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09 タクトは質問攻めにされた!
午前中、サユに連れられて賃貸物件を見て回ることになった。
「これからも、ちょくちょく役所に呼ばれるはずだから、近い方がいいな」
「うん…あのさあ…」
リューバの背に乗り、移動しながらサユに聞く。
「一時金、受け取ったでしょ。90万カイス」
「ああ」
「服を買って、残りが53万カイス!」
それから、朝食代が600カイス。ファストファッションに慣れた俺には、服がめちゃくちゃ高く感じる…!その代わり、外食が安い…ような気がする。まだ、感覚がつかめないけど。
「サユだったら、一か月どのくらいで生活できる?」
「俺か?うーん…20万カイスくらいあれば余裕かな」
「ふうん…」
でも、まず生活必需品も揃えないといけないし、もうちょっと必要そう。
この世界のことを知りたいから、出来たら本なども読みたい。
だけど…、いつまでこの世界にいることになるのだろう。
「さまよえる者、が煙のように失踪してしまうって言ったじゃん」
「うん」
「それって、どのくらいの期間で?」
「えー!俺もそんなに詳しいわけじゃないから…まちまちだと思うな。一か月で消える者もいるらしいぞ…後はニ、三年の場合もあるらしいし、ずっとこの世界にいる場合も…」
「うう…」
「ごめん、タクトは帰りたいんだよな!」
「帰りたくない人なんているの~…」
「そりゃ、いるだろうさ…元の世界が戦争中だとかな…」
なるほど…。
部屋はすぐに決まった。役所まで徒歩で十分程のアパートメントに一室空きがあった。
二階のこじんまりした部屋だ。ベッドと小さな机がもうついていた。清潔感もある。大家は優しそうな老夫婦。家賃はひと月、9万カイス。
食堂で昼食をとり、役所へ送ってもらった。
サユは宿に戻るという。
自分も移動用にリューバがいた方が便利かなあと思って聞いたが、サユは職業柄リューバを所有しているのであって、普通はリューバが曳く乗り物を拾って移動するらしい。要するにタクシーだ。確かに、そういったものが通りを走っている。リューバの値段はものにもよるが、到底買える額ではなさそうだった。
役所に行き、ある一室に案内されると、学者、研究者たちが待っていた。
元いた世界の科学は?政治形態は?庶民の生活は?軍事力は?食文化は?治安は?
矢継ぎ早に質問され、俺はしどろもどろながら出来るだけ答えていった。
「この、ひっぱると閉じたり開いたりする緻密な仕掛けはなんだね」
「ジッパーですけど…服のボタンの代わりに使われたりします」
制服のズボンのジッパーに食いつかれる。
「あっ!一つすごい情報があります!」
「なんだね」
「南にある沖縄県では、砂糖の原料となるサトウキビがたくさん採れます!」
「ほ、ほう~…な、なるほどね…」
あまり、興味をひく話ではなかったらしい。メモは取っていたが。
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