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37 お屋敷をご案内!
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俺が絶望して、ドナドナを口ずさんでいるうちに目的地に着いた。
なんかいい歌だね…と言って、レイジュもリクもドナドナをすっかり覚えてしまった。
召使らしい男に、リューバ車から降りるように言われ、外に出る。
オークション会場を出た時は、明け方の薄暗い時分だったが、すっかり明るい。
そこは大きく、豪奢な屋敷の敷地だった。屋敷は平屋だが、ヨノイと宿泊していたホテルがおもちゃに見えるくらい重厚で美しく、周囲は装飾的で高さのある鉄格子と木立が囲んでいる。
そして、俺たちを逃がさないためか、数人のがたいのいい兵士のような男たちが遠巻きに睨みをきかせている。
だが、俺たちを高額で競り落とした、シノ・ヤブサと思われる、主人らしい男はいない。
「すげえ…」
レイジュが口をぽかんと開けて呟いた。
確かにすごい。
「これが妾宅?!信じられない!」
「ええ?妾宅??」
「俺たちを本宅で飼うわけがない。第一本宅にしては造りが…ここは独立した妾宅だ。つまり…」
「つまり…?」
「待遇がいいはずだ。それに奥さんに妬かれて殺されかけたりしなくて済む!」
レイジュにもいろいろあったようだ。
俺はこれからどうなるんだろう。
「さあ、中に入って。まずはお風呂に入ってもらうから」
執事のような、どこかきちんとしている格好の美形の若い男に導かれて、屋敷に入る。
風呂なんか…と、思ったが、俺はともかくレイジュとリクは薄汚れた衣服に、乱れた髪をしている。いや、歪みのない平らなガラス窓に映る姿を見ると、俺も顔など薄汚れている。さらわれた時に乱暴に扱われたのかもしれない。
風呂ってどんなところかなと思っていると、広いシャワールームのような場所に連れて行かれる。
シャワーヘッドこそないが、湯船があって、湯がはられている。
服を脱がされて、レイジュ、リク、俺に一人一人洗う係がついて、スポンジのようなものを用いて、たっぷりの泡で頭からつま先まで念入りに洗われた。
最後に、湯船からすくったお湯を豪快にかけられる。適温で気持ちがいい。
「ああ、きれいになったな」
体を洗い終えて、水滴を拭かれていると、執事風の男が言った。
「何を着せましょう」
「シノ様からは何も?何かサイズの合う、適当なものはないか?シノ様の気まぐれには困る…ヨミたちの服では小さい」
「冷える時期でもありません。ガウンがありますから、それを…」
執事風の男と、やはり執事風の老人が相談している。
俺たちは、ガウンを提供されて、それを身につけた。エメルド館で着ていたようなものとは違う。厚みがあって、刺繍が施された高級そうなものである。
靴は…と思ったが、執事風の二人はごちゃごちゃと悩ましそうに話し合っていたが、結局支給されなかった。
裸足で歩く。
俺たちは若い方の男に屋敷内を簡単に案内された。
レイジュは上機嫌であり、泣きべそ少年のリクも恐らく初めて見る豊かな生活に興奮してか、頬を紅潮させて楽しげだ。
俺はというと、とにかく納得がいっていないので、不本意ながら状況に流されているが、なんとか帰れないだろうかと考えている。
俺たちを買った、シノとかいうやつに直談判をするくらいしか思いつかない。
「室内履きは、明日にでも用意させよう。衣類もそのうち、シノ様が手配なされるだろう。お腹が空いたら、食堂にくればいい。料理係が常駐させてある。材料があれば大体なんでも作ってくれる。風呂はさっきの場所と、ここ。湯は温泉をひいている。いつでも入れる。トイレはここと…各部屋にある。各自の部屋はシノ様がお決めになるだろうが、とりあえずは仮の部屋で寝るといい。おれはハヤセという。わからないことがあればおれに聞いてくれ」
なんとも至れり尽くせりではないか。
広い屋敷を案内されている間、俺たちの様子を伺って、くすくす笑っている数人の少年たちは先輩にあたるのだろう。俺たちを含めると、七人から十人。妾宅というより、もはやハーレムだ。
しかも…。
「あん…♡そこ、気持ちいい…♡」
「ね…♡挿れて…アサザ…♡あ、あん…♡」
廊下の隅で少年どうしで行為に及んでいたり、開けっ放しの部屋のベッドで交わっている者もいた。
ハヤセは全く気にしていないようだ。
確かにこの世界の常識では、性欲はたまったら速やかに処理せねばならず、それも一人ではなく、誰かとしなければならないのだろうが、無法地帯にもほどがある…。
なんかいい歌だね…と言って、レイジュもリクもドナドナをすっかり覚えてしまった。
召使らしい男に、リューバ車から降りるように言われ、外に出る。
オークション会場を出た時は、明け方の薄暗い時分だったが、すっかり明るい。
そこは大きく、豪奢な屋敷の敷地だった。屋敷は平屋だが、ヨノイと宿泊していたホテルがおもちゃに見えるくらい重厚で美しく、周囲は装飾的で高さのある鉄格子と木立が囲んでいる。
そして、俺たちを逃がさないためか、数人のがたいのいい兵士のような男たちが遠巻きに睨みをきかせている。
だが、俺たちを高額で競り落とした、シノ・ヤブサと思われる、主人らしい男はいない。
「すげえ…」
レイジュが口をぽかんと開けて呟いた。
確かにすごい。
「これが妾宅?!信じられない!」
「ええ?妾宅??」
「俺たちを本宅で飼うわけがない。第一本宅にしては造りが…ここは独立した妾宅だ。つまり…」
「つまり…?」
「待遇がいいはずだ。それに奥さんに妬かれて殺されかけたりしなくて済む!」
レイジュにもいろいろあったようだ。
俺はこれからどうなるんだろう。
「さあ、中に入って。まずはお風呂に入ってもらうから」
執事のような、どこかきちんとしている格好の美形の若い男に導かれて、屋敷に入る。
風呂なんか…と、思ったが、俺はともかくレイジュとリクは薄汚れた衣服に、乱れた髪をしている。いや、歪みのない平らなガラス窓に映る姿を見ると、俺も顔など薄汚れている。さらわれた時に乱暴に扱われたのかもしれない。
風呂ってどんなところかなと思っていると、広いシャワールームのような場所に連れて行かれる。
シャワーヘッドこそないが、湯船があって、湯がはられている。
服を脱がされて、レイジュ、リク、俺に一人一人洗う係がついて、スポンジのようなものを用いて、たっぷりの泡で頭からつま先まで念入りに洗われた。
最後に、湯船からすくったお湯を豪快にかけられる。適温で気持ちがいい。
「ああ、きれいになったな」
体を洗い終えて、水滴を拭かれていると、執事風の男が言った。
「何を着せましょう」
「シノ様からは何も?何かサイズの合う、適当なものはないか?シノ様の気まぐれには困る…ヨミたちの服では小さい」
「冷える時期でもありません。ガウンがありますから、それを…」
執事風の男と、やはり執事風の老人が相談している。
俺たちは、ガウンを提供されて、それを身につけた。エメルド館で着ていたようなものとは違う。厚みがあって、刺繍が施された高級そうなものである。
靴は…と思ったが、執事風の二人はごちゃごちゃと悩ましそうに話し合っていたが、結局支給されなかった。
裸足で歩く。
俺たちは若い方の男に屋敷内を簡単に案内された。
レイジュは上機嫌であり、泣きべそ少年のリクも恐らく初めて見る豊かな生活に興奮してか、頬を紅潮させて楽しげだ。
俺はというと、とにかく納得がいっていないので、不本意ながら状況に流されているが、なんとか帰れないだろうかと考えている。
俺たちを買った、シノとかいうやつに直談判をするくらいしか思いつかない。
「室内履きは、明日にでも用意させよう。衣類もそのうち、シノ様が手配なされるだろう。お腹が空いたら、食堂にくればいい。料理係が常駐させてある。材料があれば大体なんでも作ってくれる。風呂はさっきの場所と、ここ。湯は温泉をひいている。いつでも入れる。トイレはここと…各部屋にある。各自の部屋はシノ様がお決めになるだろうが、とりあえずは仮の部屋で寝るといい。おれはハヤセという。わからないことがあればおれに聞いてくれ」
なんとも至れり尽くせりではないか。
広い屋敷を案内されている間、俺たちの様子を伺って、くすくす笑っている数人の少年たちは先輩にあたるのだろう。俺たちを含めると、七人から十人。妾宅というより、もはやハーレムだ。
しかも…。
「あん…♡そこ、気持ちいい…♡」
「ね…♡挿れて…アサザ…♡あ、あん…♡」
廊下の隅で少年どうしで行為に及んでいたり、開けっ放しの部屋のベッドで交わっている者もいた。
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