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王立魔法学園編Ⅰ
確認
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初日の授業が終わり、私とシロムは私の部屋に戻ってきた。
理由は早速確認したいことがあったからだ。
シロムもそのことを理解しているのでしょうね。
「私以外には喋ることは秘密ってことなんだよね?」
開口一番にそう訊ねる。
するとシロムは頷いたのちに口を開いた。
「猫が喋るだなんて普通ありえん」
だそうだ。
そりゃそうだよね。前世でも猫が喋ったなんて聞いたことあっても鳴き声が何かの単語に聞こえるくらいだった。
「みんなには黙ってたけど、シロムって名前は私が付けたってことにした方がいいんだよね?」
「そうしてくれると助かる。代わりと言っては何だが獣術についてワタシの知っている限りは教えよう」
「ほんと!?」
名前は私が付けたことにする代わりにシロムは自分の知っている獣術について教えてくれるらしい。
少し忘れ気味だったけど教えてくれるなら知りたい。
なので私は堪らず大きな声を出し、食い気味で訊ねてしまった。
「声が大きい」
「ご、ごめんなさい」
細目で私を軽く睨み大声を上げたことを注意する。
うん。自分でもそう思ったよ。
非しかなかったので軽く頭を下げて謝った。
今の大声が誰かに聞かれてていきなり部屋に入ってこられたらこの話は出来なくなってしまうからね。
「まぁいいだろう。マリアは獣術について何処まで知っておる?」
差程気にしてはいなかったようで、早速獣術の話になる。
まずは私が何処まで知っているか訊ねられた。
きっと最初から最後まで説明するのが面倒なんだろうなぁ。
「んと、三百年前に失った魔法ってことだけかな」
だけど私が獣術に関して知っているのはそれだけだ。
「ふむ。その考えで間違ってない。確かに獣術は三百年前に失った。この世界には必要が無いものだと判断されたからだ。では何故必要とされなくなったのか、分かるか?」
「んー、何故って言われてもねぇ。使う人が居なくなったとか、使える人が居なくなった、とか?」
これは話が長くなりそうだと察した私はベッドに座りながらエルが前に教えてくれたことと自分の考えをシロムに述べる。
ただ獣術について教えてくれる訳ではなく、授業のように質問形式で教えてくれるようだ。
最初から最後まで聞くだけでは忘れてしまいそうだから正直有難い。
「確かにそう言った理由で無くなる物も数多く存在する。だが獣術だけは特別なのだ」
シロムもベッドに飛び上がり私の隣に来るとしなやかに動かしている尻尾をピンと立たせ、続きを話し始める。
その所作はまるで人間が人差し指を立てているように思わせる。
「──世の中が平和になったからだ」
碧眼は揺らぐことなく私をまじまじと見つめていた。
どうやらシロムは嘘を言っている訳ではなく、本心を口にしているとその姿だけで理解出来てしまうほど。
「その言い方だと平和じゃなくなったから獣術が復活した、って聞き取れるんだけど……」
「あくまで可能性だがな。教師はもちろんだが特にクリフォードには気を付けた方が良い」
あくまで推測。真面目な話は終了なのか、シロムは立たせていた尻尾ごとベッドに伏せながらそう話した。
「レナ先生? 知り合いなの?」
「あやつは魔法に目がない。獣術が復活したと知ったら嬉々として魔法学会にマリアを突き出すだろう」
それだけを私に伝えるとシロムは身体を丸くさせ目を閉じスヤスヤと眠りについてしまう。
猫というものは改めて気まぐれな生き物なのだと知らしめられたよ。
長くなると思っていた獣術の話はあっという間に終わりを迎えたのだ。
結局獣術はどんなものなのか大して理解することも出来ず、不穏な空気にさせただけ。
三百年前のことを知りたきゃ自分で調べろ、そういう意味でしょうね。
でも何も知らないよりは遥かにいい。
シロムが寝てしまい手持ち無沙汰になってしまったので制服から私服にさっさと着替え、ミレッタが呼びに来るまで私は授業で習ったことの復習と少しでも魔法を使えるように日課になっている魔石を使っての魔法の練習をするのであった。
シロムと契約したからと言って砂塵が吹き荒れることはなく、今日も今日とてサラサラとした砂が砂時計の砂より遅い速度で流れるだけだ。
理由は早速確認したいことがあったからだ。
シロムもそのことを理解しているのでしょうね。
「私以外には喋ることは秘密ってことなんだよね?」
開口一番にそう訊ねる。
するとシロムは頷いたのちに口を開いた。
「猫が喋るだなんて普通ありえん」
だそうだ。
そりゃそうだよね。前世でも猫が喋ったなんて聞いたことあっても鳴き声が何かの単語に聞こえるくらいだった。
「みんなには黙ってたけど、シロムって名前は私が付けたってことにした方がいいんだよね?」
「そうしてくれると助かる。代わりと言っては何だが獣術についてワタシの知っている限りは教えよう」
「ほんと!?」
名前は私が付けたことにする代わりにシロムは自分の知っている獣術について教えてくれるらしい。
少し忘れ気味だったけど教えてくれるなら知りたい。
なので私は堪らず大きな声を出し、食い気味で訊ねてしまった。
「声が大きい」
「ご、ごめんなさい」
細目で私を軽く睨み大声を上げたことを注意する。
うん。自分でもそう思ったよ。
非しかなかったので軽く頭を下げて謝った。
今の大声が誰かに聞かれてていきなり部屋に入ってこられたらこの話は出来なくなってしまうからね。
「まぁいいだろう。マリアは獣術について何処まで知っておる?」
差程気にしてはいなかったようで、早速獣術の話になる。
まずは私が何処まで知っているか訊ねられた。
きっと最初から最後まで説明するのが面倒なんだろうなぁ。
「んと、三百年前に失った魔法ってことだけかな」
だけど私が獣術に関して知っているのはそれだけだ。
「ふむ。その考えで間違ってない。確かに獣術は三百年前に失った。この世界には必要が無いものだと判断されたからだ。では何故必要とされなくなったのか、分かるか?」
「んー、何故って言われてもねぇ。使う人が居なくなったとか、使える人が居なくなった、とか?」
これは話が長くなりそうだと察した私はベッドに座りながらエルが前に教えてくれたことと自分の考えをシロムに述べる。
ただ獣術について教えてくれる訳ではなく、授業のように質問形式で教えてくれるようだ。
最初から最後まで聞くだけでは忘れてしまいそうだから正直有難い。
「確かにそう言った理由で無くなる物も数多く存在する。だが獣術だけは特別なのだ」
シロムもベッドに飛び上がり私の隣に来るとしなやかに動かしている尻尾をピンと立たせ、続きを話し始める。
その所作はまるで人間が人差し指を立てているように思わせる。
「──世の中が平和になったからだ」
碧眼は揺らぐことなく私をまじまじと見つめていた。
どうやらシロムは嘘を言っている訳ではなく、本心を口にしているとその姿だけで理解出来てしまうほど。
「その言い方だと平和じゃなくなったから獣術が復活した、って聞き取れるんだけど……」
「あくまで可能性だがな。教師はもちろんだが特にクリフォードには気を付けた方が良い」
あくまで推測。真面目な話は終了なのか、シロムは立たせていた尻尾ごとベッドに伏せながらそう話した。
「レナ先生? 知り合いなの?」
「あやつは魔法に目がない。獣術が復活したと知ったら嬉々として魔法学会にマリアを突き出すだろう」
それだけを私に伝えるとシロムは身体を丸くさせ目を閉じスヤスヤと眠りについてしまう。
猫というものは改めて気まぐれな生き物なのだと知らしめられたよ。
長くなると思っていた獣術の話はあっという間に終わりを迎えたのだ。
結局獣術はどんなものなのか大して理解することも出来ず、不穏な空気にさせただけ。
三百年前のことを知りたきゃ自分で調べろ、そういう意味でしょうね。
でも何も知らないよりは遥かにいい。
シロムが寝てしまい手持ち無沙汰になってしまったので制服から私服にさっさと着替え、ミレッタが呼びに来るまで私は授業で習ったことの復習と少しでも魔法を使えるように日課になっている魔石を使っての魔法の練習をするのであった。
シロムと契約したからと言って砂塵が吹き荒れることはなく、今日も今日とてサラサラとした砂が砂時計の砂より遅い速度で流れるだけだ。
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