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聖魔剣奪還
炎の聖魔剣
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~エルテンシア西北方面の更に北部。
湿地帯のある場所を抜けて更に北の万年雪がある麓付近には、広大な森林地帯に覆われた場所が広がっていた。
その日、森林地帯で珍しい魔物を狩ろうとした数名のギルドのメンバー達が、森の中を探索していた。
「なあ…本当にこんな森の中に珍しい魔物がいるのかよ?」
「滅多に見られない極上の物だぜ。見付けて狩ってツノや爪を持ち帰れば、俺達の様な階級の低い者でも奨励金が沢山頂ける筈さ」
「それは嬉しいね。ただでさえ新しい武器が買えず、刃こぼれした物を使い続けてばかりで、宿屋と食事代を加算すると、奨励金の額はもう少し欲しいからね」
「全くだ。何処かに無限に溢れ出る金貨の袋でもあると嬉しいな…」
そう話していると、森の木の幹に手を押し当てながら歩いている男性が、ヌルッと何か感触を感じて、足を止めた。
隣で歩いていた者が彼が何かに気付いて、足を止めた事に気付き振り返る。
「おい、どうしたんだ?」
「これは…一体?」
男性は、自分の手を見て、更に粘液が上から落ちて来るのを見て、真上を見た…
グググ…
樹の上の枝には、長い爪と鋭い牙、頭部には長い角とトゲの様な体毛を生やしている。悍ましさを全身に剥き出しにした魔物が、唸り声を上げながら彼等に対して威嚇の構えで待ち構えていた。
「ウワッ、何だコイツは!」
男性が慌てて、後退りする。
「おい、どうしたんだ?」
先頭を歩いていた男性が振り返って叫ぶ。
「お…おい、アレを前を見ろ!」
そう言われて、前方にいた男性が前を見ると、凶悪そうな魔物が、数匹彼等の前にいた。
「ウワッ、な…何だコイツら!」
そう思っている瞬間、魔物達が一斉に彼等に飛び掛かって来た。
素早い動きと、強力な爪と牙に、ギルドメンバーは、太刀打ち出来ず、次々と負傷してしまう。
回復魔法系の魔術師が、メンバー達に治癒しても、彼等の傷が癒えても直ぐに負傷してしまい、まるで役に立たなかった。
やがて襲われた者の中には魔物達の餌食なり、生きたまま腕や足を食い千切られて喰われてしまう者まで続出、その中でかろうじて窮地を脱したのは回復魔術師の少年と男性剣士の2人だけだった。
彼等は偶然見付けた洞穴の中に逃げ込み、震え続けていた。
「なあ…他の皆は、助かったのか?」
「多分、無理だと思う。奴等に喰われたかもしれない」
「ぼ…僕達、これからどうすれば良いの?」
「ギルド集会所に戻り、状況を報告。仲間を見捨てて逃げ帰って来たのだから、ペナルティは避けられないね。多分…今のギルドからは強制退去される可能性は否定出来ないな…」
「そんなー!僕はまだ入って三ヶ月しか経っていないのに!」
「仕方ないよ、無理矢理こんな強い魔物の住処に入ってしまったのだから…誰だってこんな被害は想定出来無かっただろう」
少年魔法使いはグスグス…と泣き出す。
「せっかく魔法を覚えて、ギルドに入って沢山お金もらって家族を楽にさせようと思ったのに…これじゃあ、何の為に入ったのか意味が無いよ」
彼を見た剣士は、外の様子を見る。
「どうやら、魔物達も何処かへと行ったようだな。動けるか?」
剣士の言葉に、少年は青白い顔で首を横に振る。
「こ…怖いよ。あんな化け物、もう見たくない…」
「動かないと、また襲われるぞ」
「い…イヤだ、死にたくない!」
「だったら一緒に来い、とにかく全力で走るんだ!」
彼は少年の腕を引っ張って、一緒に洞穴から抜け出す。
彼等は森の中を全力で掛けて行く。
少年はゼエゼエッと息を切らしながら走っていた。
「ま…まって、息が…」
少し走って彼は、少し呼吸を整える。
「行けるか?」
「う…うん」
その時だった。彼はハッと息を呑んだ。
少年の後ろに魔物の姿があった。
「ヤバイ!」
彼は少年を庇いながら、崖へと一緒に転がり落ちる。
「ウグ…」
「だ…大丈夫ですか?」
少年は剣士を見た、彼は腕の骨が折れた様で、足も負傷していた。
(そんな…今の僕の魔法じゃあ、傷を直せる程度で…こんな深傷を治すのは無理だ…どうしよう)
そう思っていると、グルル…と呻き声を上げながら、数匹の魔物が彼等の前に寄って来ていた。
「あわわ…」
もはや逃げる術を失った彼等は既に諦め掛けていた。
ーその瞬間
樹々の上から、紺色のフード付きのマントを靡かせながら地面に着地する者が現れた。少し年季が入っていて、綻び掛けているマントの人物は腰に短剣を携えていた。
突然現れた謎の人物に少年は目を丸くして見ていた。
「無事か?」
謎の人物に対して少年は無言で頷く。
「ここは俺に任せろ」
そう言うと、彼は腰の短剣に手を掛ける。
すると、短剣の柄が持ち易い長さになり、スッと引き抜いた剣は鞘とは比較にならない位の長剣へと切り替わる。その剣先は鏡面の様に輝き、触ると指が切れてしまいそうな程鋭かった。
(凄い、初めて見る魔法の剣だ)
そう思った時、少年は幼い頃に母から聞かされた、王国を救った王女の話を思い出しある言葉が脳裏を横切った。
(聖魔剣!)
彼は、そう思い出して男性を見た。
男性は、魔物に対して怯む様子は無かった、それどころか、魔物の方が男性に足して警戒を強めている様にも思えた。
一匹の魔物が男性に向かって突進した。
その瞬間、スパッと魔物は何時の間にか胴体が二つに別れて絶命してしまう。
グオオーッ
数匹の魔物が一斉に彼に向かって飛び掛かる。
それを見た男性は、剣先に魔法を掛ける、次の瞬間…剣が赤く染まり、まるで炎の様な斬撃を喰らわし、数匹の魔物の息の根を止めた。
少年は初めて見る凄まじいまでの剣の使い手に言葉を失って見ていた。
男性は目の前の敵が居なくなると彼等に近寄る。少年は彼の素顔を確認しようとしたが、フードの陰からでは、素顔が確認しずらかった。
「もう大丈夫だ、こちらの人は大丈夫か?」
「深傷を負っています。僕の魔法では、無理です」
「分かった、彼は私が担ぐから近くの村まで一緒に行こう」
「う…うん」
そう言って男性は剣士を担いだ。
「あ…あの!」
「なんだ?」
「助けてくれて、ありがとうございます!」
その言葉に、彼はジッと少年を見た。
「君…」
「は、はい」
「礼は、まず村に着いてから言うものだよ」
彼は、片手に剣を持ちながら、目の前に新たに現れた魔物を見ながら言う。男性は剣士を抱えながらも目の前の魔物を蹴散らして少年と一緒に森の中を駆けて行く。
男性が剣を鞘に入れて、再び剣を出すと剣先が炎の様に赤く燃えながら現れる。その炎を見て、魔物達はたじろぎ…襲って来る魔物が無かった。
男性は少年と深傷の剣士を近くの村まで連れて来ると、剣士を医者へ連れて行き、何も言わず立ち去って行った。
結局、少年は助けてくれた人物が何者だったのか分からかった。
湿地帯のある場所を抜けて更に北の万年雪がある麓付近には、広大な森林地帯に覆われた場所が広がっていた。
その日、森林地帯で珍しい魔物を狩ろうとした数名のギルドのメンバー達が、森の中を探索していた。
「なあ…本当にこんな森の中に珍しい魔物がいるのかよ?」
「滅多に見られない極上の物だぜ。見付けて狩ってツノや爪を持ち帰れば、俺達の様な階級の低い者でも奨励金が沢山頂ける筈さ」
「それは嬉しいね。ただでさえ新しい武器が買えず、刃こぼれした物を使い続けてばかりで、宿屋と食事代を加算すると、奨励金の額はもう少し欲しいからね」
「全くだ。何処かに無限に溢れ出る金貨の袋でもあると嬉しいな…」
そう話していると、森の木の幹に手を押し当てながら歩いている男性が、ヌルッと何か感触を感じて、足を止めた。
隣で歩いていた者が彼が何かに気付いて、足を止めた事に気付き振り返る。
「おい、どうしたんだ?」
「これは…一体?」
男性は、自分の手を見て、更に粘液が上から落ちて来るのを見て、真上を見た…
グググ…
樹の上の枝には、長い爪と鋭い牙、頭部には長い角とトゲの様な体毛を生やしている。悍ましさを全身に剥き出しにした魔物が、唸り声を上げながら彼等に対して威嚇の構えで待ち構えていた。
「ウワッ、何だコイツは!」
男性が慌てて、後退りする。
「おい、どうしたんだ?」
先頭を歩いていた男性が振り返って叫ぶ。
「お…おい、アレを前を見ろ!」
そう言われて、前方にいた男性が前を見ると、凶悪そうな魔物が、数匹彼等の前にいた。
「ウワッ、な…何だコイツら!」
そう思っている瞬間、魔物達が一斉に彼等に飛び掛かって来た。
素早い動きと、強力な爪と牙に、ギルドメンバーは、太刀打ち出来ず、次々と負傷してしまう。
回復魔法系の魔術師が、メンバー達に治癒しても、彼等の傷が癒えても直ぐに負傷してしまい、まるで役に立たなかった。
やがて襲われた者の中には魔物達の餌食なり、生きたまま腕や足を食い千切られて喰われてしまう者まで続出、その中でかろうじて窮地を脱したのは回復魔術師の少年と男性剣士の2人だけだった。
彼等は偶然見付けた洞穴の中に逃げ込み、震え続けていた。
「なあ…他の皆は、助かったのか?」
「多分、無理だと思う。奴等に喰われたかもしれない」
「ぼ…僕達、これからどうすれば良いの?」
「ギルド集会所に戻り、状況を報告。仲間を見捨てて逃げ帰って来たのだから、ペナルティは避けられないね。多分…今のギルドからは強制退去される可能性は否定出来ないな…」
「そんなー!僕はまだ入って三ヶ月しか経っていないのに!」
「仕方ないよ、無理矢理こんな強い魔物の住処に入ってしまったのだから…誰だってこんな被害は想定出来無かっただろう」
少年魔法使いはグスグス…と泣き出す。
「せっかく魔法を覚えて、ギルドに入って沢山お金もらって家族を楽にさせようと思ったのに…これじゃあ、何の為に入ったのか意味が無いよ」
彼を見た剣士は、外の様子を見る。
「どうやら、魔物達も何処かへと行ったようだな。動けるか?」
剣士の言葉に、少年は青白い顔で首を横に振る。
「こ…怖いよ。あんな化け物、もう見たくない…」
「動かないと、また襲われるぞ」
「い…イヤだ、死にたくない!」
「だったら一緒に来い、とにかく全力で走るんだ!」
彼は少年の腕を引っ張って、一緒に洞穴から抜け出す。
彼等は森の中を全力で掛けて行く。
少年はゼエゼエッと息を切らしながら走っていた。
「ま…まって、息が…」
少し走って彼は、少し呼吸を整える。
「行けるか?」
「う…うん」
その時だった。彼はハッと息を呑んだ。
少年の後ろに魔物の姿があった。
「ヤバイ!」
彼は少年を庇いながら、崖へと一緒に転がり落ちる。
「ウグ…」
「だ…大丈夫ですか?」
少年は剣士を見た、彼は腕の骨が折れた様で、足も負傷していた。
(そんな…今の僕の魔法じゃあ、傷を直せる程度で…こんな深傷を治すのは無理だ…どうしよう)
そう思っていると、グルル…と呻き声を上げながら、数匹の魔物が彼等の前に寄って来ていた。
「あわわ…」
もはや逃げる術を失った彼等は既に諦め掛けていた。
ーその瞬間
樹々の上から、紺色のフード付きのマントを靡かせながら地面に着地する者が現れた。少し年季が入っていて、綻び掛けているマントの人物は腰に短剣を携えていた。
突然現れた謎の人物に少年は目を丸くして見ていた。
「無事か?」
謎の人物に対して少年は無言で頷く。
「ここは俺に任せろ」
そう言うと、彼は腰の短剣に手を掛ける。
すると、短剣の柄が持ち易い長さになり、スッと引き抜いた剣は鞘とは比較にならない位の長剣へと切り替わる。その剣先は鏡面の様に輝き、触ると指が切れてしまいそうな程鋭かった。
(凄い、初めて見る魔法の剣だ)
そう思った時、少年は幼い頃に母から聞かされた、王国を救った王女の話を思い出しある言葉が脳裏を横切った。
(聖魔剣!)
彼は、そう思い出して男性を見た。
男性は、魔物に対して怯む様子は無かった、それどころか、魔物の方が男性に足して警戒を強めている様にも思えた。
一匹の魔物が男性に向かって突進した。
その瞬間、スパッと魔物は何時の間にか胴体が二つに別れて絶命してしまう。
グオオーッ
数匹の魔物が一斉に彼に向かって飛び掛かる。
それを見た男性は、剣先に魔法を掛ける、次の瞬間…剣が赤く染まり、まるで炎の様な斬撃を喰らわし、数匹の魔物の息の根を止めた。
少年は初めて見る凄まじいまでの剣の使い手に言葉を失って見ていた。
男性は目の前の敵が居なくなると彼等に近寄る。少年は彼の素顔を確認しようとしたが、フードの陰からでは、素顔が確認しずらかった。
「もう大丈夫だ、こちらの人は大丈夫か?」
「深傷を負っています。僕の魔法では、無理です」
「分かった、彼は私が担ぐから近くの村まで一緒に行こう」
「う…うん」
そう言って男性は剣士を担いだ。
「あ…あの!」
「なんだ?」
「助けてくれて、ありがとうございます!」
その言葉に、彼はジッと少年を見た。
「君…」
「は、はい」
「礼は、まず村に着いてから言うものだよ」
彼は、片手に剣を持ちながら、目の前に新たに現れた魔物を見ながら言う。男性は剣士を抱えながらも目の前の魔物を蹴散らして少年と一緒に森の中を駆けて行く。
男性が剣を鞘に入れて、再び剣を出すと剣先が炎の様に赤く燃えながら現れる。その炎を見て、魔物達はたじろぎ…襲って来る魔物が無かった。
男性は少年と深傷の剣士を近くの村まで連れて来ると、剣士を医者へ連れて行き、何も言わず立ち去って行った。
結局、少年は助けてくれた人物が何者だったのか分からかった。
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