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王立魔法学園編Ⅲ
テスト勉強
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「うあああぁぁぁあああ──! ダメだダメだダメだぁぁぁぁ!」
放課後、私は自分の部屋で叫び散らかしていた。
「まさかここまで壊滅的でしたとは……」
「基礎は出来てるのに応用はまるでダメ」
「ひ、筆記テストまではまだ日数があるのでこれからだと思います!」
私を見て三者三様のリアクションをとる。
四人で勉強する用の大きな机をセシリーが執事の人たちに持たせ、やってきてくれたので私たちはそれを使って筆記テストに向けて勉強会をしている。
基礎的なことはルナから教えてもらったので多少なりの間違いはあるが出来ている範囲には届いているだろう。
だが応用問題がイマイチ分からない。
土魔法と風魔法を合体させた系統魔法をなんと言うか?
火魔法と水魔法を合体させた系統魔法をなんと言うか?
どれも危険な魔法なので混ぜるな危険って感じ。
「こっちはライトニング系統、こっちは爆裂魔法系統」
「あ、合わせると魔法の系統が増えるわけね」
改めてルナが教えてくれたことは基礎中の基礎であったことを知らしめられる。
それと同時に心の中では盛大な溜め息だ。
果たして来週までに覚えることは出来るのだろうか。
そして、一般クラスより高得点を私は取れるのだろうか。
これからのことを考えると不安でしかない。
だけど前世の私は大学生だったので暗記は頑張ればなるとかなるはず!
……なんとかなるよね? シロム太郎。
「ちなみに合格点を取れなかったらレナ先生とのみっちり特別講義が始まる」
「うげぇ……」
私だけが合格点を取れずレナ先生と二人きりの教室の中、ひたすら魔法の講義を受けている姿を容易に想像出来てしまう。
レナ先生は見た目通りに厳しくて授業中に私語をするもんなら鋭い視線で睨みつけられるんだよね。
もちろん私は真面目だから一度も注意されたことはないけど、セシリーはよく自分の国の自慢話をして鋭い目で何度も見られていた。
なんでも北にある国のようでグラダラスみたく酪農と畜産が盛んでセシリーの国のご飯はそれまた美味しいのだとか。
……ブリオブルグ同様、一度は食べに行かないとね!
「マリアなら大丈夫です! それに合格点を取れなければマリア様と慕ってくれている人たちに示しがつきませんよ」
「別に様付けで呼ばれて欲しい訳じゃないけど……失望させないために頑張ってみますか」
期待は裏切るためにある、と私は考えているが実際目の当たりにする期待を裏切るなんて私にはとても出来ない。
せめて平均点を取れるようには頑張ろうと思う。
「マリアって一体お城の中で何をしていらしたので?」
セシリーの何気ない一言が私の背筋をゾクゾクさせる。
疑問に思うのは最もだ。
王室育ちでも何かしらの習い事はさせるだろうし、転生して間もない私はどんな習い事が存在しているのか全く分からない。
……なんて誤魔化そう。
「け、剣術を少々?」
苦し紛れに出た言葉は剣術を習っていたことだった。
「確かにマリアのあの身のこなしなら剣術を習っていてもおかしくない」
「そうですわね。ゴウとのあの決闘は一生忘れないですわ!」
苦し紛れに出た言葉をみんなは信じてくれたようでセシリーは初めて戦隊ショーを見た子供のように胸を踊らせていた。
「それで思い出した。マリアが倒した花の魔物の研究結果が出たらしい。この辺りでは初めて見る魔物で東の果てにあるブリオブルグって言う街でよく見かけるらしい」
「ブリオブルグ!?」
"東の果て"とミオが言った瞬間にまさかとは思っていたがブリオブルグと言うだなんて。
私は驚いて立ち上がってしまう。
ターシャさんの話では村と言っていたけど、今では街になるまで大きくなっていたんだね。
「マリア、知っているんですか?」
「名前だけね。後はお魚が美味しいって聞いたことがあるくらいかな」
いきなり立ち上がって驚くもんだからミレッタはまじまじと私を見つめては首を傾げる。
ターシャさんの故郷だった、とは言えず名前とお魚が美味しいことを伝えるだけ。
「一度は行ってみたいですわね」
「うん、私もいつかは行ってお魚を食べてみたいと思ってたんだよね」
「だったら卒業旅行はブリオブルグにする?」
「良いですね。私も行ってみたいです」
くそ花の魔物の話は一瞬で終わり、今では四人でブリオブルグに行ってみたいなんて話題で持ち切りになる。
結局、勉強会は前半だけで後半は喋ったりするだけであっという間に時間が過ぎていった。
☆
「こっちに来てから結構経ったね」
みんなが部屋に戻り、いつものようにミレッタとご飯を食べてからお風呂も済まし、私は窓から星空を見て呟く。
シロムは既にベッドの上で丸くなりおやすみモードだ。
くそ女神様に無理矢理転生させられて当初は怒りでしかなかったし、色々あったけど第二の人生もまぁ悪くない。
でも目の前にくそ女神様が現れたらぶん殴りたい気持ちはまだまだある。
だけどいつ現れるか分からないものよりも、今は筆記テストに向けて必死に勉強をしなければいけない。
なので机に向かい、暗記をしまくり夜は更けていく。
放課後、私は自分の部屋で叫び散らかしていた。
「まさかここまで壊滅的でしたとは……」
「基礎は出来てるのに応用はまるでダメ」
「ひ、筆記テストまではまだ日数があるのでこれからだと思います!」
私を見て三者三様のリアクションをとる。
四人で勉強する用の大きな机をセシリーが執事の人たちに持たせ、やってきてくれたので私たちはそれを使って筆記テストに向けて勉強会をしている。
基礎的なことはルナから教えてもらったので多少なりの間違いはあるが出来ている範囲には届いているだろう。
だが応用問題がイマイチ分からない。
土魔法と風魔法を合体させた系統魔法をなんと言うか?
火魔法と水魔法を合体させた系統魔法をなんと言うか?
どれも危険な魔法なので混ぜるな危険って感じ。
「こっちはライトニング系統、こっちは爆裂魔法系統」
「あ、合わせると魔法の系統が増えるわけね」
改めてルナが教えてくれたことは基礎中の基礎であったことを知らしめられる。
それと同時に心の中では盛大な溜め息だ。
果たして来週までに覚えることは出来るのだろうか。
そして、一般クラスより高得点を私は取れるのだろうか。
これからのことを考えると不安でしかない。
だけど前世の私は大学生だったので暗記は頑張ればなるとかなるはず!
……なんとかなるよね? シロム太郎。
「ちなみに合格点を取れなかったらレナ先生とのみっちり特別講義が始まる」
「うげぇ……」
私だけが合格点を取れずレナ先生と二人きりの教室の中、ひたすら魔法の講義を受けている姿を容易に想像出来てしまう。
レナ先生は見た目通りに厳しくて授業中に私語をするもんなら鋭い視線で睨みつけられるんだよね。
もちろん私は真面目だから一度も注意されたことはないけど、セシリーはよく自分の国の自慢話をして鋭い目で何度も見られていた。
なんでも北にある国のようでグラダラスみたく酪農と畜産が盛んでセシリーの国のご飯はそれまた美味しいのだとか。
……ブリオブルグ同様、一度は食べに行かないとね!
「マリアなら大丈夫です! それに合格点を取れなければマリア様と慕ってくれている人たちに示しがつきませんよ」
「別に様付けで呼ばれて欲しい訳じゃないけど……失望させないために頑張ってみますか」
期待は裏切るためにある、と私は考えているが実際目の当たりにする期待を裏切るなんて私にはとても出来ない。
せめて平均点を取れるようには頑張ろうと思う。
「マリアって一体お城の中で何をしていらしたので?」
セシリーの何気ない一言が私の背筋をゾクゾクさせる。
疑問に思うのは最もだ。
王室育ちでも何かしらの習い事はさせるだろうし、転生して間もない私はどんな習い事が存在しているのか全く分からない。
……なんて誤魔化そう。
「け、剣術を少々?」
苦し紛れに出た言葉は剣術を習っていたことだった。
「確かにマリアのあの身のこなしなら剣術を習っていてもおかしくない」
「そうですわね。ゴウとのあの決闘は一生忘れないですわ!」
苦し紛れに出た言葉をみんなは信じてくれたようでセシリーは初めて戦隊ショーを見た子供のように胸を踊らせていた。
「それで思い出した。マリアが倒した花の魔物の研究結果が出たらしい。この辺りでは初めて見る魔物で東の果てにあるブリオブルグって言う街でよく見かけるらしい」
「ブリオブルグ!?」
"東の果て"とミオが言った瞬間にまさかとは思っていたがブリオブルグと言うだなんて。
私は驚いて立ち上がってしまう。
ターシャさんの話では村と言っていたけど、今では街になるまで大きくなっていたんだね。
「マリア、知っているんですか?」
「名前だけね。後はお魚が美味しいって聞いたことがあるくらいかな」
いきなり立ち上がって驚くもんだからミレッタはまじまじと私を見つめては首を傾げる。
ターシャさんの故郷だった、とは言えず名前とお魚が美味しいことを伝えるだけ。
「一度は行ってみたいですわね」
「うん、私もいつかは行ってお魚を食べてみたいと思ってたんだよね」
「だったら卒業旅行はブリオブルグにする?」
「良いですね。私も行ってみたいです」
くそ花の魔物の話は一瞬で終わり、今では四人でブリオブルグに行ってみたいなんて話題で持ち切りになる。
結局、勉強会は前半だけで後半は喋ったりするだけであっという間に時間が過ぎていった。
☆
「こっちに来てから結構経ったね」
みんなが部屋に戻り、いつものようにミレッタとご飯を食べてからお風呂も済まし、私は窓から星空を見て呟く。
シロムは既にベッドの上で丸くなりおやすみモードだ。
くそ女神様に無理矢理転生させられて当初は怒りでしかなかったし、色々あったけど第二の人生もまぁ悪くない。
でも目の前にくそ女神様が現れたらぶん殴りたい気持ちはまだまだある。
だけどいつ現れるか分からないものよりも、今は筆記テストに向けて必死に勉強をしなければいけない。
なので机に向かい、暗記をしまくり夜は更けていく。
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