国守護神、護国ごこくの鳥に栄光あれ。】
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