因習蔓延る大亀頭沼村!

ゆめゆき

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第三話

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「どうです?見えます?」

「いや、遠くて…庭がめちゃくちゃ豪華なのはわかるが…」

 向井は耕造と、村にある高級料亭に亀井の見合いを覗きに来ていた。
 亀井はスーツ姿で、若い振り袖姿の女性と並んで庭を歩いている。
 もともと向井はこの村に、相手を見てみたいと思ってついてきたのだが、考えてみればただの友人が見合いに同席できるはずもない。
 なんとか、どこからか見れないだろうかと当てにせず耕造に話してみたら、見合い会場の庭が見下ろせる二階建ての小料理屋があるという。
 その二階の個室に二人はいた。
 座敷の部屋だ。けやきのテーブルに並ぶのは、いくつかの食べかけのすっぽん料理と地酒の小瓶である。

「双眼鏡でも持ってくればよかったですね」

「そうだね…」

「顔が気になると言うのなら、ググってみては…?」

「なんで?!」

 耕造はスマホをいじり始めた。

「い・い・じ・ま…ゆ・え……出ました」

「ええええ??」

 名前だけは聞いてあった。
 向井は耕造と一緒にスマホに見入った。

「ええ?!アイドル…!!?先月、引退…!?」

「ね。ビンゴです」

 耕造はえもいわれぬ愛らしい笑顔を向井に見せた。
 つられて向井もへらりと相好を崩してしまう。
 その耕造の笑顔には及ばないが、かわいい…美人と言って差し支えない女性の画像がスマホの画面にズラッと並んでいる。

「噂ですけど…実家のお父さんのやっている工場が倒産寸前なんですって」

「それが…?」

「亀井さんちがお金を出せば…すっごく遠縁だけど親類ではあるそうですよ」

「それじゃ、この子人身御供じゃない??!」

「まあ、言うなればそうですね…」

 耕造は窓から隣の料亭の庭を眺めた。

「でも、いい感じじゃないですか?あの二人」

「うーん…」

 遠くてわからないが、確かに距離は近いし、身振りなどから話が盛り上がって、笑いあっているように見える。

「納得しました?」

「う、うん。まあ…」

 でも、噂があるのなら先に教えて欲しかった。ここの支払いはもちろん向井である。都内で食べるのに比べたら破格の安さとは言え、それなりの値段である。

「話がまとまるといいですね。僕の母も…いや…まあ、亀井さんちのおじさんは人がいいから、縁談が成立しなくても融資するでしょうが…」

「それはそれで茶番だな…!」

 向井は自分は何をしにこの村へ来たのだろうと思った。
 単にリフレッシュしに来たのもしれない。里帰りに誘われた時は失業直後で、あまり正気ではなかった。
 空気もいいし、ここは東京より涼しい。そうだ。気分転換に来たのだ。
 窓に背を向けて壁に寄りかかり、出費を嘆いていると、耕造が近寄ってきて首に手を回し、投げ出した足の上に座ってきた。

「あの…」

「ん…♡今日の分です」

「今日の分…?」

「今夜は用事があって、まことさんのとこに行けないんです。だから…」

 耕造は唇を重ねてきた。ねっとりと舌を絡める。

「は…ん…♡んむ…♡」

「んん…!いや…こんな所で…」

「女将も大将も承知です。汚さなきゃ大丈夫です。あん♡もう、こんなに硬く…♡」

「ああ…っ。こ、耕造くん…っ!」

 耕造はずぼん越しに向井のペニスの硬さを感じ、うっとりとため息をついた。

「したい…♡」

 二人は慌ただしく服を全部脱いだ。

「あぁ…♡まことさん…」

「こ、耕三くん」

 耕三はしっかり潤滑ローションを用意しており、自分でアナルをほぐし、向井のペニスを口淫で勃たせ、繋がる準備万全となった。

 耕三が向井の腰の上にまたがり、ペニスを握り自分のアナルに誘い擦りつける。

「あぁん…♡」

 それから、ゆっくり腰を沈めていく。温かい泥濘に飲み込まれていって、向井は快感に呻き、耕三が深くため息をつき、喘いだ。

「ああ…♡まことさん…いい…♡」

「はあ…う…!」

 ゆっくりと耕三が動き出す。尻を上下させて、向井のものを飲み込み、引き抜き、繰り返して責め立てる。

「あ…っ♡あ…っ♡あ……♡」

「はあ…ああ…っ!」

 耕三の動きに合わせて、向井も腰を突き上げる。

「あ…っ♡ああ…っ♡気持ちいぃ…♡は…ん…っ♡まことさんのおちんちん、好き…♡」

 こんなかわいい顔の子に、鈴のなるような可憐な声でいやらしい言葉を囁かれて向井は興奮した。

「お、俺も…ああ…!耕三くんの体がたまらない…もっと…はあ…そういうの…聞きたいな…!」

 ふふっと耕三が笑ったような気がした。こういうことを言われるのも慣れているのだろうか。

「あん…♡あ…気持ちいい…♡まことさんの…おちんちんがお尻の穴に挿入って…あぁん♡硬くって…カリが中のいい所に引っ掛かって…すごく気持ちいいです…っ♡」

「ああ…ああ~…っ!」

「あ…あ…♡ほんとに気持ちいい…♡頭、ぼーっとしちゃう…♡あ…♡」

「ああ…っ!イキそ…う…!」

「んん…♡僕も…もうすぐかも…♡んっ…♡まことさん…♡」

 二人は最初の方からほとんど加減などなく、お互いを責め立てたので、すぐにその時が来た。

「あぁ…っ!出る…う…く…!!」

「はぁん…♡来て…来て……♡来て…♡」

 向井は爪を立てるほどきつく耕三の体を抱き締めて、その体内にドクッ、ドクッ…と射精した。

「ああああ……!」

「あん♡あ…♡あ、イク…ッ♡気持ちい…ぃっ♡イッ…♡」

 耕三は自分の手で精液を受け止めながら、射精した。

 ティッシュペーパーを引き寄せて、取るとそれで精液をぬぐった。

 額をくっつけて、時々どちらからともなくキスをしながら、はあー…、はあー…、と、二人で呼吸を整える。

 しばらく、休憩をとった後、また交わる形を変えて愛し合う。

 料亭の二階で、二人は結局四度も貪りあった。

 別れて帰る前に、向井は耕三に連絡先を交換しないか提案した。

 耕三はあっさり了解して、まずライン交換して、メールアドレスとスマホの電話番号と、うどんを食べるシュールな猫のイラストのスタンプを送って来た。

「いつでも連絡ください」

「いつでも~?いつでもって言ったって」

「いつでもは本当にいつでもです」

 半裸の姿の耕三がまた、例えようもなく愛らしい笑顔を見せたので、向井もまたつい、へらりと笑い返してしまう。

 帰ると、またすっぽん料理の夕飯だ。
 亀井も帰ってきている。
 見合いがどうだったか聞くと、さすがに照れて、いい娘だったとか、かわいいと思うとか言う。

「で、婚約するの?」

「それは…もうちょっと付き合ってみないと…」

「相手はふつうの…いや、元アイドルか…とにかく女性に強引に迫りすぎるなよ」

「なんだ、それ」

 向井はすっぽんパワーを発揮するなということを言いたかったのだが、通じたかわからない。

 風呂ももらって、部屋に行く。が、眠れない。

 言っていた通り、耕三もやってこない。

「ライン、送ってみようかなー…いや、しかし用があるから来れないと…」

 明かりをつけたまま、スマホを握りしめて、思案を巡らせていると、障子の向こうから声がした。

「失礼します…」

「えっ」

 耕三ではない。耕三より若干低く、柔らかい声だ。

 障子がスッと開いて、初日の晩のように浴衣姿の少年が跪いた姿勢でそこにいた。耕三と同じくらいの年頃。

「夜伽に参りました」

「えっ…いや…」

 短い髪の、凛々しさも感じる浅黒い肌の美少年が潤んだ瞳で四つん這いになり、こちらににじりよって来た。

「したくないですか?」

 思わず距離をとろうとした向井の髪をつかみ、強引に口づけてくる。柔らかい。舌が侵入してくる。

「んぐ…」

 その手は股間をまさぐり、向井のペニスを握り扱き始める。性急で、そして巧みだった。竿を扱き、亀頭を指先で撫で回す。時々、睾丸もやわやわと揉む。

「ああ…っ!あの…君は…」

「向井真実さんですよね。おれは亀ケ崎竜二といいます。何も気にしないで…気持ちいいことをしましょう…準備はしてあります」

「そ…うう…あ…!」

 そんなことしなくても、村の女に手を出したりしないと言おうとしたが、与えられ続ける快感に力が入らない。すっぽんのせいで体も火照っている。
 向井はかんたんに欲望に流された。
 竜二は布団に潜り込んできて、向井にまたがった。
 ばさりと布団をはねのけ、浴衣は着たままいきり立った向井のペニスを尻の割れ目に擦りつけ、喘いだ。

「あ…あぁ…♡向井さん…気持ちいい…♡欲しい…♡」

「俺は…俺も…ああ…」

 向井が自分のペニスを手で支えると、竜二はそこへ腰を下ろしてきた。ぬる、と滑るが、何度か試みて、アナルに挿入することに成功した。ああ、と高い声が上がり、ゆっくり全体を飲み込んで行く。

「あん♡すご…い…♡向井…さん…♡んん…ヤバい…♡」

「う…く…!ああ…!り、竜二くん!そういえばここには隠しカメラがあって…」

「いいんです…んん…♡」

 竜二は向井の上で腰を振り始めた。

「あ…っ♡あ…っ♡あ…っ♡あ…っ♡いい…っ♡」

「ああ~~……っ」

 竜二が乱れるうちに浴衣ははだけていって、着物の合わせ目が別れ、帯を残してほとんど裸体になった。
 胸も肩も出て、屹立するペニスも露出した。ただの裸よりそれはいやらしかった。
 しかも竜二の浅黒い肌は、顔と首まわり、手くらいで、胸や太ももは白かった。日焼けの境目がエロティックであった。
 竜二はアナルで向井を貪りながら、自分の乳首をつねり、ペニスを扱いた。

「あん♡気持ちいい…♡」

「あぁ…あぁ…!いいよ…!」

「あぁ…♡あん…♡うそ…イキそう…っ♡あ…あ…♡」

 竜二は感極まったように高く声を上げ、のけ反った。

「イクの…?ああ…!いい…っ!うっ…あ…!」

「あん♡イクッ♡イクイクッ♡だ…め…♡ああああ~~…っ♡」

 竜二はペニスの先端を押さえて、ドクドクと射精した。

「あ…は…♡はあ…っ♡おれ、こんなの…はじ…めて…♡ん…♡」

 竜二は射精の快感の余韻にしばらく、ピクピクと体を震わせていたが、向井に奉仕するためにまた頑張りを見せた。
 再び、腰を振り始める。

「あ、あ、あ、あ……っ♡」

「ウンッ…ああ…っ!あ…!イクッ!イキ…そ…!」

「あぁ…っ♡向井さん…っ♡」

 向井は限界に達し、竜二の中でドクッ、ドクンッと精を放った。

「ああ~~……っっ!!」

「あ…♡はあ…♡はあ…♡」

 竜二は結合を解き、いったん向井の隣にドサッと倒れこんだ。

「はあ…はあ…♡向井さん…素敵です…♡」

「ああ…はあ…ああ…よかった…」

 凛々しさを感じさせる少年が、自分の上で喘ぎ、乱れる様はたまらないものがあった。

 竜二はしばらくすると、また向井の股間に手を伸ばして来た。

「あ…っ」

 再び、二人は重なり、蠢きだす。
 その後、四度も交わって、ようやく竜二は向井を解放した。

「めちゃくちゃ気持ちよかったっす…♡」

「あ…え…うん…俺もよかった…」

 向井は竜二の素を出したしゃべり方に、ちょっとだけ面食らった。

「ねえねえ!向井さん…」

 竜二は向井の腕にしがみつきながら、はしゃいだように言った。

「な、何かな」

「東京から来たんすよね…タピオカって飲む?ほんとに美味しいんすか?あれ」

「このへんには、タピオカ売ってないの?デパートあるじゃん。コンビニは?」

「ない。売ってない」

「うーん。そうか…俺は割と好きだな。でも、カロリー高いからあんまり飲まないけど」

「そうなんすね…芸能人に会ったりとかは…?!」

「いや、ないよ…撮影してるからって通せんぼされることはあるけど、結局、何を撮ってるのか、誰がいたのかわかんなかったり…」

「えー!でも、すごい!じゃあ…」

 竜二は向井を質問責めにした。
 こうして、夜は更けていった。
 いつの間にか、寝てしまっていて、朝、目が覚めると、竜二はいなかった。

「あれえ…」

 朝食だと起こされて、居間に向かったが、そこにもいない。
 向井は思わず、亀井の母に訊ねてしまった。

「あー…昨日の子は…あ…いや、なんでもな…」

「ああ、竜ちゃんね~!朝練あるからって、早くに帰ったわ!」

「あ、朝練…」

 あんな夜を過ごした翌日に、朝練をするのか。

「へ、へえー…何部なんですか?」

「野球部よ~!もう、引退したんだけど、後輩の指導とマネージャーを兼ねてね~!体がなまるからって!」

「そうなんだ…」

 あの日焼けは野球部のユニフォームか。やたらにエロかった…と、向井は思い出してしまった。
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